靖国より皇室典範の方が重要では?

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神武天皇から現在の今上天皇まで、天皇皇位継承は、臨時・中継ぎの女性天皇(男系の女子)はおられましたが、「男系男子」の原則が貫かれてきました。次の官邸のサイトに詳しいですが、皇統が女系に移ることは厳しく排除され、直系の男子がない場合には、男系の庶系・傍系の男子が皇位につきました。

皇室典範に関する有識者会議(第6回)議事次第
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/kousitu/dai6/6siryou3.html


しかし今年の11月24日、小泉首相の私的諮問機関である「皇室典範に関する有識者会議」は、女性天皇と、母方だけに天皇の血筋を引く「女系天皇」を認め、さらに皇位継承順位は男女の別にかかわらず「第一子を優先」とする報告書を提出しました。これを受けて政府は、皇室典範の改正案を来年の通常国会に提出する方針。

以前は私も「女性天皇でもいいのではないか。これまでの歴史でも女性天皇はいたのだし」と軽く考えていたのですが、他の方のブログや報道番組など見ていると、これは非常に重大な問題だと考えるようになりました。共同通信が実施した世論調査で、7割もの人々が女性・女系天皇を容認したという結果が出ましたが、これにはかなりの危機感を覚えます。

中日新聞「女性天皇・女系天皇を7割が容認 世論調査」
http://www.chunichi.co.jp/00/sya/20051206/mng_____sya_____003.shtml


「男系でなければ、神武天皇以来のY染色体が受け継がれない」と遺伝子を持ち出して分かりやすく男系の根拠を話されている方もおられますが、私は遺伝子云々よりも、2600年以上もの永きに渡って男系で「天皇」が選ばれてきたという「伝統」こそ、日本人はもっともっと大事にしなければならないと思うのです。これはもしかすると、国内的にも対外的にも、靖国問題など比ではないくらい重大な問題になってくるかもしれません。

Dr.マッコイの非論理的な世界「皇位継承とY染色体の話」
http://d.hatena.ne.jp/drmccoy/20051201


何十年か後の将来、女系天皇を正統な天皇とは認めない保守派・右翼系の人々が、南北朝のごとき主張を展開したり、新年には皇居ではなく、旧皇室典範皇位を継ぐはずであった男系男子の方のところへ大挙参賀したり、改正後の皇室典範に従って定められた天皇を、これまで皇室を崇拝してきた人達が蔑ろにするようになってしまえば、憲法上・法律上天皇が尊重されても、国民が心情的に支持し守護しようとは思わなくなっていくのではないでしょうか。こうして天皇をめぐって国民感情が二分されるようなことになれば悲しいですが、そういったことで終わればまだ可愛い方です。

中国・韓国・北朝鮮反日感情をもつ(場合によっては反日工作を行う)国は、首相の靖国参拝について「A級戦犯を合祀する靖国神社に参拝するのはけしからん!」と言ったり、「南京大虐殺」や「従軍慰安婦」などをでっち上げたりして、何かにつけてインネンを吹っかけてきます。靖国の場合、首相の私的な思想・信条に口を挟むなだとか、東京裁判国際法違反だったとか、内政干渉だとか、立場は違えどもいろいろと反論はできます。

しかし、もし女系天皇が即位し、中韓等に「君たちが『天皇』と崇める人物は、正統なる天皇ではない。日本国民は、2600年以上の歴史と伝統を葬り、偽の天皇を『国民統合の象徴』と奉る馬鹿な人々。日本人こそ歴史や伝統を軽視し、皇族の信条や人権を蹂躙している」と言われればどうか。日本の歴史・伝統・宗教観を重んじる人々にとっては屈辱以外の何ものでもないのではないでしょうか。

また、約70年前に清の最後の皇帝・溥儀を迎えて満州国が作られたように、「この方こそが、正統なる天皇陛下である」と、改定された皇室典範によって決められた天皇とは別の男系男子の方を担ぎ出して、日本のどこかに新たな国を作る動きが起きたらどうなるのか。その時、現政府と「新国家」のどちらが官軍になるのか。その「新国家」が外国勢力・テロ組織などから武器や資金の援助などを受け、日本の国家の枠を壊す企図を隠し持っていたとしたら・・・

