新幹線新駅は、栗東市の「自爆スイッチ」だ!

!!!緊急告知!!!

平成18年10月7日(土)午後7時から約2時間、栗東市中央公民館2階(栗東市役所前)で、谷澤忠彦弁護士の講演会を開催することになりました!

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昨日、栗東市の新駅建設のための起債を差し止める命令が大津地裁から出されました。10月15日からは栗東市市長選挙も行われ、今後さらに新幹線栗東新駅問題は加熱しそうです。

以下に、先日の青年塾・串本講座で「新幹線栗東新駅の建設凍結は、是か非か?」というテーマで行ったディベートにおいて、我々OBチームが用意した是側の立論にプラスアルファしたものを記します。

ディベートではOBチームが勝利しましたが、それもこれも9期生の神野さんが実によく調査してくださったお陰です。9期生の戸田さん・宮崎さんも、当日の午前3時半頃まで一生懸命準備してくださいました。貴重な経験をさせていただき、本当にありがとうございました!


1.新幹線栗東新駅とは

「もったいない」をキャッチフレーズに滋賀県知事に当選した嘉田氏。彼女が建設凍結を公約にしたことで「栗東新駅」のことが一躍有名になりました。この駅、建設予定地は、東海道新幹線・京都駅~米原駅間の滋賀県栗東市。「南びわ湖駅」「びわこ栗東駅」など、いくつかの仮称が付けられていますが、ここでは単に新駅と呼びます。

この新駅は「請願駅」といって、滋賀県栗東市をはじめ、近隣市が資金を負担して、つまり、税金を使って作られるものであり、その建設は「公共事業」となります。公共事業である以上、社会的必要性が高いことが前提となりますが、この新駅は、後述のとおり、高い社会的必要性があるとは考えられません。また、多額の税金が投じられるにもかかわらず、土地の買収において、極めて不正な取引がされていたことも判明しました。


2.新駅の利便性

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新駅の建設予定地は、上図のとおりで、JR東海道線の栗東駅から1km、JR草津線手原駅から800m離れており、乗り換えにおいては極めて不便な場所です。

新駅には、1時間につき、新幹線の上り・下りが各1本ずつしか停まらないことも明らかに。当然のぞみは停車しません。新駅ができれば、京都まで新幹線で9分で行けるようになりますが、現在でも、草津駅から京都まで新快速で19分で行くことができます。新駅から新幹線を利用した場合、余分に特急料金の700円も必要に。わずか10分しか違わないのに、700円も上乗せして払う人がいるでしょうか。

新駅の建設には約240億円という巨額の税金が必要であるとされていますが、その割には利便性がほとんど高まらないのです。


3.不透明な資金計画

現在新駅の建設費用は、上述のとおり、約240億円と見積もられています。しかし、独自に調査を進めている谷澤弁護士は、「新駅建設についての考え方といった抽象的な資料は存在しますが、財政と連動した具体的な資料は見当たりません」「栗東市および栗東市土地開発公社に対し、新駅についての質問状を提出しましたが、何らの回答は得られませんでした」と嘉田知事に宛てた意見書の中に記しています。

総費用の金額は約240億円と示されていますが、詳細な見積や図面などはまったく開示されていません。非常に不透明な資金計画だと言わざるを得ません。


4.不正が疑われる土地取引

栗東市土地開発公社が、新駅建設や周辺開発のために先行取得した約15000坪の土地の簿価は、平成18年4月時点で合計112億円。1㎡あたりにすると平均約19万円ですが、その土地の路線価格の平均は約5万円でした。公社は、路線価の4倍という不当に高い金額で土地を取得したことが分かります。
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その土地取引の中には、こんなものが・・・平成12年3月、公社は、中辻さんという方がもともと所有されていた土地を取得。しかし、中辻さんと公社が直接取引をしたのではありません。当初、中辻さんは、公社に対して土地の売却を求めたのですが、公社はその申し出を拒否。その後、中辻さんは、第三者に対して、1坪15万円で土地を売却します。ところがその土地が、何故か、山本氏なる人物から1坪91万円で公社に売却されていたのです。この経緯は極めて不可解であり、闇の勢力の存在と、それと公社との結託を疑わせます。


5.「経済波及効果」に関する疑問

栗東市は、経済波及効果を「1年で約3700億円」と試算しています。しかし、ほとんど利便性が高まらないのに、これほどの経済波及効果があるとは考えられません。実はこの試算、バブル期の昭和63年度のもの。現在の状況に沿った厳密な再試算が必要であるのに、栗東市は何故かそれを怠っています。

栗東市は、経済波及効果の試算で、観光客を初年度1日につき2952人と見積もっていますが、観光資源が乏しい栗東市に、果たしてそれだけの観光客が来るのでしょうか。「ぶらり栗東」という栗東市が発行している観光案内には、「①伊勢落の千本松、②栗東市環境センター、③寿泉神社の六面石憧、④岩上神社・・・」などが挙げられていますが、全国的に知名度に乏しいものばかりで、とても観光名所として集客力があるとは思えません。

