「西遊記」より「仮面ライダーカブト」のほうが面白い!

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青年塾の用語発表の発表形式の参考に見たことがきっかけで、子どもが見るようになり、チャンネルを占領されているので、仕方なく日曜の朝は戦隊シリーズ仮面ライダーなどを見ているのですが、いやあ、「仮面ライダーカブト」は面白い!香取慎吾主演の「西遊記」より断然面白いですよ。

カブトの前の「仮面ライダー響鬼」は、音楽をコンセプトにして、ライダー達の武器も楽器を模したものだったのですが、途中で最強の武器として登場した物が、楽器とは関係のない剣のような物で、少々一貫性を欠いたように思いました。(仮面ライダーなのに、車の、しかも助手席に乗って登場していたし。途中で言い訳程度にバイクに乗ってましたが)(響鬼の武器は太鼓のバチだったので、ダサくておもちゃが売れず、剣を出してきたのではと邪推しています)(武器に一貫性のなかった響鬼に比べ、新しい戦隊シリーズの「轟轟戦隊ボウケンジャー 」の武器はスコップとツルハシ。その後強化された武器が、ドリルとパワーショベル。このこだわりがちょっとツボにはまってます(笑)。斉木しげるが出てるのもいい!)。役者の演技のレベルは高かったと思いますが。

ただ、最終回では、普通の「仮面ライダー」とは違って、敵のボスを倒すこともなく、敵の組織が壊滅するわけでもなく、敵は敵でその根源は生き続け、ライダーのほうも、何だか伝統芸能のように、戦闘技術と敵と戦う使命が後継者に受け継がれ続けていくことに。準主役の少年は、ライダーの後継者になることを辞め、別の道を歩むことに決めたのですが、夕焼けに染まる砂浜で、響鬼から「鬼になることだけが弟子になることじゃない」いつまでもお前は俺の心の弟子だ、というように、生きるうえで大切なものを確認し合う、まるでトレンディードラマのようなラストシーンでした。

その前作の「仮面ライダー剣ブレイド)」も、予想を裏切る筋書き(ハッピーエンド)でしたが、そういう脚本家のこだわりを感じる、敵を倒してただ終わるだけじゃない最終回って、私は好きです。

さて、新作の「仮面ライダーカブト」ですが、第一話を見たとき、主人公が天に指さしながら「天の道を往き、総てを司る男……。オレの名は天道総司」と言った時には、「思いっきり滑ったなあ。このカブトは大失敗ちゃうか」と。滑った原因は、偉そうなセリフを言う割には「俺様ぶり」「ナルシストぶり」が足りなかったからなのですが(Gacktか山本“KID”徳郁ほどの「俺様ぶり」「ナルシストぶり」が必要な役柄なのです)、しかし、これが第二話目からは、俄然良くなりました。今では安心して見られるほど「俺様ぶり」が板についています。

カブトは間違いなく歴代ライダーの中では最強でしょう。何故なら、「サイボーグ009」の加速装置のような能力を備えているからです。(「クロックアップ」と呼ばれる加速中の状態では、ほとんど時間が止まっているので、「ジョジョの奇妙な冒険」の「ザ・ワールド」の時を止める能力に近いかも。)

その加速中の戦闘シーンがすごい。素晴らしいCG技術によって、たとえば雨の中のシーンでは、ほとんど止まっている状態の雨粒を弾き飛ばしながら敵と戦っています。特撮もここまで来たかという感じで、このスタッフなら、マトリックスを越える映画も撮れるのではないかと思われるほど。昔の稚拙な特撮とは大違いです。

カブト等のライダーは変身直後、比較的ダサめの格好で登場します。その後「キャストオフ」と称する脱皮で金属製の鎧を脱ぎ(脱皮の際、弾き飛んだ鎧も敵にダメージを与える)、昆虫を模した姿に。このあたりもCG技術のお陰で「サナギマンからイナズマン」とは比較にならないほど非常にカッコイイ!

現実の世界では、蹴り<剣<銃の順で殺傷能力が高いわけですが、カブトの世界では、蹴り>剣>銃と、順序が逆転します。銃(「クナイガン」という銃と剣を足したような武器)から発射される弾丸は、何発打ってもザコの敵をひるませるくらいにしか役に立たたない。剣(クナイガンを反対に持つと刃物に)でザコを始末。敵の親玉は、ライダーキックという肉体技で倒す、というのがだいたいのパターン。カブトのライダーキックは跳び蹴りではなく、言ってみればただの回し蹴りなのですが、毎回これがウルトラマンスペシウム光線と同じく最後の決め技となっていて、実にきまっています。

役者の演技も上手い。主人公の妹役の子の明るさもいいのですが、特に準主役の「加賀美」役の男性。カブトに変身する二枚目で天才ですべてを悟りきっているような主人公にいつも遅れをとり、笑わせてくれるのですが、この三枚目ぶり・人間臭さがナイス!この三枚目の彼がいるからこそ、主役が引き立っています。その彼は、敵に弟を殺されたという過去もあって一生懸命なのですが、先週の回で、無心に信念を貫いて戦ったことから、ついにライダーになる資格を虫のような機械(これがベルトや腕輪にくっついてライダーに変身できる)に認められ、ライダー(仮面ライダーザビー)に変身。まるで、織田信長の草履とりから始めた木下藤吉郎が、ついに一国一城の主になったよう。何だか「真の主役は実はお前なんじゃないの?」という気さえします(笑)。

ただ、主人公の秘密がいまだに明かされない。何故最初からライダーベルトを持っていたのか?組織の人間でもないのに、どうしてそんなにライダーシステムに詳しいのか?「ワーム」と呼ばれる敵も、何の目的でどこから来たのかもまだ分かりません。これからその謎が解き明かされ、加賀美の過去とは比べ物にならないほどの驚きと感動を与えてくれるのだと思いますが、そういう期待もあって、もうカブトから目が離せないような状態になっています(笑)。

西遊記」は豪華な役者がそろってましたが、名の知れた役者のいない「仮面ライダーカブト」のほうが私には面白く感じます。皆さんも、もし機会があればご覧ください。CGはすごいし、シナリオも、今のところは合格点だと思います。