「府下2位」とはいえ「健全」とは言い切れない高槻市の財政

高槻自民党は奥本務市長を推薦します

写真は先日もらった高槻自民党のビラ。次回の高槻市長選挙では奥本市長を推薦するとのことで、「奥本つとむ市長との政策協定」などが書かれていました。

「ガンコなまでに健全財政を目指す」と書かれています。「ガンコはええけど、ガンバはどうした?」という思いの方が多いのでは?次の市長選挙に出るならば、4年前の市長選挙であれだけ有権者に対して大々的に約束した「サッカースタジアムの建設、ガンバ大阪の誘致」等の公約違反について、しっかり説明していただきたいところです。

まあそれはここではおいて、今回は、高槻市の財政の健全性について考えてみたいと思います。

このビラを読めば、いかにも高槻市の財政が健全であるとの印象を受けますが、果たしてそうなのか。ビラによると、平成17年度の高槻市経常収支比率(財政の健全性を示す一つの指標)は90%であり、これは大阪府下では2位(32市中)であるとのこと。

では、府下で1位はどこなのか。実は、高槻市の隣りの茨木市なのです。茨木市の平成17年度の茨木市の経常収支比率は88.4%でした。

これまで見てきたように、人口の増減率教育のあり方図書館の利用度、スポーツ施設の利用度などで、茨木市に負けているわけですが、財政の健全度まで、茨木市に負けているとは・・・高槻市民としては、悔しい限りです。

都市間競争という観点で見るならば、隣接している市町村を、まずはもっとも意識しなければならないはず。これから高槻市は、茨木市をもっとライバル視して頑張るべきです。

さて、茨木市のサイトを見ると、次のように書かれていました。

ibarakikeijoshusihiritu.jpg

茨木市の財政状況

(前略)
1 主な財政指標の推移

(1) 経常収支比率(減税補てん債等を経常一般財源とした場合)

市税や譲与税などの経常的に収入される使途が特定されていない財源が、人件費や公債費などの義務的な経費に充てられる割合を表わしており、財政構造の弾力性を示す指標です。70~80%が望ましいとされ、高くなるほど、道路や施設等を整備する投資的経費や市民ニーズに対応した新規事業を実施するための財源が不足していることを意味しています。

茨木市は、17年度も88.4%と府内32都市中1番目に低い数値となっていますが、90%に近づいており、健全な状態とは言い難くなっています。府内各都市においても、様々な収支の改善努力が行われており、本市におきましても、経常経費の抑制をより一層推進していく必要があります。(後略)★



経常収支比率は「70~80%が望ましい」。ということは、高槻市の90%という数字は、望ましくないということです。府下で2位だとしても、自慢げに実績として掲げ、浮かれているような状況ではないのではないでしょうか。

府下1位の茨木市すら、「90%に近づいており、健全な状態とは言い難くなっています。府内各都市においても、様々な収支の改善努力が行われており、本市におきましても、経常経費の抑制をより一層推進していく必要があります。」と、謙虚に反省。2位だ、90%だと、高槻市は馬鹿みたいに諸手を挙げて喜んでいる場合ではありません。こういった行政の姿勢も、茨木市に負けているのでは?

他にビラでは「一人当たりの借金 府下でもっとも少なく」と書かれていますが、これについても、「10%を超えないことが望ましい」とされている公債比率が、高槻市の場合、9.9%と、危険水域に限りなく近づいています。もし、奥本市長が、公約どおり、250億円をかけてサッカースタジアムを建設していれば、10%を超えていたであろうということは前回書いたとおりです。

250億円を、高槻市の人口約36万人で割れば、一人当たり約7万円。奥本市長が公約違反したおかげで、高槻市民はこんなに余計な負担をせずに助かったのかもしれません。財政で見るなら、奥本市長の4年間の本当の実績は「公約違反」だったりして

また「人口は増加に 改革総仕上げ」と書かれていますが、国勢調査によれば、ここ5年間で高槻市の人口は減少。私の調査では、特に子ども達の流出になんら歯止めがかかっていないことが分かりました。最近確かに人口は微増していますが、これは、奥本市長の改革によるものではなく、民間ディベロッパーがマンションを開発したからでしょう。

奥本市長の4年前の選挙の際のビラを見てみると、そのときも「4年間の主な実績」として「大阪府下でトップクラスの財政健全化を達成」と書かれていました。平成17年度から4年前の平成13年度の高槻市の経常収支率を見てみると87.5%で、90%を下回っています。実は、4年間で、経常収支比率は、悪化しているのです。

年度(平成) 13 14 15 16 17
経常収支比率 87.5 88.4 89.2 90.2 89.9


「経常収支比率90%」「府下2位」を、この4年間の奥本市長の実績として本当に挙げていいのか。私には疑問に思えます。

4年間で90%に悪化させてしまった経常収支比率を「実績」として挙げなければならないほど、奥本市長のこの4年間の実績は乏しい、ということでしょう。確かに公約違反ばかりですし。