吉野家の牛丼が復活

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吉野家の牛丼が、今日一日だけ復活する。

復活を待ち望む多くの牛丼ファンのために、というのが理由だろうが、1日だけ復活させて、アメリカ産牛肉を使った牛丼をどれだけの人が受け入れるか見たい、という実験的な意味が多分にあるのではないかと思う。

私個人としては、牛丼は大好きだが(いつも生卵をかけて食べていた)、人生があと数十年残っていると思われるので、食べに行く気は起こらない(笑)。牛肉の輸入再開の交渉に際して、日本がアメリカに対して強く出られない立場の中で、のらりくらりとかわしてくれていた農林水産省には心の中でエールを送っていたが、輸入が再開された今となっては、できるだけ牛肉を食べないようにして「本土防衛」的に自衛するのみである。

吉野家のサイトでは、米国産牛肉の安全を謳っているが・・・

吉野家の牛丼 安全・安心!納得ツアー ~吉野家の牛丼ができるまで~
http://www.anzen-anshin.tv/


吉野家も、アメリカ産牛肉に頼らないで、何とかできなかったのか。日本の牧場に投資して、独自に安全で安い牛肉を開発するとか、オーストラリアやニュージーランドの牛肉を使うとか。値段が多少高くなろうとも、吉野家ファンは、牛丼を食べにくると思うのだが、そうした方向での今日のような実験的な日は設けられることはなかった。牛丼に関しては、あくまでアメリカ産にこだわる吉野家は、資本等でアメリカと関係が深いのだろうか。それとも吉野家の牛丼の味は米国産牛肉でなければ出せないのか、あるいは「安い」ことにこだわっているのか。

「ピンチをチャンスに」と言うが、この時期にまたアメリカでBSEに感染した牛が見つかったりすれば、客足がますます遠のくという、さらなるピンチを招きかねないのではないか。

「ピンチをチャンスに」といえば、こんな記事があった。

【産経新聞】井口インターナショナル、マンション耐震情報開示サイト開設

 建築物の構造設計を行う1級建築士事務所「井口インターナショナル」(東京都渋谷区、井口哲朗社長)は、耐震性に優れたマンション選びの支援サイト「耐震ドクター」(http://www.taishin-doc.com)を開設した。一般消費者の保護を目的に、新築・中古マンションの耐震性情報を掲載するほか、プロの構造設計者がメールでの無料相談に応じる。

 マンションの耐震性に関しては、「デベロッパーはデザインや立地などをアピールするが、耐震偽装事件後も構造的な耐震性情報はほとんど開示していない」(井口社長)のが現状という。

 「耐震ドクター」では、パンフレットやモデルルームだけ見ても耐震性の優劣の判断ができない一般消費者のため、各デベロッパーから提供される新築・中古マンションの設計内容を同社の構造設計者らが改めて審査。審査に合格したマンションの物件情報のほか、構造設計の担当者や施工者の名前、独自に査定した耐震強度と関係が深いとされる躯体(くたい)費(鉄筋、コンクリート工事などにかかる費用)など56項目を掲載し、各マンションの耐震性を比較検討できるようにした。(後略)★



耐震偽装事件で消費者は、姉歯物件以外にも内心疑惑の目を向けていることだろう。そうした状況で、構造設計を行う1級建築士事務所が記事のようなサイトを作るというのは、まさに「ピンチをチャンスに」ではないかと思う。

今回の米国産牛肉の輸入再開をチャンスにするとするならば・・・保険会社が、吉野家の前で、米国産牛肉が原因で変異型ヤコブ病に罹った場合に保険金を支払う「狂牛病保険」を売り出すとか(笑)。
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以前、回転寿司チェーンの「くら寿司」で、「企業の差は安心の差です。」と書かれたポスターが貼られていた。「安全の差」ではなく「安心の差」というところが味噌だと思う。絶対の安全、というものはこの世には存在しないが、万一事故が起きたとき、企業や行政が、どれだけ人々のことを思って迅速に対応してくれるか。そこに安心感、「安心の差」が生まれる。プールでの事故・飲酒運転による事故が起きてからの、各自治体の対応の差を比較してみると、その差が歴然だろう。

今日の吉野家の牛丼は全国で100万食限定らしい。数時間のうちに売り切れとなるのか、それとも閑古鳥が鳴くのか。どれだけの人が牛丼を食べるのか、結果が気になる。英国ではBSEに罹った牛が約18万頭いた中で、変異型ヤコブ病(vCJD)にかかった人は約100人。変異型ヤコブ病の発生率は500万人に1人と推定されている。今日牛丼を食べて変異型ヤコブ病にかかる可能性は極めて低いが、安心感という点では・・・