JAたかつき本店ビル建設に対する補助金は違法

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昨日の議会では、JAたかつきの本店ビル建設に対する補助金について、私だけではなく、福井議員、二木議員、吉田稔弘議員からも質問がされました。川口議員から反対の意見表明もありました。

福井議員は「JAたかつきから高槻市は12億円以上も借金をしているのに、2億5千万円も補助金を出すのは何事か。ビルの建設費が約16億円だという証拠資料の提示も無い」、二木議員からは「この補助金交付には公益性も透明性もない。JAたかつきから書面で要望書が出されていないというのもおかしい」といった鋭い指摘もありました。

私はこの補助金の一番の問題は、JAたかつきが行おうとしている貸室事業が、農業協同組合法に違反することだと考えてます。違法な事業に、地方公共団体補助金を出すことは出来ないはずです。

昨日の議会では、結局、この補助金を含む補正予算案は、賛成多数で可決されてしました。3月補正予算ということは、年度末の3月末日までに、この違法な補助金の支出が執行されてしまう可能性が高いので、急遽本日、住民監査請求を行った次第です。

以下に、昨日の私の質問原稿と、本日収受された住民監査請求の請求書をコピペします。(質問のほうは、あくまでも原稿ですので、実際の発言とは異なる部分もあります。)

<1回目の質問>

農協コミュニティーホール等整備に係る補助金について質問をいたします。

まず、補助金の交付対象の確認をさせていただきます。

高槻市農業共同組合、JAたかつきは、この高槻市役所の東隣にある本店ビルを現在建て替え中ですが、この本店ビルの2階のコミュニティーホールと5階の会議室・研修室を設置して、農協の組合員以外の一般市民をも対象に、貸室事業を営むとし、高槻市は、JAたかつきが、この貸室事業を行うことを前提に、これを補助するため、本店ビルの2階と5階の建設費の約半分に相当する2億5千万円を補助金としてJAたかつきに対して交付する。本店ビルの2階と5階の所有権は、すべてJAたかつきのものであって、一般市民が支払うコミュニティーホールや会議室・研修室の使用料などの貸室事業の売上・収益も、すべてJAたかつきのものになる。そういう理解でよろしいでしょうか?

事前に見せていただいた資料によると、高槻市の市民会館等の件数は、平成18年度で、市民会館大ホール166件、文化ホール中ホール240件、生涯学習センター多目的ホール248件とのことでした。これを利用可能日数である307日で割って稼働率を計算すると、それぞれ、54%、78%、81%となりました。稼働率にはまだ余裕があるわけで、そういった点からも、一般市民のために、市が補助金を出して、類似の施設を運営させる必要性は全く感じられません。不必要な箱物に、高槻市が税金を出すということは、税金の無駄であって、むしろ公益を害すると言えるのではないでしょうか。その点についてお答え下さい。

大阪府では、橋本新知事の方針によって、7月までの暫定予算しか組まれておりません。その影響で、高槻市の会計も、先行き不透明になっています。そんなときに2億5千万円も出すのは、早計ではないでしょうか。その点についてお答え下さい。

もし、市民会館や生涯学習センターなどの極めて近くにあるJAたかつきのビルに、コミュニティーホールなどができれば、高槻市の施設の利用率・稼働率が悪化することは間違いありません。2億5千万円もの補助金を出して、高槻市の既存の施設の利用率を悪化させるというのは、自分で自分の首を絞めるような愚かな行為ではないでしょうか。この点についてお考えをお答え下さい。


<2回目の質問>

ご答弁によれば、農協が一般市民向けに有料で行う貸室事業に対して、高槻市がその施設の建設に関して補助金を交付する、という私の理解で正しいようです。

農協は、農業共同組合法第8条に基づく法人で、商工会議所と同様の公共的団体だ、という説明が事前に配布された資料にはあったのですが、その農業共同組合法第10条第1項を読むと、農協ができる事業というのは、組合員向けか、農業・農村向けか、共済・医療・老人の福祉に関する施設に限定されているふうに書かれています。

そうすると、農協が、組合員ではない一般市民向けに貸室・貸しホール事業を行うことは、農業共同組合法違反、つまり違法になると考えられます。

その違法な事業に対して、高槻市が2億5千万円もの補助金を出すというのは、地方公共団体として、間違ってもやってはいけないことではないでしょうか?また、補助金を交付できるのは、「公益上必要がある場合」に限られるとする地方自治法第232条の2にも違反するのではないでしょうか。お答え下さい。

