郵政民営化に内心賛成の民主党の議員達は、どう戦うのだろうか?

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民主党の郵政改革案については、いつも勉強させていただいているgoriさんのブログで詳しくまとめられ、問題点も指摘されているので是非ご参考いただきたい。 ★Irregular Expression「民主党の郵政改革案のデタラメっぷりを検証」 http://www.wafu.ne.jp/~gori/diary3/200508151308.html 郵政3事業を民営化すれば過疎地から郵便局が消える、なんて言われている。過疎地といえば、昨年の夏、私が昨年1年間学んだ青年塾のサマーセミナーで、広島市安佐北区の過疎に悩む集落でホームステイさせていただいた。地元に就職先がほとんどなく、若者達が集落を出ていってしまうとのことだったが、しかしそのときに印象的だったのは、豪華な瓦葺屋根の、広くて立派な家ばかりが並んでいたことだった。 これはあくまでも推測だが、過疎地に住んでいる方の多くは、過疎地でも生きていけるだけの財力をお持ちなのではないだろうか。でなければ、早々に働き口の得やすい都会に出ただろう。とすると、過疎地には予想以上に貯金の需要があるのではないだろうか。 学生の頃、山奥のリゾート地でアルバイトをしたことがある。パートで来ていた地元のおば様達は、休憩時間になると決まって楽しそうに通販のカタログを開いていた。店には信用組合の職員がスーパーカブに乗って売り上げを集金に来たし、店員のおじさん達はパチンコの軍資金を農協(JA)でおろしていた。そこは過疎地とは言いがたいが、かなり田舎であることは間違いなかった。そんな田舎でも、通販で頼めば商品は宅配され、預貯金は農協のJAバンクででもできた。 過疎地に郵便局がなくなっても、農協で預貯金ができる可能性が高いのではないか。郵便事業への参入条件(ポスト10万本設置など)を小泉首相が主張していたようにもっと緩和すれば、宅配会社が過疎地でも営業を始めるのではないか。一部の離島以外なら全国どこへでも宅配するのだから。しかし、過疎地には、郵便局がなくなるとか以前に「もっと大事なことがある」と思う。過疎を生じさせないための職の創造や医療、高齢者の介護、インフラの整備など。 小泉首相が会長を務めた「郵政民営化研究会」所属の議員はこちらの方々だ。 ------------------------------------- ★週刊!Tomorrow's Way霞ヶ関、更迭のバラード……!郵政民営化、憤怒の舞台裏。 http://tomorrows.exblog.jp/1942222/ ▽会長・小泉純一郎(衆・自民) ▽事務局長・松沢しげふみ(衆・民主)▽石井一二(衆・自由連合) ▽上田清司(衆・民主) ▽海野徹(参・民主)▽奥田健(衆・民主) ▽島さとし(衆・民主) ▽末松義規(衆・民主)▽田中甲(衆・民主) ▽堂本暁子(参・参議院の会) ▽冨沢あつひろ(衆・改革クラブ)▽中田ひろし(衆・無所属)▽並木正芳(衆・改革クラブ)▽樽床伸二(衆・民主党)▽蓮見進(衆・自民)▽藤村修(衆・民主) ▽前原誠司(衆・民主) (「郵政民営化でこう変わる」松原聡著、平成13年8月、角川書店刊より) ------------------------------------- 小泉内閣発足後には、「郵政民営化研究会」の以下の方々が片山総務大臣(当時)に緊急提言として郵政公社の民営化を求めた。 ------------------------------------- ★「郵政民営化研究会」 緊急提言を小泉総理、片山総務大臣に提出! http://www.matsuzawa.com/office/kokkai/tackle31.htm 平成13年11月21日 事務局長:松沢成文(衆・民主→神奈川県知事) 上田清司(衆・民主) 海野徹(参・民主) 奥田建(衆・民主) 小泉俊明(衆・民主) 小林憲司(衆・民主) 鮫島宗明(衆・民主) 島聡(衆・民主) 武正公一(衆・民主) 田中甲(衆・民主→無所属) 手塚仁雄(衆・民主) 中田宏(衆・無所属→横浜市長長妻昭(衆・民主) 長浜博行(衆・民主) 蓮実進(衆・自民) 伴野豊(衆・民主) 古川元久(衆・民主) 細野豪志(衆・民主) 松崎公昭(衆・民主) ------------------------------------- 上記のとおり、ほとんどの方が、民主党の議員である。郵政民営化に過去賛成しながら、民主党の方針に従って法案に反対票を投じたこの人達は、今回の選挙をどう戦うのだろうか。 「自民案では不完全な民営化に終わる」と主張すれば、「じゃあ民主党なら完全な民営化ができるのか。民主党マニフェストでは公社を維持するとなっているではないか」と突っ込まれる。 かといって、民営化に触れなければ「逃げているのか?民主党も郵政を重点項目にしたじゃないか。民営化に賛成か反対か、どっちなんだ?」となる。 「民主党マニフェストに従う」と主張すれば、心変わりを嘲笑されるだろう。もう逃げ場所はないのではないか。 私は本来なら郵政民営化に賛成していたこの人達を応援したいが、今回の「郵政解散」にまで発展した経緯を見ると、世間的には裏切り者と見られても仕方がないのではないか。これらの議員の多くは、「郵政民営化に賛成すべきだ」という内なる良心よりも、「小泉首相解散に追い込み、政権を奪取したい」という欲に駆られたように、私には見える。「政権交代」という野心・欲で自分自身の良心に背き反対票を投じた民主党の議員達が、解散に打って出て造反者を非公認にし、退陣まで賭けて本気で郵政民営化を成し遂げようとする小泉首相の純粋さに比べて、薄汚いものとして、多くの有権者には感じられるのではないか。「政権交代」よりも、「もっと大事なもの」があったような気がしてならない。 ここはもう一度、素直になるべきではないだろうか。民主党マニフェストに縛られない、自分自身の良心に従ったマニフェストを作ってみるのだ。そしてそれで有権者に訴えていくしかない。もし運良く再選できたら、今度こそ「もっと大事なもの」を、もっともっと大事にして欲しい。 民主党は今回の郵政改革案についてもそうだが、以前も「高速道路無料化」という首を傾げざるを得ないような政策をマニフェストに盛り込んだ(この案には民主党に巣食う老害のようなものを感じる)。幸い政権は獲れず、この政権公約は履行を求められなかったが、そのことに安堵を覚えた民主党議員も多かったのではないだろうか(笑)。 今回の民主党マニフェストの中でも、「日米関係は、日中・日韓の次に置かれ」ている。本当にそれでいいと思っている民主党の議員は何割くらいだろうか。 ★産経新聞【民主のマニフェスト検証】 http://www.sankei.co.jp/news/050817/sei009.htm 地盤・看板・カバンがなければ、選挙に勝って国政という表舞台に立てない。民主党は、若い政治家志望の青年にとって、国会議員になるための都合の良い「孵化器」だった。しかしその民主党という「孵化器」から、そろそろ多くの若手議員は、飛び立つべき時がきたのではないだろうか。労組に縛られず自由に羽ばたく時が。民主党労働組合依存体質を批判して離党した田中甲氏や、中田宏氏のように。 政治家が、野心や欲のために、良心を捨てたら、それは単なる「政治屋」に成り下がるということだ。