労働福祉課の「分室」?あまり実態の変わっていなかった厚生会館

都市産業部農林商工観光室労働福祉課分室の使用に関する要綱

朝日放送の「ムーブ!」で、連合高槻が、高槻市職員厚生会館という建物の4室を、不正に占有し使用していた問題が報道され、この件については住民訴訟で争っている最中ですが、高槻市が、平成20年4月1日から、この4室を、労働福祉課の「分室」として連合高槻系の団体に使用させていることが分かりました。

つまり簡単に言うと、以前とあまり実態は変わっていなかった、ということです。

高槻市は、写真の「都市産業部農林商工観光室労働福祉課分室の使用に関する要綱」を定め、平成20年4月1日から施行したとしています。

この「分室」については、広く市内の労働団体等の使用を認めているとのことなのです。使用料は無料です。にもかかわらず、高槻市はこの「分室」のことを広報もしていませんし、ホームページにすら載せていません。

使用団体を見ると、ほとんどが連合高槻系の団体。その中でも市職員の職員団体・労働組合が特に使用しておりました。このことを3月議会で質問すると「使用団体については、広く周知されているところでございますので、特に広報は行ってはございません。」との答弁でした。

そりゃあ、これまで使ってきた連合高槻関係の団体の人は知っているでしょうけれども、それ以外の人はほとんど知らないわけで・・・連合高槻系の団体に独占的に使用させるために、まったく情報発信しなかったとしか考えられません。

また、「施設を設置した地方公共団体の住民の利用に供するもの」で「住民の福祉を増進する目的をもって設置された施設である」場合は、地方自治法でいう「公の施設」であり、法律または条例によって設置しなければならないとされているのですが、高槻市は、この「分室」については、条例を定めていません。これも非常に問題ではないかと思います。

「公の施設」の設置について、条例措置が必要な理由については、公の施設が住民の福祉を増進するために当該住民の利用に供することを本来の目的として設置されるため、対住民との関係において、当該施設の存在を広く周知させ、その活発な使用を予定しているためであるとされています。

法務相談事例集-公の施設の建替えと条例改正の必要性について
http://houmu.h-chosonkai.gr.jp/jireisyuu/kaitou85.htm

一方で、私が、市民会館に出向いて調べたところでは、高槻市文化会館条例に基づき設置された「労働センター」を、労働組合等が、有料で使用していることが分かりました。「労働センター」も「分室」も、労働団体の活動のために貸すということが目的なので、同じ趣旨の施設です。

厚生会館の「分室」について情報を持っていない労働団体は、お金を払って「労働センター」を使い、情報を握っている一部の団体は、無料で「分室」を使っていた・・・これは明らかに不公平ですし、こっちは無料でこっちは有料だというダブルスタンダードが存在することについても、何らの合理的な理由はありません。

以上について、表にまとめてみました。

名称 労働センター 労働福祉課分室
場所 高槻市市民会館の集会室401、402、403号室 高槻市職員厚生会館の1階事務室、会議室、資料室、3階集会室
根拠条例 高槻市文化会館条例 なし(要綱はある)
目的 「市民の文化活動の場を提供し、広く文化を普及させるとともに、文化の発展及び振興を図り、もって市民の福祉の増進に寄与するため」(高槻市文化会館条例第1条、第8条別表)

市内の労働団体が、労働団体の健全な発展、労働者の教養の向上等のための活動」(高槻市文化会館条例施行規則第6条)
労働者及び労働団体の、文化教養の向上のための学習活動及び文化活動、労働者等の福利厚生活動、並びに労働者の権利義務意識向上のための活動。その他市長が適当と認めるもの。(分室使用要綱第3条第2項)

広く市内の労働者及び労働団体に対して使用を認めている」(平成21年3月27日議会答弁)
料金 1時間あたり470~2800円。市内の労働団体が、労働団体の健全な発展、労働者の教養の向上等のための活動を目的として使用する場合、40%が減額される。 無料
平成20年度の使用状況 高槻建設ユニオン:9件
高槻島本労働組合総連合:3件
民間企業の労働組合:2件
高槻教職員組合:2件
高槻市役所労働組合総連合:1件
高槻交通労働組合:1件
高槻市職員組合:93件
高槻市職員労働組合:38件
高槻市学童保育指導員組合:4件
連合系の民間企業の労働組合:4件
高槻市保育所保育スタッフ労働組合:3件
学校給食調理員非常勤労働組合:2件
北摂労災職業病対策会議:2件
北大阪労福協:1件
連合高槻OB・OG会:1件
連合高槻連絡会:1件
大会、会議、学習会 大会、総会、集会、幹事会、会議、親睦会、学習会、旗開き、英会話、ダンス、交流会、福利厚生活動など
計 18件 計 149件



条例で設置された「労働センター」よりも、条例なしで無料の「分室」の方が、圧倒的に使用されています。まあ、無料だからなのでしょうね。でも、もし「分室」なんてものを設置しなければ、すべての労働団体が、有料の「労働センター」を使っていたはずです。「分室」を使用させていたのは、文化会館条例をないがしろにして、使用料を免れさせるためであったとしか言いようがありません。

もし「分室」など置かれず、全ての労働団体が、有料の「労働センター」を使用していたとしたら、私の計算では、約157万円の収入があったと出ました。この分だけ高槻市は損害を被ったとして、私は、今年の4月1日に住民監査請求を行いましたが、これが却下されたので、今年の5月13日、大阪地裁に住民訴訟を提起しました。

