【今城塚随意契約訴訟】法廷で意見陳述をしました。

昨日まで12月議会でした。議会の準備と共に、裁判の準備などがあり、おまけに風邪をひいて体調が悪かったのですが、何とか乗り切ったなという感じです。

12月議会では、関西大学高槻新キャンパスのグラウンド取得費用として、約28億5600万円を支出することが決定されたり、今城塚古墳第5次整備工事の変更契約が、要綱に反する形でされたりと、問題のある議案がいくつも賛成多数で可決されてしまいました。これらについては後日ブログにアップします。

青年塾ディベートを勉強させていただいたので、これがかなり議会での質問には役に立っているのですが、やはり、答弁に立つ高槻市の部長さん達(「理事者」と言われています)は、業務に精通しているし、弁も立つので、こちももっと場数を踏み、勉強しないと、突っ込んだ斬り返しをうまくできないなと思いました。まだまだ修行が足りません。

さて、12月17日(水)10時15分から、今城塚古墳の第4次整備工事における7980万円の随意契約に関する住民訴訟第2回口頭弁論が、大阪地方裁判所第1007号法廷で開かれました。

弁護士さんに勧められて、初めて、意見陳述というものをさせていただきました。裁判官の前で意見陳述するというのは、大変緊張しました。以下は、そのときの原稿です。

 本件の住民訴訟は、大阪府高槻市にある今城塚古墳の工事の随意契約による損害に関してのものです。ですので、まず最初に、今城塚古墳について簡単に説明します。

 今城塚古墳は、淀川流域においては、最大級の前方後円墳で、その墳丘は、二重の濠と堤に囲まれています。近年、今城塚古墳は、考古学の専門家の間では「真の継体天皇陵」であると考えられています。それを裏付けるように、日本最大級の家型埴輪などの貴重な出土品も、今城塚から発掘されています。

 通常、天皇陵であれば、発掘はおろか、一般人が足を踏み入れることもできません。しかし、宮内庁が、茨木市にある「太田茶臼山古墳」を「継体天皇陵」として指定しているため、今城塚は「真の継体天皇陵」であると言われながらも、発掘が可能であり、日本で唯一「発掘が可能な天皇陵」として注目を集めています。

 一方で、今城塚は、たくさんの樹木が生い茂り、緑豊かで、濠の部分の池にはメダカなどの水生生物も多く、地元の住民に「里山」として長年愛されてきました。私も小さいころ、家族とどんぐり拾いをしたり、魚釣りをしたりしてよく遊びました。

 ところが、この今城塚が、変貌を遂げることになります。

 平成15年4月に行われた高槻市長選挙において、奥本務市長は、「『今城塚古墳』を史跡公園として整備し公開」することを選挙公約の一つとして掲げ、そして当選しました。

 これを受けた形で、高槻市は、平成16年度から、今城塚古墳を、「市民の歴史学習や散策、憩いの場とするため」として、史跡公園化整備工事に着手しました。工事は7か年計画で、全体竣工は平成23年春を予定しているとのことです。

 高槻市は、この計画に基づき、工事を開始しました。そのやり方は、墳丘以外の場所の、ほとんどすべての樹木を伐採して、濠の部分の池を埋め立て、堤の部分には土をかぶせて整地し、まっ平らに整地した堤の上に新品の埴輪のレプリカを並べる、といったものでした。

 「当時の古墳の姿を復元するためだ」というのが高槻市の言い分ですが、そのために、緑豊かだった今城塚は、工事のされた西側から見ると、まるでハゲ山のようになり、水生生物の姿も、水鳥や小鳥の姿も、見られなくなってしまいました。

 今城塚には、樹齢50年の桜の木が15本ありましたが、高槻市は、古墳ができた約1500年前には、そのような桜はなかったという理由で、地元の住民の方が大反対したにもかかわらず、1本残らず伐採してしまいました。

 一方で、高槻市は、バリアフリーのためだとして、古代には存在しなかったコンクリート製のトンネルを、堤を貫く形で数箇所に設置します。

 現在、平成19年度の第4次工事までが完了し、平成20年度の第5次工事に取り掛かっています。

 本件の住民訴訟は、第4次工事における、7980万円の違法な随意契約に関する訴訟です。この第4次工事においては、大まかに言えば、入札による1億7640万円の当初の契約、この当初の契約に約5300万円を増額する変更契約、そして先ほど述べました7980万円の随意契約の、3つの契約が存在します。

 3つの契約の相手方は、いずれも■■■であり、3つの契約のすべてが、今城塚古墳の第4次工事に関する契約ですから、高槻市は、■■■という同じ業者と、今城塚古墳という同じ工事現場の、第4次工事という同じ期間の工事について、先ほどの3つの契約をしたわけです。

 ところが、契約金額と予定価格の率を見てみると、当初の契約と変更契約が、78.8%であるのに対して、随意契約は、87.5%と割高になっています。変更契約の締結日は、平成20年2月20日であり、一方、随意契約は、その1日前の2月19日です。わずか1日しか違わないのに、なぜ随意契約のほうが割高なのか。合理的な理由はまったくありません。

 しかも、随意契約には、とっくに完成済みの工事も含まれています。随意契約の締結日は、先ほど申し上げましたとおり、平成20年2月19日ですが、たとえば、堤の芝を張る工事は、その約4ヶ月前の平成19年10月23日に完成しています。

 今年の5月12日に、朝日放送の「ムーブ!」というテレビ番組で、この随意契約の問題が報道されました。その放送の中で、建設部長は、記者から「何故、着工早々に行われた張芝や防塵シートの工事を、変更契約に入れず、随意契約に入れたのか?」と質問されたのに対して、答えに窮し、長い沈黙の後、「私が決裁権者ではありますが、そこに入れた判断というのは、分からない・・・」と答えています。

 決裁を行った建設部長が、何故「分からない」としか答えられなかったのか。それは、建設部長以外の職員が、随意契約の中に、とっくに完成した工事を密かに潜り込ませて、建設部長を錯誤に陥らせて、決裁をさせたからだとしか考えられません。

 随意契約の締結以前に着手された工事については、まったく発注経過が不明であり、工事の前に業者から取っておくべき見積書が、工事後に作成されるなど、法令に則った手続きがされていないのですから、職員の誰かが、決裁権者の承認を得ずに、私的に、業者に発注し工事をさせたと言わざるをえません。

 そのような工事に対して、公金を支出することは、当然に違法であり、高槻市に損害を与えたことは明白です。

 今城塚古墳の工事代金の半分は、国が補助金として負担しているのですが、高槻市の建設部の職員は、原告に対して、国の補助金を消化するため、予算残額から逆算して、随意契約の金額を決定した旨述べています。つまり、割高になるのを承知の上で、工事請負契約を結んだのであり、この点においても、明らかに違法であって、高槻市に損害を与えたのです。

 朝日放送の「ムーブ!」がこの問題を報じた5月12日には、奥本市長に対しても、取材が予定されていました。しかし、奥本市長は、急遽取材をキャンセルし、以後も朝日放送に対し取材拒否をしています。

 高槻市は、この問題について、市議会でもまったく自らの非を認めず、損害も賠償されないため、原告は、本件提訴に及んだ次第です。

 裁判所におかれましては、是非とも、よろしくご審理のほどお願いいたします。

以上です。



次回、第3回口頭弁論は、来年2月2日(月)午後2時30分から、第711号法廷で開かれます。ぜひ傍聴にお越し下さい。