高槻市バス「透明バス」問題



今日の高槻市議会本会議の一般質問で、「高槻市バス『透明バス』問題」と題して、新たに発覚した高槻市営バスの問題を取り上げました。

高槻市交通部には、仕業票というものがあります。運転手の職員が、その日、どういうふうにバスを運行するのか、何時何分にどこを出発して、どこを通り、何時何分にどこに着くようにしなければならないか、そういう運行ルートと時刻が書かれているものなんですが、それをよくよく見ると、おかしな時間・「謎の時間」があることに気付きました。

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例えば、平日の「SA13」という仕業があります。

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これによると、午前10時46分にJR高槻南に到着することになっています。でも、その後、弁天駐車場での休憩時間が12時06分からになっています。この間の80分は何なのか。

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JR高槻南と弁天駐車場の間は、500メートルくらいしか離れていません。市バスの時刻表を見ると、所要時間は3分となっています。80分も必要ないはずなんです。このように、休憩時間前に、不明な時間が設定されているのが、謎の時間の第1のパターンです。

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また、平日の「SA27」という仕業なんですが、これによると、バスは、午前11時01分にJR高槻南に到着することになっています。でも、その後、「弁天駐車場へ回送」「12.23高槻南へ回送」とだけ記されているんですね。12時23分に弁天駐車場を発車してJR高槻南へ向かうのだとしても、11時01分から12時23分の82分間は、どこをどう回送してるんでしょうか。このように、無意味に長時間の回送時間が設定されているのが、謎の時間の第2のパターンです。

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なぜこんな時間があるのか。80分も何をしているのか。

これに関して、議員インターンとして私のところに来てくれた大学生達と調査をしました。

この80分間、バスを整備しているのか、掃除しているのか、待機しているのか・・・調査をする前にいろいろと仮説を立てました。「もしかすると、バスは、ノロノロと走ってるんちゃうか。でも、そんなノロノロ走っているバスは見たことがないなあ。まさか、透明なバスが走ってるとか?」というような冗談を言っておりまして、私たちの間では「透明バス」と、この件については呼んでいた次第です。

市バスは、JR高槻から弁天駐車場まで、実際には、何分かかるのか。2地点にそれぞれビデオカメラを構えて、バスの出入りの時刻を記録するという調査をしたところ、一番速いバスで41秒、遅いバスでも2分とかかっていませんでした。とても80分も必要とは考えられません。

また、この時間の間、バスの運転手さん達が何をしているのかも大学生たちと調べました。そしたら、タバコを吸って、携帯電話をいじって、中には、外出したり、買い物に行ったりと、まったくの休憩時間のような振る舞いでした。つまり、この「謎の時間」というのは、「ヤミ休憩時間」としか考えられないわけです。


さらに、おかしな時間があるのが分かりました。長過ぎる手待ち時間が設定されているものです。「バスが終点に着きました。次の出発までちょっと時間がある」、というのは、ダイヤの編成上仕方がないのですが、その到着から次の出発までの時間を「手待ち時間」と言います。

例えば、平日のSA23という仕業では、8時23分から9時5分までの42分間が手待ち時間となっています。もちろん勤務時間とされているのですが、同じ平日のSA23の12時28分から12時50分は、22分間でも休憩時間とされています。休憩時間より長い手待ち時間というのはおかしい。労使協定からしても、15分以上の休憩が取れるような手待ち時間は休憩時間にすべきだと思うのですが、大まかに言って、15分以上の手待ち時間が、謎の時間の第3のパターンというわけです。

第4のパターンは、出勤してから、車庫を出発するまでの時間、あるいは車庫に入庫してから退勤するまでの時間が、他のものと比較して長時間設定されているものです。普通は20分とか15分なんですが、中には1時間もあるものもありまして、交通部は洗車をしていると言うのですが、洗車に1時間もかかるわけがありません。

さらに、平日のSA38とSA39を見比べてみると、同じ阪急高槻からJR高槻南の区間の、まったく同じ時間帯なのに、SA38は9時35分から9時45分の10分間、SA39は9時34分から9時46分の12分間となっており、SA38が、1分遅れて阪急高槻を出発しながら、途中でSA39を追い越して、SA39よりも1分早くJR高槻南に到着しています。すごく不思議なんですが、そもそも、阪急高槻からJR高槻南まで10分もかからないはずです。これは第5のパターンと言えると思います。

今日の議会では、この時間がそれぞれのパターンで何時間あるのか、いくら給与を支給したのかを質問したのですが、山本管理者は、まったく答えませんでした。

この時間の集計を、大学生達の協力を得ながら行ったところ、平日のダイヤ(緑が丘営業所のは学休ダイヤ)では、第1から第3パターンの分だけで、合計5038分。時間にすると約84時間となりました。

乗務員職員1人当たりの1日の実労働時間は約7時間20分とのことでしたから、それで割ると、11.45人分という計算になります。

つまり、毎日、11人以上の給料分を、余計に支出していた(現在も支給している)ということです。

1人の職員の年収を700万円とすると、年間で約8000万円、10年分とすると約8億円。それだけ、無駄な支出をしてきたということになります。

私も、市議会議員に当選してから、かなり市バスの問題に取り組んできました。でも、この「透明バス」の問題は、この時期になるまで発見できませんでした。

監査のプロである高槻市監査委員も、平成20年度については、交通部を監査したとのことです。平成21年5月8日付け高槻市監査委員告示第7号で、その監査結果を出しています。

しかし、監査委員は、この「謎の時間」の問題は発見できませんでした。先日、私が住民監査請求した、時間外勤務の休憩時間にも賃金を支給していたいわゆる「ヤミ手当」の住民監査においても、監査委員は、今年の9月7日付で高槻市自動車運送事業管理者に対して仕業票の提出を求め、そして管理者は9月9日付で2か年度分の仕業票を提出していますが、そのように、仕業票の現物を2か年度分、監査委員がしっかり監査しても、やはり、今回の「謎の時間」の問題は分からなかった。

監査委員でさえ、仕業票を見ても分からなかったわけですから、住民が、この巧妙な悪だくみを発見できるはずがありません。

監査委員も分からないような形で、仕業票に「謎の時間」=「ヤミ休憩時間」を、ダイヤの合間にこっそりと、いかにも勤務中であるように偽装して巧妙に組み込んで、その時間について、交通部の会計、すなわち公金から、賃金を支給していたわけですから、これは詐欺か横領といえると思います。

この「透明バス」の件については、先日住民監査請求をし、現在結果待ちの状態ですが、棄却されるようであれば、住民訴訟を提起したいと考えております。