最近、ジュネーブ条約追加第一議定書にある「無防備宣言」を根拠に、軍や軍の施設を平時からその自治体におかなければ、戦争になったとしても攻撃を受けず平和でいられるという「無防備・平和都市条例」なる条例の制定を目指す運動が全国各地で広がっています(ただし「無防備宣言」は敵軍に対して無条件・無抵抗で占領を許さなければならないのですが、運動推進者はそれを隠しています)。仮にその条例が制定された場合、上記「新国家」の領地として狙われるかもしれません。

「無防備・平和都市条例」に、無防備ではいられない。
http://kitaoka.seesaa.net/category/864114.html

あるいは本来皇位を継承していたはずの方が、外国に亡命したり拉致されたりして、洗脳などされ、チベット亡命政府のように、バチカン市国程度の規模で、その方を元首あるいは象徴とする新国家や亡命政府の樹立を宣言されるという可能性もあります。いわば正統な皇統を人質にとられたような形。容易に取り戻すのは不可能。「本来皇位を継承する立場であったのに、日本政府のために皇族の意志・伝統を蹂躙され、皇位継承権を剥奪され迫害を受けた」などと国際社会にわめき散らすように訴えれば、反日国の宣伝工作も手伝って、王室を抱える諸外国などはこぞって日本を非難するかも。日本国内は混乱し、歴史に汚点を残すでしょう。

まあ、そこまでは想像のし過ぎかもしれませんが、日本を混乱に陥らせるような事態を避けるためにも、皇室典範の改定にはより慎重になるべきだと考えます。

皇室・王室に、民が簡単に触れることができ、その伝統やしきたりを民の側で変えられるとなると、その権威は失われるような気がします。他国の王室からも軽く見られるのでははないでしょうか。民に容易に手が届かないからこそ、そうした存在から手を差し伸べられお声をかけていただくことに、ありがたみが増すのではないでしょうか。

女系天皇を認めないと「女性差別」と感じる人もいるかもしれませんが、美智子さま雅子さまのご成婚の姿を見ると、黒田さんには申し訳ないですが、花嫁の方が花婿よりも晴れやかで美しいと感じます。皇族の女性を嫁に迎えるのは名誉なことですが、これが女性天皇の婿となると、個人的にはなんだか尻にひかれる運命の男ような気がします。

例えば被災し、避難所でお言葉をいただくにしても、天皇陛下皇后陛下で、どちらの方がよりありがたいとか、そういう差は感じないと思います。どちらも同じようにありがたいはずです。特にそのあたりで男女の差はないのではないでしょうか。

側室をもうけて男子を得ようという意見もありますが、私は反対です。天皇陛下のご一家は、国民に家族の範を示す役割を担っておられると思いますので、「愛人」を認めると、国民に愛される皇室にはなりにくいのではないのでしょうか。

直系の男子に恵まれない場合、やはり伝統に則って傍系から男子をもってくるべきだと思います。そうすれば、こう言ったら不敬かもしれませんが、杉村太蔵議員ではないですが「ラッキーボーイ」みたいで、いかにもサプライズな感じがします(笑)。(その方がどんな方なのか分からないので、軽々しく言ってますが。大変な方だと取り返しがつかないかもしれません・・・)

個人の人生においても、充実感を持ってより良く生きるには、何らかの物語性が必要ではないかと思います。日本書紀に描かれた神話の時代から2600年以上連綿と続くものを、いとも簡単に変えてしまっては、国民全体にとっての大事な物語性を喪失してしまうような気がします。

ただ、有識者会議が出した報告どおりに皇室典範が改正されたとしても、次のgoriさんの意見と同じく、それによって定められた天皇を、個人的には受け入れたいと思っています。

Irregular Expression「熱くなれない皇室典範問題」
http://www.wafu.ne.jp/~gori/diary3/200511091839.html


(前略)今後とも皇室典範の議論に関して「こうであったらいいなぁ」とか「個人的に〇〇はちょっと問題があるような気がする」というコメントはするかと思いますが、「皇室典範は〇〇であるべき」「〇〇は間違っている」という強い断定的な主張はしないと思います。

というのも、皇室典範がどういう結論になろうと、そこで定められた皇位継承者を今まで通り一国民として畏敬の念を持って受け入れるだけだからです。(後略)


皇室典範の改正法案は来年国会に出されるとのことですが、その前に、ぜひ国会議員の皆さんにもう一度議論していただきたい。またこれを機に、国民は天皇陛下や皇室の在り方について再考する必要があると思いますし、マスコミも大きく取り上げて議論の機運を高め、改めて世論調査を実施してほしいと思います。