違法行為を労働基準監督署から是正勧告されていた交通部

朝日放送「ムーブ!」で連日取り上げられた「幽霊運転手」事件。未だにその事件について、交通部がまともに向き合っていないということが明らかになりました。

高槻市営バス「幽霊運転手」事件を少しおさらいすると・・・

市役所の記録では、バスを運転していたことになっている職員が、同じ日の労働組合の記録では、ゴルフコンペや、中国へ旅行に出かけていたことになっている。同時刻に遠く離れた二つの場所に存在していた市職員。本当はどちらにいたのか。バスを運転していたのは誰なのか・・・

実は、バスを実際に運転していたのは非番の職員。労働組合の幹部の市職員が、勤務中に労働組合の活動を行うために、自分の代わりにバスを運転させていたのです。そうすることによって、労組の幹部は、給料も、ボーナスも、満額を受領。勤務実態のない公務員に給与を支払うという違法行為が行われていたのです。

もちろん、こんなことを、労働組合側だけでできるわけがありません。市バスを運行する高槻市交通部も、この違法行為を黙認し、加担さえしていたのです。まさにこれは、高槻市民に対する背任行為。労使ぐるみによる公金の横領が長年行われていたのです。

このことは、私の調査活動や情報公開請求をきっかけに、「ムーブ!」のスタッフの大活躍によって暴かれたのですが、高槻市交通部のトップ・山本政行管理者は、この犯罪の発覚を免れようと、私が情報公開請求した公文書の改ざんを指示。犯罪行為を犯罪で隠蔽しようとしたのです。極めて悪質です。

高槻市は、「ムーブ!」の追及の末、ついに「幽霊運転手」や公文書改ざんの事実を認めました。調査委員会が立ち上げられ、職員が処分され3年分の「幽霊運転手」の給与も返還されました。しかし、処分は非常に甘いものであり、給与の返還額も、一部の違法行為の分しか算定されていなかったので、私は住民訴訟を提起しました。


こうした「幽霊運転手(=代走)」行為について反省し、事務を正常な形でやり直すためには、労組幹部から給与を返還させるだけではなく、実際にバスを運転した職員に給与を支給せねばならないはずです。


私は昨年の12月議会でも、この問題について、以下のとおりに質問しましたが、はぐらかしたような答弁しかありませんでした。

平成20年 第5回定例会 (第4日12月19日)


No.11 北岡隆浩議員

 5番目は、違法な代走行為により実際にバスに乗務した職員に対する給与の支払いや労働基準についてです。2点質問します。
 1点目、代走を依頼した労組幹部らについては、3年分の不当利得を返還させましたが、一方、労組から代走を依頼され、実際にバスに乗務した職員に対しては、交通部当局は、その分の給与を支払っていません。今後支払う予定なのか、それとも支払わないのか。支払わないのであれば、その理由も含めて、交通部の見解をお答えください。
 2点目、代走の依頼を受け、実際にバスに乗務した職員の労働時間、休息その他の労働条件は、労働基準法などの法令に違反していなかったのでしょうか、お答えください。


No.14 自動車運送事業管理者(山本政行)

 次に、代走にかかわってのご質問でございますが、この件につきましては、現在、住民訴訟が提起され、係争中の事案と関連いたしますので、答弁は控えさせていただきます。


No.17 北岡隆浩議員

 次に、代走者の給与支払いや労働基準についてです。
 訴訟中なので答弁を控えるということですけれども、代走者への給与の支払いに関しては、裁判の対象にはなっていないので、しっかりと答弁をしていただきたいと思います。
 それから、この代走者への給与の支払いについては、高槻市バス労働組合のビラに、団体交渉の報告として、代走問題については、実際に勤務した職員に対価──賃金の支払いを求めましたが、当局は、勝手にやっていた違法な個人契約であるとして、代走を見逃していた事実さえ認めようとしません、というふうに書かれています。交通部当局は、本当にそんなことを職員に対して団体交渉の場で言ったのでしょうか。これは事実なんでしょうか。だれが言ったのでしょうか、お答えください。


No.19 自動車運送事業管理者(山本政行)

 次に、高槻市バス労働組合のビラの件でございます。出席した職員に聞きますと、そのような発言は一切していないとのことでございます。逆に、組合側の方から、今ご指摘のような趣旨の発言が出された、このように認識しているということでございます。




このように、代走者への給与の支払いに関しては、まったく答弁をしなかったのですが、私が情報公開請求をしたところ、上の写真のとおり、労働基準監督署から、交通部の山本管理者に対して、是正勧告書が交付されていたことが判明しました。

是正勧告書には、労働基準法第24条に違反する「違反事項」として次の記載があります。

労働者(バス運転手)に対し、法定の除外事由がないにもかかわらず、その賃金支払日に、支給すべき賃金金額を支給していないこと。



また、所定期日までに是正しなかった場合は、送検手続きをとることがあるとの厳しい文言も記されています。

しかし、何故、交通部は、事件発覚から今日まで、実際の労働者に賃金を支払うという当たり前のことをしなかったのでしょうか。やはり、長年の労働組合との癒着体質のせいで感覚がおかしくなっているのでしょう。そのことは、自販機行政財産の不正使用の問題でも見てとれるわけですが。

公営企業が、労働者に対する賃金の支払いについて、このように違法行為を指摘され、是正勧告を受けるというのは、非常に恥ずかしいことです。

そして、労働基準監督署から是正勧告を受けてから1ヶ月以上経っているのに、未だに、交通部が、この事実を公表していないことも、公営企業として恥ずかしい態度ではないでしょうか。

高槻市交通部のトップ・山本政行管理者は、「幽霊運転手=代走」という犯罪の発覚を逃れようと、私が情報公開請求した公文書の改ざんを指示しました。それが「ムーブ!」の徹底追及で発覚し、謝罪に追い込まれました。そこから何も学んでいないのでしょうか?

いい加減に隠蔽体質は改善していただきたいですね。