通勤・通学客を1日1970人と見積もっていますが、新幹線を通勤・通学に使う富裕層がそれほど栗東市に存在するのでしょうか。

建設効果を10年で約6426億円と見込んでもいますが、それだけのビルを建てても、そこに企業が進出するとは考えられません。栗東市は「先導プロジェクト」と称して官と民が協力して様々な施設を駅前に建設する計画を立てています。しかし、大阪市横浜市のような大都市でもこのような箱物有りきのプロジェクトは破綻しています。栗東市が強引にこのプロジェクトを推し進めても、無駄に税金を食い潰し、借金だけが残る結果に終わると考えられます。


6.重い財政負担

新駅の建設予定地は地盤が弱く、その補強のための費用もかかるため、建設費が約240億円と日本一高い「請願駅」となります。他の請願駅の建設費は100億円前後。新駅周辺の開発も含めると、総額656億円もかかると試算されています。建設予定地の北側には積水ハウスの工場があり、その移転費用にも30億~300億円かかると言われています。

栗東市は乗り換えの利便性を高めるためJR草津線にも新駅を建設し、ムービングウォーク(動く歩道)で新幹線の新駅を結ぶとしていますが、その費用は約50億円。

現在約1000億円もの借金があり、すでに、年間歳入約250億円のうち、約18%にあたる約45億円を返済に充てている栗東市。新駅の駅舎建設・周辺開発のために、今後、約280億円もの新たな起債を計画しています。この新たな借金による栗東市民の1世帯あたりの負担額は約150万円。150万円あれば、車を買ったほうが、むしろはるかに市民の利便性が高まるのではないでしょうか。

栗東市は、新駅による経済波及効果によって人口・企業が増え、税収が増えると予測しています。しかし、この予測が外れ、現状の税収のまま、あるいはそれを下回ることになれば、栗東市の財政収支は確実に悪化します。現在栗東市の実質公債費比率は13.6%ですが、この比率が18%を上回ると、市独自で起債ができなくなります。

新たな借金と、金利負担・税収の落ち込みが重なれば、夕張市のように財政再建団体に転落する恐れもあります。


7.新駅建設は栗東市の「自爆スイッチ」

ずさんな需要予測に基づいて656億円もの税金を投入してしまうよりも、新駅建設を凍結して計画を再検討すべきです。

土地取引の疑惑については、徹底的に調査をし、場合によっては刑事責任の追及をするべきです。

夢のような「経済波及効果」を吹聴し、建設費の裏付けや不正な土地取引についての情報を開示せず、市民に重い税負担を負わせる栗東市のやり方は、「悪徳商法」のようなものではないでしょうか。もう一度しっかりとした需要予測を行い、すべての情報を開示したうえで、建設の是非を市民に問うべきです。

栗東市の国松市長は「新駅建設は、栗東市の存亡を賭けた一大事業であり、起爆剤である」と言っていますが、需要予測が外れ、人口減などで税収が落ち込めば、財政破綻の危険も高まります。新駅建設は、栗東市にとって、起爆剤どころか「自爆スイッチ」になりかねないと考えます。


8.余談

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新駅促進協議会の事務所には、滋賀県出身の田原総一朗のインタビュー記事が掲載されていました。しかし、上記のような事実を知ったら、どういう反応をされるのでしょうか。ぜひ新駅の問題をサンデープロジェクトで取り上げていただきたいですね。

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公社が買い取った土地は今後どうしたらいいのか。私は、日本の人口の20%以上を占めまでになった高齢者の需要を見越して、市営の公園墓地にすべきだと考えます。

栗東市にはインターチェンジがあり、道路交通の便がよく、近隣府県から墓参りするには最適な距離です。同じ滋賀県信楽町と提携して、墓石に信楽焼きを使うなど、ユニークで愛着を感じられる、明るいイメージの墓地公園にし、墓地にお参りにくる「お客様」を相手に、線香や供花などの「お墓参りグッズ」を売るなどもして、墓地関連ビジネスを推進するというのはいかがでしょう。お墓を大事にしない日本人はいないので、お墓のある栗東市は大切にされ、お盆は人で溢れ返り、「ユニークな墓地公園」という新しい観光名所ができることによって、「観光客」も訪れるようになるのではないでしょうか。市民と協力して墓地公園を企画・運営をすれば、愛郷心も芽生えてくると思われます。

とりあえず、栗東市民をばかしたタヌキ達には、責任をとる意味で、一番最初に墓地を買ってもらって、信楽焼きのタヌキの墓標を立て、死後はそこに眠って欲しいですね(笑)。

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JR東海道線の栗東駅前に行きましたが、人々のにおいがまるでないのに驚きました。駅舎はガラス張りでとてもきれい。駅前にはきれいな高層マンションが立ち並び、大きなショッピングモールもある。だんご三兄弟のような素敵なオブジェもある(笑)。けれども、地面のタイルの隙間からは草がぼうぼうと生え、午後6時の退勤時間だというのにほとんど人影がない・・・まったく市民の愛着心というものをここには感じませんでした。こう言っては失礼かもしれませんが、まるで「新築されたゴーストタウン」のように私には思われました。新幹線の新駅ができても、同じような状況になるのは目に見えています。

栗東市は、大型の公共事業を行政主導で計画するより、住民一人ひとりに街づくりに参加してもらえるような、そんな行政を目指す必要があるのではないかと感じました。

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平成18年10月7日(土)午後7時から約2時間、栗東市中央公民館2階(栗東市役所前)で、谷澤忠彦弁護士の講演会を開催することになりました!

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