【市バス】「幽霊運転手」事件の住民訴訟を起こしました!

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昨日、平成20年1月25日、高槻市営バスで長年行われていた「代走」「違法な有給職免」「労組幹部優遇ダイヤによるヤミ専従時間」によって、違法に労組幹部らが給与を受け取り、高槻市営バスの会計に損害を与えていた件について、住民訴訟を起こしました。

この1週間は、訴状作りに没頭していました。違法に給与を受け取っていた職員の数も多く、また、管理職側の職員に対しても連帯責任をとってもらうような形にしたかったので、かなり苦労しました。苦労した割には、訴状を読み返すと、まだまだ足りないなと思うところもあるのですが・・・

代走などの資料がある5年度分だけから算定しても、損害額はおよそ5000万円。これは労組幹部らが返還を約束している約900万円を除いた額です。これだけ公金から無駄に支払われていたということです。本当にひどい話です。

しかし、監査をしてくださった個別外部監査人の方の書かれた監査結果を改めて読むと、本当に良心というか、監査の結論からすれば要らぬ蛇足がたくさんありました。以前書いた有給職免や労組幹部優遇ダイヤについての批判もそうですけれど、最大の蛇足は、代走の不当利得について、平成14・15年度の分も、何故か仮算定しているところです。最終的にはこれを不当利得には含めていないので、こんなものを算定なんてする必要はなかったはずですが、何故か残してくれていました・・・そういうところからすると、個別外部監査人の方には、調査委員会の結論と合わさざるを得ない何らかの事情があったけれども、実はそれには心の底では納得できなかったのではないかと、私には思えるのです。そういう「良心」が見えるので、本当に外部監査を請求しておいてよかったと考えています。個別外部監査人の方には感謝をしております。

以下に、住民訴訟にあたっての私の考えをまとめました(訴状と若干違う部分もあります)。裁判所にどこまで認められるか分かりませんが、市民のために、1円でも多く取り返せるよう、がんばりたいと思います。ぜひ傍聴などに来てくださいね!

