【今城塚】5次工事も変更し増額!自らの財政規律を破ってまでも、国の補助金を使い切りたいのか?

樹木の伐採範囲について隠蔽のあった今城塚古墳の第5次工事。昨年の12月議会で、この第5次工事の契約金額を増額する変更契約が賛成多数で可決され、3次、4次と同じく、予算をギリギリ一杯まで使い切ることになってしまいました。

それをまとめたのが以下の表です。

予算額 執行額 備考


1億5千
万円
入札で当初¥116,760,000。
変更契約で¥33,239,850増額。
結局予算ギリギリ一杯の¥149,999,850
周辺住民に騒音・振動・粉塵による被害


3億1千
万円
入札で当初¥176,400,000。
変更契約で¥52,801,350増額。
内規で30%までしか増額できないため
合計¥229,201,350
密かに随意契約で¥79,800,000
総計¥309,001,350で予算ギリギリ
随意契約の問題朝日放送「ムーブ!」が報道。
市長は取材拒否し、説明会の要望にも応じず


3億1千
万円
入札で当初¥233,352,000。
変更契約で¥76,615,350。
また予算ギリギリ一杯の¥309,967,350
変更契約の増額分は、内規違反の33%!
4次の随意契約を叩かれたので、内規をないがしろにする道を選択したと考えられる。
樹木をすべて伐採するとしていた当初の設計を隠蔽していた。
住民の皆さんが声を挙げ、市は6割の木は残すと約束。



第4次工事の変更契約に関して、高槻市から受けた説明では、「設計変更に伴う契約変更事務取扱要綱」という高槻市の内規があるため、当初の契約金額の30%までした増額できないということでした。だから、密かに随意契約を結び、予算を目一杯使おうとしたわけです。

ところが、12月議会で賛成多数で可決された(私は反対しましたが)第5次工事の変更契約では、契約金額の増額の率は、当初の契約の32.83%。内規違反ということになります。

このことを議会で質問しましたが、財務部長は、内規違反ではなく問題はないというような答弁をしました。

内規の全文はこちらですが、関係する条項は次のとおりです。

第3条 設計変更は、施工中に発見した不測の事態に対処するために特に必要な場合又はやむを得ない場合のほかは行うことはできない。(後略)

第4条第3項 契約変更見込額が請負代金の30%を超える工事は、現に施工中の工事と分離して施工することが著しく困難なものを除き、原則として別途の契約とする。



これを素直に読めば、契約変更は、「特に必要な場合又はやむを得ない場合」にしかできないし、そのときでも30%を超えてはならないことが原則となっています。

例外として、「現に施工中の工事と分離して施工することが著しく困難な」工事の場合は、30%を超えてもよいと考えられますが、今回の変更内容は、そういったものではありません。

今回の変更内容ですが、議員に配布された「付議事項の主要内容」には、「住民要望を受けての工法の変更」と「追加事業」というように、まず、住民要望が変更理由の最初にあげられています。

「住民要望を受けての工法の変更」というのは、当初、479本の樹木すべてを伐採するとしていたものを、その内284本を残すことに伴う工事の変更です。「追加事業」というのは、池が汚れないよう、臭いがしないよう、内濠部分の底をコンクリートで固める工事等であり、これは当初の計画にはまったく入っていませんでした。

これを金額で見ると、住民要望を受けての築堤工法の変更に係る工事というのは、増額分のうち約19%で、残りの約81%は、内濠の底をコンクリートで固めるといった追加事業です。つまり、変更契約のメイン、主たる事業というのは、金額からいくと、内濠部分をコンクリートで固める工事などの追加事業のほうと言えます。

これから見ると、住民要望をダシにして、契約を変更して、他の工事もやってしまおう、という高槻市の目論見が透けて見えます。

内規の条項に則して見てみると、樹木の保護については「やむを得ない場合」に該当するとしても、内濠の底張コンクリート工などの追加事業は、これには当てはまりません。まだ施工が始まっていない段階でしたから、「施工中に発見した不測の事態に対処するために特に必要な場合」にも当てはまりませんし、第4次工事のように、国から追加で補助金が交付されたという事情も、今回はないわけですから、まったく設計変更できるケースに該当しません。ですから、今回の変更契約による設計変更は、内規に違反することは明らかです。

「現に施工中の工事と分離して施工することが著しく困難なものを除き」という例外規定がありますが、内濠部分のコンクリート張りの工事が、内堤や外濠・外堤の工事と分離して施工することが著しく困難かといえばそうではありません。何故ならば、当初は、内濠の部分の工事なんか、予定になかったからです。分離して施工することが著しく困難であれば、当初から、入札にかける前の段階から、設計に入れているはずです。つまり、内濠部分については、別に工事を行うつもりだったわけで、「分離して施工することが著しく困難」とは絶対にいえません。

以上のとおり、内規違反は明らかであって、高槻市は、自らの財政規律を放棄したと言えるわけです。

3億1000万円の予算を、99.99%まで使い切ってやろうと、そういう高槻市の強い意志が感じられるわけですが、これは何故なのか。第4次工事の随意契約について、ある市職員は、国の補助金(工事費の半額は文化庁からの補助金)を使いきりたいからこうするより他に方法はないと、私に語ったのですが、第5次工事においても、そうすべく、内規違反を承知でこのような変更契約を強引に行ったとしか考えられません。

この入札の趣旨をないがしろにする悪の根源は、高槻市のこの国の補助金を使い切ろうとする体質にあると言えますが、国のほうも、予算を消化しないと次年度の予算を減らされてしまうため、地方自治体に対して予算を使い切れというようなことを要求する場合が多々あるとのこと。

ですので、国のほうの改革も、必要です。

この第5次工事の工事内容の是非に関する問題もあるのですが、長くなりましたので、それは後日にしたいと思います。