【関西大学】防災空間の確保等はこじ付け?関大グラウンドに29億円も!

12月議会では、関西大学新キャンパスのグラウンド用地取得費用として、高槻市が28億5600万4200円も支出することが賛成多数で可決されてしまいました。
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この約29億円を捻出するため、約18億円の市債を発行し、借金もすることに(ただし、この約18億円の借金の中には土地代だけではなく建物への補助金分も含まれます)。

私は、議会での質疑で、次のように質問しました。(私の質問は質問原稿を、市側の答弁の趣旨は私のメモを参考にしているものであり、正確ではないかもしれませんので、その点はご了承下さい。)

■関大土地1回目の質問

(1)防災
関西大学高槻新キャンパスのグラウンド部分については、防災空間を確保するために、取得するとのことですが、高槻市全体の防災計画においては、このグラウンド部分は、どのような位置付けなのでしょうか?お答え下さい。

(答弁の趣旨)
政策統括監:グラウンドも出来ていないので、まだ防災計画上の位置付けもない。

(2)地・学連携、地域貢献
12月1日の市街地整備促進特別委員会では、資料に列挙された地学連携の具体的な取り組みの素案のとおりのことができるのかという疑問が呈されていました。一例を挙げますと、消防出初式ができるのかという質問がありました。詳しくお聞きしますと、関大のグラウンドは芝生で覆われ、消防車両は進入禁止の予定であるとのことですが、それで消防出初式ができるのかということです。本当に資料に列挙されている地域貢献を関大ができるのか、簡潔にご答弁下さい。

(答弁の趣旨)
政策統括監:工夫すれば出初式はできると考える。

(3)まちづくり
関大の進出を歓迎する声がある一方で、学生によって街の風紀が乱れるのではないかと心配する声もあります。関西大学高槻新キャンパス開校によるメリットは確かにあると思いますが、デメリットも生じると考えられます。この点について、高槻市の見解をお答え下さい。

(答弁の趣旨)
政策統括監:知名度ある関西大学なので、心配していない。逆に、どんなデメリットがあるのか教えて欲しい。

(4)既存キャンパスの経済効果
高槻市は、新キャンパスによる経済効果を、建設時には6.85億円、開校4年後以後は毎年21.61億円と見込んでいます。ところで、高槻市には、既に、霊仙寺町(りょうぜんじちょう)の関西大学高槻キャンパス・関大の総合情報学部がありますが、これによる経済効果は年間どれほどなのでしょうか?お答え下さい。

(答弁の趣旨)
政策統括監:検証していない。

(5)土地の貸与
高槻市関西大学との基本合意書の第3項では、土地の無償貸与期間を20年としていますが、何故20年なのか?お答え下さい。

(答弁の趣旨)
政策統括監:安定して使用できる期間ということで、関大と合意した。

(6)基本合意書に記されている「特別の事情」
同じく基本合意書では、無償貸与期間を「特別の事情がない限り、自動更新する」としていますが、特別な事情とは、どのようなことを想定しているのでしょうか?地域貢献や防災への協力があまりされなかった場合、あるいは予測したほど経済効果がなかった場合も含まれるのでしょうか?お答え下さい。

(答弁の趣旨)
政策統括監:具体的には想定していないが、大学が撤退あるいは移転したとき。


■関大土地2回目の質問

(1)防災
「防災計画ができていないので、まだグラウンドの位置付けもない」とのことですが、あれだけの広さのグラウンドを28億円も出して購入するのに、それはいくらなんでも杜撰ではないでしょうか?

ところで、高槻市は歴史の街ということで、弥生時代の集落跡とか、今城塚古墳とか、嶋上郡衙跡とか、高山右近高槻城とか、古代から人間がいて、それなりに歴史があるわけですが、この高槻市で、そういうふうに人間が住み始めてから、災害が起きた回数、関西大学のグラウンドを使わなくてはいけないような災害が起きた回数というのは、何回でしょうか?お答え下さい。

(答弁の趣旨)
政策統括監:承知していない。

(2)地学連携・地域貢献
出初式はできるということですが、消防車両も進入できないのに、どうやってやるんですか?昔ながらの出初式をやるんでしょうか?それは非現実的ではないでしょうか?地域貢献について、ちゃんと考えていない、ということではないのでしょうか?