違法行為 代走
(幽霊運転手)
適法な交渉以外を
認めた有給職免
ヤミ専従時間
(労組幹部優遇ダイヤ)
概要 労組幹部らが、勤務日に、組合活動やゴルフを行う必要が生じた際、自分の代わりに非番の職員にバスを運転させ(代走)、自分は勤務していないのに、勤務したことにして(幽霊運転手)、その分の給料もボーナスも受け取っていた。代走は管理職側も黙認していた。 労働組合法では、労使の協議・交渉以外に、有給で組合活動を認めることを禁止している。しかし、高槻市では、こうした組合活動に対してまでも、有給で職務専念義務を免除(有給職免)し、認めていた。労組側の申請を確認もせず鵜呑みにしていたため、申請内容とは違う政治活動等が行われることもあった。 他の職員は、運行ルートは日替わりで、勤務時間も固定されていないのに、労組四役だけは、ほぼ平日のみの出勤で、運行ルートも勤務時間も固定され(労組幹部優遇ダイヤ)、さらに他の職員よりもバスに乗務する時間が短かく、バスから降りた後の1~3時間は、組合活動を行っていた(ヤミ専従時間)。
違法根拠 ●市民に対する背任
●労使が共謀して行った組織的な業務上横領
●不当労働行為として「経理援助」を禁止した労働組合法違反 ●市民に対する背任
●労使が共謀して行った組織的な業務上横領
労働組合法違反
共同不法行為 ●代走依頼者
●「代走願い」を出した労組幹部
●正式な決裁手続きもせず許可した運輸課の課長・主幹・営業所長
●監督する立場にあった管理者・理事・次長・参事
●有給職免取得者
●「勤務免除願」を出した労組幹部
●決裁・合議した総務課の課長・主幹、運輸課の課長・主幹・営業所長
●監督する立場にあった管理者・理事・次長・参事
●労組四役
●バス運行ダイヤの調整を行った企画室の室長・主幹
●監督する立場にあった管理者・理事・次長・参事
隠蔽の事実 情報公開請求に対して、「点呼記録表」から代走の事実が記された箇所を消去して開示した。(虚偽有印公文書作成) 情報公開請求に対して、一部の有給職免(黒部旅行)の決裁文書を改ざんし(虚偽有印公文書作成)、公開対象とならないようにして開示を免れた。 ヤミ専従時間においては組合活動がされていたのに、現在でも「予備勤務」「待機」と虚偽を主張。
遡及期間 10年 10年 10年
外部監査人意見
の不当な点
代走が行われた年月日と代走を依頼した労組幹部らを特定するためには、「勤務割出表」「点呼記録表」「自動車運転報告書兼乗務記録」の3種の書類のうち、いずれか1種があれば足りる。交通部の芝生営業所には平成14年度以降のこの3種の資料がすべて存在する。しかし、外部監査人は、緑が丘営業所には平成14及び15年度の「勤務割出表」「点呼記録表」が存在するものの、同年度の「自動車運転報告書兼乗務記録」が存在しないため、どちらの営業所に勤務していたかによって、職員ごとに不当利得の算定につき不公平が生じるとの不可解な理由を述べて、両営業所ともに上記3種の資料がすべて存在する平成16年4月1日以降についての返還を求めるのが相当であるとした。
平成14・15年度についても、代走という違法行為が特定できる資料が2種類も存在しているのであるから、これに基づいて返還請求するのが、高槻市民に対する最低限の責務のはず
「本来、免除対象となる活動は、明文化の規定を定めた上、その規定に照らして決裁を行うべきであり、現状の運用は妥当性に欠け、労使間の馴れ合いに基づく不適切な決裁が行われ続けていた」「会合等を主催する上部団体などからの出席要請書などを検証することなく決裁を行ってきた点についても、労使間の馴れ合いが伺える」「行き先(宿泊先)は上部団体等の決定によるものであり労組側で決定するものではないが、いわゆる観光地等が多く、社会通念に照らし批判を受けてもやむを得ない」と批判しながら、「過去の先例に照らして」決裁されてきたので、「不当利得に該当するとは言えない」と結論付けた。
国は不当労働行為の禁止を通知しており、高槻市は「過去の先例」が違法であることを知っていたはずである。
労組幹部以外の待機者の配置状況を調査したところ、労組幹部が待機する日であるかに関わらず一定であることが確認されている。換言すれば労組幹部による待機の必要性にはかなり疑問がある」「相当以前から甘い労使慣行を認めてきた、高槻市交通部の管理状況には問題があったと考える」「本件の場合、代走についてはその事実を示す証拠資料が十分であるものについては、事後的にも不当利得として返還を求める手段が残されていた一方、交通部当局が、労組幹部に対し必要性に疑問のある長時間の待機時間を認めてきたこと、かつ職場離脱の事実があったのかどうかの判断もできない状況は、杜撰といわざるを得ず、結果、組合幹部の自己申告による以外、不当利得を返還させる手段を喪失せしめたということは管理上の責任であると考える。このように考えれば、職場離脱の事実の有無に関わらず、必要性に疑問のある長時間の待機時間を供与していたことは、交通部当局による実質的な優遇ダイヤであるとの批判も免れない」と批判しながら「待機者を十二分に配置」することは違法とは言えないとし、不当利得としなかった。
外部監査人は、労組幹部以外に常に一定数の待機者が存在していたこと、労組幹部の待機の必要性に疑問があることを認めているのに、「ヤミ専従時間」を「待機者の十二分な配置」と結論付けるのには無理がある。
損害算定 平成14・15年度分については、外部監査人が仮算定しながら、返還請求されず。 平成16・17・18・19年度分については、調査委の報告に基づき、既に返還が約束されている。 調査委の資料に有給職免の一覧があり、その日数に、1日の勤務時間と平均時給をかけて各職員分を算定。 四役経験者の勤務日から、代走・有給職免の日を除いた日数に、1日の勤務時間と平均時給をかけて各職員分を算定。
損害額計 \4,151,672
+法定利息
\9,042,689
法定利息は無確約
\12,411,552
+法定利息
\33,263,728
+法定利息