今更ながら高槻市のプールの安全金具の話

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7月後半からいろいろあって忙しく、なかなかブログを書く時間がありませんでした。埼玉県ふじみ野市のプールの事故がきっかけで、全国のプールで安全金具設置の点検があり、その中で高槻市が大きな失態をしでかしたことも当然知ってはいたのですが。今回は、今更ながらですが、それについて振り返ってみたいと思います。

8月2日、事故受けて、大阪府教育委員会高槻市教育委員会に緊急調査を指示したところ、高槻市は、8月4日に、小学校21校、中学校8校で吸い込み金具の不備があったと報告。しかし、高槻市教委は、「排水口のフタはボルトなどで固定されており、排水口の奥にある直径15センチ程度の吸い込み口に防止金具がないだけで使用を中止することは考えていない」(読売新聞8月8日)と、プール使用継続の意向を示していました。

ところが、高槻市は一転して「府教委の要請は無視できない」(読売新聞8月10日)と、プールの使用を中止。

そして、8月15日には、高槻市大阪府に提出していた調査報告書は、実は、8年前のものであることが発覚したのです。

★【読売新聞】学校プール 8年前調査を報告
 高槻市教育委員会「締め切り間に合わず」

 埼玉県ふじみ野市のプール事故を受けて、大阪府高槻市教委が今月4日、しないの小中学校のプールの安全対策について府教委に報告した現状調査は、8年前に同市が実施した調査の結果だったことが分かった。その後市教委が再調査した結果、新たに小中学校22校で、排水管の吸い込み防止金具の未設置が判明。市教委は「府教委の調査の締め切りに間に合わないため、以前の調査結果を回答した。不備の把握が遅れ、申し訳ないと釈明している。

 府教委は今月2日、文部科学省の通知を受け、府内の各教育委員会に対し、公立学校プールや公営プールの排水口の固定状況や吸い込み防止金具の設置状況などの調査を指示。高槻市教委は回答の締め切りが4日正午に設定されていたことから、全小中学校59校のプールの実地調査は間に合わないと判断し、8年前に行ったプールの安全対策の調査結果を回答したという。

 その後市教委は、8年前の調査で不備のあったプールから順次、点検作業を開始。9日になって、当時の調査で「金具の設置」を報告していた小学校が、「再確認の結果、未設置だった」と市教委に連絡してきたため、再調査の結果、新たに小学校15校、中学校7校で未設置が判明した。(後略)★



教室にクーラーを付けるより先に、こうした子ども達の安全に直結することを優先すべきなのは行政・教育者として当然でしょう。それを8年も怠ってきたのは重大です。しかし、高槻市教委の「強気でプール使用を継続」→「一転して使用中止」→「報告書の不備発覚」という流れの中には、いったい何があったのでしょうか。

私がこのニュースを聞いて気になったのは、二学期制が進められていく中、すべてのモデル校(幼稚園を除く)で、夏休みにはサマースクール・授業日を設けて、そこでプール指導をするとしていたことです。

第2回二学期制推進委員会の傍聴
http://kitaoka.seesaa.net/article/21064493.html


高槻市教委は、もしかすると、サマースクール・授業日のプール指導が中止になることで、二学期制推進に水を差されることを恐れ、当初「強気でプール使用を継続」しようとしたのではないでしょうか。

締め切りに間に合わないから、8年前の調査結果を出しておこうというのは、あまりにも杜撰で無責任ですし、今回同様の調査を8年前に行っておきながら、金具が設置されてこなかったということは、問題を8年間も放置してきたということで大変遺憾なことだと考えます。

どうしてこんなことを中核市教育委員会がしでかしたのか不可解ですが、さらに不思議なのは、8年前の調査結果を報告するという馬鹿なことをしたのは、「高槻市だけ」という事実です。他の自治体は、多少報告が遅れた町(島本町能勢町)もあったようですが、正直に報告をしています。

何故に、高槻市だけが、調査が遅れ、偽の報告をしたのでしょうか。実は、高槻市にも、本当は期限内にちゃんと迅速に調査が出来るだけの体制・力はあったのではないか。けれども、何らかの「事情」があって、故意に、ちゃんと調査をしなかったのではないか。その事情というのは、やはり「二学期制の推進」では?・・・これはあくまでも私の推理ですが。

「プールを中止して二学期制推進に水を差したくない」→「金具がついてなくても安全だと府教委やマスコミには強弁しよう」→「だったら調査なんかしても意味がないし、調査をやるだけ疲れるから、8年前のものを出しておけ。それでごまかせるだろう」→「保護者からクレームがたくさん入った。やっぱり中止しよう」というような流れだったのではないでしょうか。そうでも考えないと、高槻市が何故こんなヘマをやったのか、まったく合点がいきません。

どうしてこんな事態になったのか。トップはしっかりと教育委員会の職員らにヒアリングをして、本当の「事情」を調査してほしいですね。子ども達の安全にかかることを、8年も放置してきたのですから、場合によっては、何らかの処分も必要ではないでしょうか。

しかし、8年間ということは、丸々奥本市長の任期中ですね(笑)。