(3)まちづくり
デメリットについて、逆に質問をいただきましたが、大麻の問題がありましたね。これは他の大学でも起こったので、関大固有の問題ではありませんが。それから若者向けの遊戯施設ができた場合、分別のある大学生が利用するならいいけれども、それを中高生が利用すれば風紀が乱れる可能性があるのではないでしょうか。そうなると中高生に何らかの影響を与える可能性もあります。風紀が乱れ、街の質を下げる可能性も考えられます。
高槻市としては、関大の進出によって、関大の周辺の商業がどのようになるのか。そのような見通しは立てておられるのでしょうか?お答え下さい。

(答弁の趣旨)
政策統括監:見通しは立てていないが、賑わいと活性化が期待できると考えている。

(4)既存キャンパスの経済効果
既存キャンパスの経済効果を検証していないということですが、まずそれを検証すべきではないのでしょうか?
まさに、現役の関西大学の学生が、高槻市霊仙寺町の関西大学高槻キャンパスにおられるわけですから、学生達あるいは大学職員の方々が、どういった消費行動をとるのか、調べるべきではないのでしょうか?学生や職員が、高槻市内で、どこでどれだけお金を使っているのか。高槻市に留まらずに、市外へ行くのはどんな理由か。高槻市に足りないと思うのはどんなものか等、それこそ関西大学の協力を得て、アンケート調査をすべきだと思います。その結果をもって、経済効果を予測して、それで支援金額を決めるべきだったと思いますが、いかがでしょうか?

(答弁の趣旨)
政策統括監:関大から一部データはもらった。

(5)土地の貸与
取得する土地は、行政財産なのか普通財産なのか、どういう分類になるのでしょうか。また、どういう契約の形で無償貸与されるのでしょうか?

(答弁の趣旨)
政策統括監:普通財産である。契約の形については未定。

(6)基本合意書に記されている「特別の事情」
特別な事情については、大学の撤退や移転が考えられるとのことですが、地域貢献や防災への協力があまりされなかった場合、あるいは予測したほど経済効果がなかった場合も含めるべきだと思います。
高槻市が土地を取得して、関大に貸す段になれば、契約書を新たに交わすと思いますが、そこに、しっかりと、「特別の事情」とはこういうものだと、明記すべきです。そして、「特別の事情」に該当する場合は、近傍類似の地代をいただきますよと、そう明記しておくべきだと思いますが、いかがでしょうか?お答え下さい。



■関大土地3回目の質問

高槻市で災害が起きた回数をお聞きしましたけれども、大きな地震も数百年に1回くらいかなと思いますし、洪水も、治水対策がされてきているので、起きるというのはあまり考えられない。そうすると、防災に必要だとしても、数百年に1度。仮設住宅を2~3年建てさせてもらうとしても、防災に使う期間と言うのは、長い目で見ると、全期間のうちの100分の1くらいではないでしょうか。そうすると、防災名目では、グラウンドの取得費用の100分の1が、妥当な金額と言えると思います。

12月1日の市街地整備促進特別委員会を傍聴しておりましたら、吉田稔弘議員から、グラウンドの取得価格が、1平米あたり42万円というのは、高いのではないかという質問がありましたが、仮に42万円というのが妥当だとしても、使用頻度で見れば、関大がほとんど使うわけですから、土地の取得費全額を高槻市が負担するというのは、いかがなものでしょうか?これらの点についてお答えください。

(答弁の趣旨)
政策統括監:東南海地震は必ず起きるといわれている。土地の取得は市民にとって安心の確保となる。

防災という大義名分を振りかざしても、防災で使う割合は極めて低いわけで、防災という名目はこじ付けとしか考えられません。

こういう前例を作ってしまうと、今後も、防災という言い訳をすれば、どこの土地でも買えてしまうということになってしまいます。これは非常にまずいのではないでしょうか?
他の大学もグラウンドをもっていると思いますし、高槻中学・高槻高校のグラウンドもある。大手企業もグラウンドや土地をもっているんじゃないでしょうか。そういった学校法人や企業などが、「うちも震災のときは土地を使わせてあげるから、高槻市さん、買ってください」、と言って来たらどうするんでしょうか?買うんですか、買わないんですか?お答え下さい。買わないとしたら、関大だけえこひいきしていることにはならないでしょうか?

