【学力テスト】新聞各紙の掲載状況についてなど

昨日大阪府庁で受け取ってきた全国学力テスト(全国学力・学習状況調査)の市町村別の結果をブログに掲載しようか迷っているのですが、今朝の各紙をみると、産経・読売が掲載し、朝日・毎日は載せていませんでした。

読売新聞は、学力テストの結果と、生活状況や学習状況の結果を分けて載せていましたが、これは若干問題があると思います。

ざっと見た感じですが、「朝食を食べていないか」と「塾に通っていないか」は、テストの成績とかなり相関関係があるようです。とすると、家庭の状況(朝食)と家庭の経済力(塾)が、子ども達の成績に影響しているわけですから、市町村だけの責任とは一概には言えないはずです。なので、これを切り離して掲載する読売新聞のやり方はいかがなものかと思います。

家庭や地域の状況が同じで、それでも子ども達の成績に差があるならば、そこで初めて「市町村(の教育委員会)の責任だ」と言えるのではないでしょうか?

そういった新聞各社の報道姿勢が興味深かったのですが、産経ではこんな記事がありました。

★【学テ】社会部長の「開示結果を紙面で公開した理由」
http://sankei.jp.msn.com/life/education/081016/edc0810162144007-n1.htm

教育関係者だけが情報を握っていていいのかというのはもっともだと思います。私は今回、議員として、教育施策をどうすべきかという議論をより現実的なものにするために、情報公開請求をしてデータを得ようと思ったのですが、各市町村の議会で、このデータを基に議論し、政策や予算について、試行錯誤してみるのは有益ではないかと思います。

学力テストに関する情報をどこまで開示すればいいのか。府民が全員知ったらどういうことが起こるのか。市町村の序列化や過度の競争が起き、何らかの弊害が生じるのか。いろいろ心配はありますが、私は、公開を決断した橋下知事の功と罪を比べたら、功のほうが大きいと思います。

今回の公表をきっかけに、学力について、世間の関心がより高まるでしょうし、どうすれば学力を向上させることが出来るかが、府でも、市町村でも、府民の間でも、家庭でも、より議論され対策がされると思います。おそらく、橋下知事の予言するとおり、次回の学力テストでは、今回よりもよい成績が出てくるのではないでしょうか。

競争にさらされる(特に成績下位の)市町村の教育委員会は嫌でしょうし、教職員の組合は、勤務評定につながると反発するでしょうが、子どもや保護者には、そんな事情は関係ありません。教育関係者の皆さんには、子ども達の学力向上のために、さらなる工夫を重ねていっていただきたいと思います。

ただ、国語や算数・数学だけに力が注がれる危険性もないとも言えないので、もっと多角的な調査を行う必要があるかもしれません。

今回の件は、大阪府(の公立小中学校)で育った我々世代が受けてきた「人権」教育や結果平等主義的な教育に対する「ゆり戻し」ではないかと思います。この「ゆり戻し」が行き過ぎると、また「ゆとり」を求めたりする動きが出てくるのかもしれませんが。完璧な答えがない以上、こういうふうに揺れながら進んでいくしかないのではないでしょうか。