【今城塚】不透明な随意契約-高槻市は言い訳不能。そして悪臭問題。

先月の6月議会では、5月12日の朝日放送「ムーブ!」で報道された、今城塚古墳・第4次整備工事の不透明な7980万円の随意契約についても質問しました。

5月12日のムーブ!では、随意契約の工事のうち、張芝工と防塵シート工が取り上げられました。この2つの工事が、実際は昨年10月に終了しているにもかかわらず、今年2月に締結された随意契約に含まれている問題が報じられましたが、実は、他にも、契約前にすでに終了している工事があるのです。

それをまとめたのが下の図です。

imashirozuikei.gif

随意契約の期間は、平成20年の2月19日から。図の大きな赤色の矢印の期間です。けれども、随意契約に含まれている個々の工事を見ていくと、防塵シート工が10/3~10/23、張芝工が10/10~10/23、墳丘の樹木伐採11/9~12/28、内堤の護岸列石3が11/28~12/20、嶋上郡衙跡の土工が2/18~3/19・・・図に青色の矢印で期間を示していますが、契約期間からは明らかに外れています。

つまり、ちゃんと契約書どおりなのは、墳丘の南側の護岸列石2だけなのです。大部分の工事は、既に、随意契約の締結日までに完成あるいは着手済みなのです。

建設業法第19条には、契約書には工事着手の時期を明記しなければならないというふうに定められています。とすると、この随意契約というのは、明らかに、建設業法違反となると考えられます。

そもそも、とっくに終わってしまった工事の代金を、後で契約を結んで、税金で払おうというのは、税金を預かる市役所としては、やってはいけないことではないでしょうか?

また、地方自治体が行う契約については、原則として一般競争入札を実施しなければならないことになっています。合理的な理由があれば、例外的に随意契約をすることができます(地方自治法第234条第2項に規定されている地方自治法施行令第167条の2)が、どういう理由で随意契約を行ったのか。

この随意契約には、別途「随意契約理由書」というものが作成されていて、そこには、護岸列石の追加施工について「技術的に一貫した施工が必要」だから、という理由が書かれていました。

しかし、この随意契約に含まれているのは、護岸列石だけではありません。そこで、他の工事について尋ねてみると、防塵シート工と張芝工については、地元の粉塵被害があるとの要望に基づき、緊急に施工する必要があったからだとのことでした。

では、墳丘の樹木伐採と「嶋上郡衙跡」の土工については・・・これについて、高槻市はまともに答えられていません。

仮に、理由があったとしても、「緊急の必要性」や「一貫した施工が必要」という理由は成り立ちませんので、別の理由ということになります。このように別々の理由のものを、すべて一つの随意契約に入れ込むことは、問題はないのでしょうか。それぞれの工事の発注日も違うはずですし、随意契約を行うにしても、別々の契約を行うか、一括発注するなら工事前に契約を結ぶべきです。

ちなみに「嶋上郡衙跡」の土工(ブルドーザーによる盛土敷き均し)については、本件契約に住所の記載がなく、不明でしたが、図面の地形の形状を小1時間ほど粘り強く地図と照らし合わせた結果、今城塚古墳から約600メートル離れた高槻市清福寺町45番付近であることが確認できました。

嶋上郡衙跡は、今城塚古墳とは年代も違い(今城塚古墳は古墳時代の531年頃、嶋上郡衙跡は奈良時代の701年頃)、まったく無関係の遺跡です。本件契約の契約書に記載の工事場所である「高槻市郡家新町内」とも異なります。国からの補助金の名目は「史跡今城塚古墳附新池埴輪製作遺跡」であり、今城塚古墳と、その埴輪の作られた新池埴輪製作遺跡だけが対象で、史跡嶋上郡衙跡は含まれていません。これも問題があるのではないかと考えられます。

護岸列石については、理由書に「技術的に一貫した施工が必要」として書かれていますが、今年の4月15日に、私が現地を視察し、現場の責任者に聞いたところ、古墳時代の護岸列石を再現するためには、石工を使うより(石工は石の面をきれいに揃えてしまう)、ごく普通の土木作業員を使うほうが良いとの判断から、石工は使わず、孫請けの建設会社の作業員にさせているとのことでした。そうすると「技術的に一貫した施工」などという理由は存在しないことになります。

また、粉塵被害については、第3次工事の最中、平成18年12月から周辺住民より苦情高槻市に対して書面で出されていました。緊急にその対策が必要であったとするならば、その当時に行うべきではなかったのではないでしょうか。もし、内外堤の盛土工事が終わってからしか張芝等の施工できなかったというのなら、工事に取り掛かることができる日が当初から分かっていたということになりますから、施工日を計画的に設定できたことになり、緊急の必要性があったとの理由もなくなります。

つまり、随意契約を行う理由など、何も存在しないのです。

様々な工事の含まれたこの随意契約ですが、契約書の1枚目には、「史跡今城塚古墳第4次整備工事に伴う 護岸列石復元工事」と、護岸列石の工事としか書かれていません。「随意契約理由書」も同様に、護岸列石のことしか書かれていません。墳丘の南側の護岸列石2の工事の期間だけが、契約書の期間どおりなので、これだけを表面に出し、他の工事を隠そうとしたのではないでしょうか?


随意契約を行う前には、当然工事金額の交渉があるはずです。そこで、「随意契約に先立つ工事の見積額が分かる文書」を情報公開請求しました。すると出てきたのが下のものです。

今城塚古墳第4次整備工事・随意契約の見積書

7600万円に5%の消費税を付加して7980万円になるのですが、しかし、こんな大雑把な見積書があるでしょうか?普通なら明細書が付いているはずですが、この1枚だけで、何も付属書類はありませんでした。しかも日付は2月18日。見積もりは工事の前に行わなければならないはずです。

日本共産党のエース・勝原市議の質問によれば、この随意契約の7980万円は、設計金額の87.5%とのことでした。入札による本契約の落札率は78.8%ですから、それと比べると割高ということになります。


地元住民からは、350名の署名と共に、住民説明会開催の要望が出されました。しかし、高槻市が、住民説明会を行わないと決定したのは、以前書いたとおりです。けれども、これだけ不審なことをしているわけですから、高槻市には早急に説明会を開催する義務があるのではないでしょうか?


最近、住民の方が、今城塚の西側(氷室町側)に、今城塚の堀で掘り返されたヘドロのような大量の土砂が仮置きされていて、それが大変臭い、悪臭を放っているという苦情をおっしゃられておりました。

今城塚古墳西側(氷室町側)に積まれた泥土が悪臭を放っている

今城塚古墳西側(氷室町側)に積まれた泥土が悪臭を放っている

議会で質問しましたら、高槻市は、これにブルーシートをかけて対応するとしましたが、果たしてそれで効果があるのでしょうか?これについても住民説明会を開いて、質疑応答を行って、分かりやすく説明すべきではないでしょうか。


真の継体天皇陵といわれる今城塚古墳。考古学的にも大変貴重な史跡です。工事には国からの補助金も交付されています。今城塚の件は、高槻市だけの問題ではなく、全国的な問題と言えるのではないでしょうか?

そんな今城塚で、高槻市役所はいったい何をしているのか。高槻市民にだけではなく、全国の皆さんに説明する責任があるのではないかと思います。

そういう意味で、ムーブ!の取材はチャンスであったとも言えますが、奥本市長は、いったん受けたインタビューを、急遽キャンセルして逃げました。

高槻市は、一刻も早く説明会を開き、住民からの質問だけではなく、マスコミからの質問に対しても、きっちりと答えるべきです。