郵便貯金をノーベル平和賞のグラミン銀行のようにできないかと考えたけど・・・

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まずは、ちーろぐ様から引用を。

【ちーろぐ】グラミン銀行とユヌス総裁

2006年のノーベル平和賞バングラディシュのグラミン銀行
その総裁ムハンマド・ユヌス総裁が選ばれました。

ユヌス総裁は、貧困こそ人間の最も悲しい姿であり、
撲滅すべきものであると語り、世界一貧しい国といわれる
バングラディシュでも特に貧しい農村部の女性に無担保で
融資を行ってこられました。

(中略)

貸し付けるお金はわずかです。
それを村の女性5人で組を作り、返済計画を立て、みんなで
頑張ろうとモチベーションを上げる助けを行います。
だから、返済率はなんと95%を越えているのです。
無担保ですが、金利は20%です。
激しいインフレが起こるバングラディシュでのこの金利
決して高いとはいえません。

資金を手にした女性達は、雑貨屋を営むために使ったり
自前のミシンを購入して衣類を作ったり、それぞれが自活のために
何かを始めるのです。

大それた大仕事を始めよう!そんな計画ではありません。
一家が安定した生活を送れるための、ささやかな「立ち上がり資金」
これがバングラディシュの人々には必要だったのです。

(中略)

かつて、松下幸之助翁は
「貧乏は四百四病よりもつらい」と言いました。

世界ノーベル平和賞にこのグラミン銀行とユヌス総裁が選ばれたことは
世界における『貧困』こそが、様々な紛争と悲劇を生み、
『貧困の撲滅』こそが、人間性に基づいた『平和』を生み出すことを
メッセージとしているように感じました。

もっともっと日本でこの活動が紹介されるといいのにと思います。
貸金規正法の改定などの、大切なポイントもここにあるのではないでしょうか?★



私は郵便貯金の資金をどう活用するかに興味をもっています。このグラミン銀行のように、貧困から立ち上がるための資金になれば、安倍さんの言う「再チャレンジ」にも繋がるのかもしれません。

郵貯の残高は徐々に減ってきたとはいえ、まだ200兆円ほどあります。簡保と合わせると約315兆円。これが最近までは、財政投融資特殊法人などへ向かっていたわけですが、現在は金融市場で運用。その中で、国債や地方債も買ってはいますが。

郵貯も、「預金者貸付け(ゆうゆうローン)」 という名称で個人に対して貸し付けています。ただし、その上限額は、定期預金のような形で貯金している額の90%まで。グラミン銀行のように無担保ではありません。返済が滞れば定期預金を没収すればいいので、郵貯としては取りっぱぐれはありません。

でも、グラミン銀行のやり方をよく見てみると、無担保とは言っていますが、返済計画を一緒に立てた5人についても、借金に対する責任を負わせています。つまり、連帯保証人が5人いる、と言えるでしょう。日本でも、5人もの他人に連帯保証人をお願いできるような人物と計画であれば、そりゃあ返済できる確率は非常に高くなります。

また、グラミン銀行で借りた資金の使い道は、小規模な商店や手工業。日本が江戸時代・明治時代くらいなら、これくらいでよかったかもしれませんが、現在の日本では、非常にマーケティングが難しそう。無論そのような資金需要がないわけではありませんが、国民生活金融公庫などもありますし、新たに郵貯グラミン銀行のまねをしても、あまり意味がないかもしれません。

日本では生活保護世帯が増加してきています。この一つの要因は、高齢者世帯の増加だと考えますが、一旦生活保護費の支給を受けると、人間ですから甘えなどもあって、なかなかその状況から抜け出せないのではないかと思います。

よって、生活保護になる前の段階での、資金的な手助けや精神的な励ましが大事なのではないでしょうか。医療や介護でも予防が大事だと最近言われていますが、それと同じような予防が。

こちらのサイトには、グラミン銀行のやり方について、このように書かれています。

貧民銀行 たった6ドルで人生が変わった

(前略)
▼銀行を超えた銀行─秘訣は『五人組』

借り手は5人ほどのグループを作る。グループ内で返済計画について話し合い、他のメンバーの借金にも責任を持つ。銀行各支店の担当者は定期的に各グループの住む地域をまわり集会を開き、そこで借り手は借金返済の計画を説明する

地域をまわる銀行の担当者はまるで「先生」のよう。借り手に講義をし、返済のためのノウハウを教え、貧困から脱出できると希望を与える。「先生」はかつての借り手で、返済を成し遂げた経験者がなることが多い。

また借り手の9割以上が女性であるというのもグラミン銀行の特長だ。貧しさの犠牲になるのはまず女性。働いても働いても飢えに苦しむと悪循環と断ち切ろうとする決意は男性より女性のほうが強いと、ユヌスさんはいう。

グラミン銀行にはスローガンがあり、集会ではみなそれを合唱する。文字が読めない人が多いので、自分が常に何をすべきか意識させるためだ。

15条からなるスローガンのひとつには「他の人の奴隷にならない。自分たちのために働きます」とある。

また7条には、「われわれは子供を教育します」とある。借り手自らがお金を出し合い公立学校へ入る前の教育をするための施設を作った。その数5000校以上。(後略)★



グラミン銀行を見習うとすれば、「地域をまわる銀行の担当者はまるで『先生』のよう。借り手に講義をし、返済のためのノウハウを教え、貧困から脱出できると希望を与える」ということ。また、そのために、「他の人の奴隷にならない。自分たちのために働きます」「われわれは子供を教育します」などのスローガンを合唱して、精神と方針を確認することでしょう。このスローガンが日本に合っているかどうかは別として。

グループを組むということも重要なポイントでしょう。やはり、一人では挫けやすいですし。地域でのつながりが希薄になった日本でどのようなグループを組むか。同じような境遇の人達で励まし合うのがいいかもしれません。

日本の場合、貧困から抜け出すには、事業を興すことのほか、再就職や資格の取得でもいいと思いますが、お金以上に、上記のような取り組みのほうが必要だと思います。

これを果たして元「公務員」の郵便公社職員にできるかどうかですが。

しかし、郵政公社は何故消費者金融をしないのでしょうか。消費者金融の各企業は、無人でお金を借りられるようなものも作っているわけで、それにはそれほどノウハウは必要ないでしょう。ブラックリストの共有化は必要でしょうが。

郵便局が消費者金融のようなことをすることができないのは、消費者金融業界から多額の献金をもらっている政治家の圧力のせいでしょうけど。郵便局にノウハウがないのなら、消費者金融のようなノウハウのあまり必要のないものから事業化すればよいと思うのですが。

郵貯簡保の巨大な資金を、なんとか日本の将来のために有効活用してほしいものです。