JAたかつきが貸室事業において、一般市民から使用料を取るならば、それは営利事業であり、農協が公共的団体だとしても、完全なる公益事業とはいえません。その点から見ても、先ほどの地方自治法第232条の2に違反するのではないでしょうか。お答え下さい。

また、JAたかつきは、財政的にも逼迫しているわけではありませんし、そのJAたかつきに2億5千万円も補助すれば、既存の貸室業者、例えば「たかつき京都ホテル」もそういった事業を行っていますが、そうした一生懸命経営努力をしている既存の民間の貸室業者に対する、いわゆる「民業圧迫」になって、商工振興、商工政策として見たときに、問題があると考えられますが、その点に関してお答え下さい。

<3回目の質問>

違法性はないとの認識のようですが、JAたかつきが行う貸室事業は、農業共同組合法違反の可能性があり、それに対して高槻市補助金を出すと、地方自治法に抵触するおそれがありますので、私は、この補助金の交付には反対をいたします。

2億5千万円もあれば、医療や福祉や教育に関する助成など、もっと他に使うことができるのではないでしょうか。




(当初のものを若干補正しました)

高槻市職員措置請求書

第1.高槻市長奥本務氏に関する措置請求の要旨

1.事案の概要

高槻市農業協同組合(通称「JAたかつき」。以下「JAたかつき」という。)は、高槻市役所の東隣にある本店ビル(所在地は高槻市城北町1丁目15番8号。以下「本店ビル」という。)を現在建て替え中である。

JAたかつきは、本店ビルの2階にコミュニティーホール、5階に会議室と研修室(以下「ホール等」という。)を設置して、農業協同組合(以下「農協」という。)の組合員以外の一般市民をも対象にした、有償による貸ホール事業・貸室事業(以下「貸室事業等」という。)を営む計画である。

高槻市は、JAたかつきが貸室事業等を行うことを前提に、これを補助するため、ホール等の設計費及び建設費の約2分の1に相当する2億5千万円を補助金(以下「本件補助金」という。)としてJAたかつきに対し交付することとし、本件補助金を予算計上して、これを含む補正予算案を議案として高槻市議会に提出した。上記議案については、昨日3月4日の市議会本会議において、賛成多数で可決された。

2.貸室事業等の違法性

農業協同組合法第10条第1項には、農協が行うことができる事業の範囲が以下のように限定されている。

第10条 組合は、次の事業の全部又は一部を行うことができる。
1.組合員(農業協同組合連合会にあつては、その農業協同組合連合会を直接又は間接に構成する者。次項及び第4項並びに第11条の31第3項及び第5項を除き、以下この節において同じ。)のためにする農業の経営及び技術の向上に関する指導
2.組合員の事業又は生活に必要な資金の貸付け
3.組合員の貯金又は定期積金の受入れ
4.組合員の事業又は生活に必要な物資の供給
5.組合員の事業又は生活に必要な共同利用施設(医療又は老人の福祉に関するものを除く。)の設置
6.農作業の共同化その他農業労働の効率の増進に関する施設
7.農業の目的に供される土地の造成、改良若しくは管理、農業の目的に供するための土地の売渡し、貸付け若しくは交換又は農業水利施設の設置若しくは管理
8.組合員の生産する物資の運搬、加工、貯蔵又は販売
9.農村工業に関する施設
10.共済に関する施設
11.医療に関する施設
12.老人の福祉に関する施設
13.農村の生活及び文化の改善に関する施設
14.組合員の経済的地位の改善のためにする団体協約の締結
15.前各号の事業に附帯する事業

JAたかつきが行うとしている貸室事業等は、上記条項に含まれておらず、違法である。

3.本件補助金交付の違法性

貸室事業等は前項のとおり違法であり、そのような違法な事業を補助することを目的に、JAたかつきに対し、高槻市が、2億5千万円もの補助金を交付することは、補助金交付の要件を「公益上必要がある場合」に限るとする地方自治法第232条の2に違反する。

また、貸室事業等においては、一般市民から使用料を取るとしており、農協が公共的団体だとしても、これは営利事業であるから、公益事業とはいえず、この点についても、同条に違反する。

第2.監査の請求

以上のとおり、高槻市は、違法事業を行おうとするJAたかつきに対し、本件補助金交付を予定しているが、これは違法である。本件補助金の交付は、これを含む補正予算市議会において可決されたことから、相当の確実さをもってなされることが予測される。

よって、請求人は、高槻市長に対し、地方自治法第242条第1項に基づき、本件補助金の支出をとりやめることを求める。また、本件補助金が交付されてしまった場合は、JAたかつきに対し、本件補助金相当額を返還させるよう求める。