この訴訟(厚生会館分室訴訟)の第1回口頭弁論は、7月1日(水)午前10時15分から、大阪地裁1007号法廷で開かれます。ぜひ傍聴にお越し下さい。

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以下は3月議会での「分室」に関する質問と答弁です。

平成21年 第1回定例会 (第6日 3月27日)
No.63 北岡隆浩議員

 北岡隆浩です。大きく8点について質問いたします。
(中略)
 4番目は、連合高槻退去後の高槻市職員厚生会館の異例な状況についてです。
 厚生会館については、平成20年3月末日をもって連合高槻が退去した後、連合高槻が占有していた1階の事務室、小会議室、資料室、3階の集会室については、高槻市都市産業部労働福祉課の分室、労働福祉課の執務スペースとされ、民間の労働組合などが使用しているとのことです。つまり、結局、以前と余り変わらない状況が続いているということです。
 貸し室目的で設置されている市民会館の集会室などであればいざ知らず、市役所の分室となっている場所を、民間の労働組合などが恒常的に、無料で会合や行事などに使用しているというのは、市民会館の集会室などが有料であることや、他市では、そのような例が見受けられないことからして、極めて異例、不公平であり不当です。この問題について2点を質問します。
 1点目、厚生会館で連合高槻が占有していた部分については、平成20年度においてはどのような使用がされていたのでしょうか、お答えください。
 2点目、平成20年6月9日に連合高槻から高槻市長あてに提出された補助金の実績報告書には、連合高槻の住所として厚生会館の住所が記載されています。連合高槻は平成20年3月31日付で厚生会館を退去したはずではなかったのでしょうか。この点についてお答えください。
(中略)

No.65 都市産業部長(小林守)

 北岡議員の4点目の厚生会館、それから5点目の高槻都市開発に係るご質問にご答弁を申し上げます。
 まず、厚生会館の関係ですが、1点目の、平成20年度の3月24日現在の使用許可状況につきましては、1階会議室が109件、3階の集会室が56件でございます。1階の旧の事務室、それから1階の旧の資料室については、使用の申請はございませんでした。
 2点目の、連合高槻の住所についてのお尋ねですが、連合高槻は3月31日付で厚生会館を退去され、厚生会館内に事務所はございません。平成20年6月9日付で連合高槻から高槻市長あてに提出されました19年度の補助金実績報告書に厚生会館の住所が記載されていますのは、連合高槻は、現在、事務所としての施設を有しておらず、便宜上、19年度の補助事業としての住所を使用したものでございます。今後は誤解を受けないように適切に対応をしてまいります。
(中略)

No.68 北岡隆浩議員

(中略)
 次に、厚生会館ですけれども、高槻市立文化会館条例及び同施行規則においては、集会室の401、402、403号室が労働センターとして位置づけられ、労働団体が、労働団体の健全な発展等のために使用する場合には、使用料の4割を減額するとされています。このように、労働団体の活動を優遇する施策は、既に実施されているのです。労働組合などについては、厚生会館ではなく、この労働センターを使用してもらうべきではないでしょうか。労働センターの近年の使用状況はどうなっているのでしょうか、お答えください。これが1点目です。
 2点目は、厚生会館に関する広報の問題です。厚生会館を労働団体が無料で使用できることについて、高槻市は広報しているのでしょうか、お答えください。
 3点目、厚生会館の分室の使用状況を見てみると、9割以上が高槻市職員の職員団体や労働組合による使用です。地位も収入も安定している公務員の労働組合が、無料で市役所の分室を労働組合活動のために使用してきたわけですから、これは優遇にもほどがあると思いますし、労働組合法上の不当労働行為に該当するのではないでしょうか。この点に関する見解をお答えください。
(中略)

No.70 都市産業部長(小林守)

 厚生会館に係るご質問ですが、他部にまたがる部分がございますが、調整の上、ご答弁をさせていただきます。
 まず1点目の、市民会館内の労働センターの総利用件数についてですが、18年度は1478件、減免許可件数は34件、19年度は1403件、減免許可件数が38件、20年度は2月末現在でございますが1213件、減免許可件数は10件でございます。
 2点目の、広報についてのお尋ねでございます。使用団体については、広く周知されているところでございますので、特に広報は行ってはございません。
 3点目の、不当労働行為に当たるのでは、とのお尋ねですが、広く市内の労働者及び労働団体に対して使用を認めているもので、使用状況も市関係の労働団体が独占的に使用している状況にはございません。無料の使用、すなわち経費の援助によって労働組合の自主性、独立性を阻害することを禁じた労働組合法第7条第3号にある不当労働行為に当たるものではないと考えてございます。
(中略)

No.74 北岡隆浩議員
(中略)
 次に、厚生会館なんですけども、厚生会館を労働団体が無料で使用できることについては、高槻市は一切広報していなかったということです。つまり、高槻市は特定の団体に偏った使用をさせていたということです。
 厚生会館について情報を持っていない労働団体は労働センターを有料で使い、情報を握っている一部の団体は無料で市役所の分室である厚生会館の集会室などを使っていた、これは明らかに不公平ですし、こっちは無料でこっちは有料だというダブルスタンダードが存在することについても、何らの合理的な理由はありません。
 そもそも平成3年に制定された高槻市立文化会館条例に労働センターの規定があることからすれば、少なくとも条例制定当時から労働団体は労働センターを使用するということが想定されていたとしか言えません。
 そうすると、高槻市は、本来は労働センターを労働団体が使用することで、その使用料を得られていたはずなのに、厚生会館の分室化以後、その分の収入を得られなかった、高槻市にその分の損害が生じていたということも言えます。
 現に、平成20年度の労働センターの利用は、先ほどのご答弁のとおり大幅に減少しています。
 直ちに、この異例で不公平な措置をやめて、労働団体の使用については、昨年度までのとおり市民会館の労働センターに一本化すべきです。
 市として、今後どうするつもりなのか、ご答弁ください。(後略)



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