関大は、高槻市が土地を無償提供しないと、災害時には、市民を救ってくれないんでしょうか?土地を無償提供しないと、災害時には、防災活動に協力してくれないのか?そんな冷たい大学ではないはずだと思いますが、その点を関西大学に確認していただけないでしょうか?

他の大学や企業も、高槻市にグラウンドを買ってもらったわけじゃないけれども、きっと、災害時には協力してくれると思います。阪神淡路大震災においては、そういう例もあったのではないでしょうか?他の大学、私立の学校、あるいは企業との、災害時における協力体制はどうなっているのでしょうか?お答えください。

それから、私は、防災というならば、関大の土地を買うより前に、小中学校の耐震化を早くやれと言いたい。高槻市立の小中学校については、やっと体育館の耐震化工事が、今年度中に終わる予定だということです。けれども、校舎のほうは、まだ耐震化工事がされていないところが多いとのことです。

地震が来て、「関西大学のグラウンドに避難や!」、ということになっても、その前に、校舎がペシャンコになって、子供達がその下敷きになって、死んでしまったら、元も子もないじゃないですか。高槻市はどう考えているのか。お答えください。

関大が来てくれるのは非常にうれしいという声は多いです。私も関大の進出は大歓迎です。けれども、土地の購入費に28億円、建物も合わせると40億円も出すというのは、いかがなものかと思います。これのために、高槻市は市債を発行する、借金をするわけですが、そうすると余計な利息も払わなければならなくなります。関大に対する支援をするとしても、市債を発行しなくても済むくらいの金額にとどめておくべきではないかと思いますがいかがでしょうか?

(答弁の趣旨)
政策統括監督:関大は「知の拠点」の一つとなり、まちづくりに有益である。(北岡議員は)関大の立地に反対はしないと言いつつも、よく分からない理由で反対しているのではないのか?




この12月5日の質疑で分かったことは、

・29億円も出して防災空間を確保するといいながら、グラウンドに関する防災計画は何もない。
関西大学のグラウンドを使用しなければならないような災害が過去にどれくらいの頻度で起きたのかも高槻市は把握していない。
・地学連携の一つとして消防出初式をやるといいながら、グラウンドには消防車が入れないという。そのような状況で、本当に出初式ができるのか。高槻市は地学連携や地域貢献についてちゃんと考えていないのではないかという疑問がある。
高槻市は、関大がくれば、にぎわいが出てくるとか知の拠点になるとか、メリットを強調するだけで、デメリットについては何も考えていない。
・新キャンパスによる多額の経済効果を予測しているけれども、関大の既存のキャンパスの経済効果については、まったく検証していない。新キャンパスによる経済効果予測も眉唾であると言わざるを得ない。
・街がにぎわうとか活性化するといいながら、関大の周りの商業がどのようになるのかについての見通しももっていない。


ということです。

土地の取得費に、29億円も出すというのに、これでは杜撰にもほどがあります。防災云々という理由は、土地を買うための、こじ付けとしか考えられません。私は、関西大学の進出には賛成の立場ですが、このような訳の分からない税金の使い方には反対です。

防災名目でこんなにもお金を使えるのなら、本当に地震の危険性を考えているのなら、まずは小中学校の校舎の耐震化をやるべきではないでしょうか?

9月議会で12億、12月議会で29億という数字が出てきて、結局、これまで報道されてきたとおり、約40億円を高槻市が負担することになりました。これは偶然なのでしょうか?最初から40億という数字有りきだったのではないのでしょうか?非常に不透明さを感じます。

市長が替わらない限り、こういう税金の使われ方が続いていくのでしょうか?本当に暗い気持ちになってきます。