【今城塚古代歴史館】これで市民の意見を調査したと言えるのか?

6月議会では、(仮称)今城塚古代歴史館を新築する工事の請負契約についても議案が提出されました。入札を行って、一番低い金額で落札した業者と仮契約をしたので、議会でこれを議決してほしいというものです。

(仮称)今城塚古代歴史館の予算は24億5千万円ですが、6月議会で上程された工事代金の合計は約18億円でした。もしかすると、今後、変更契約や随意契約で、まだまだ工事代金が増える可能性もありますが。

今城塚古墳自体については、築造当時の姿を市民の皆さんに知っていただくという名目で、江戸時代頃に削り取られた内堤の部分に大量の土をもってきてを新たに築堤したり、内濠の底にコンクリートを張ってまで水濠を復元したり、埴輪のレプリカを並べて当時の様子を再現したり、墳丘については周囲を掘削してビシッと幾何学的な前方後円墳の形状に戻したりして、いわば1500年分若返る、若返り整形手術を施しているような状態ですから、今城塚古墳の姿に関しては、この「現物」を見てもらえば、形も大きさも充分来訪者の方に理解していただけると思いますし、もし説明が必要であれば、この古墳公園内に、案内文や説明文を掲示しておけばよいと思います。高槻市立しろあと歴史館の約2倍の規模のガイダンス施設が必要とは思えません。

当初国に示していたガイダンス施設の予算は10億円だったのですが、いつの間にか2倍以上になっているのも解せないところで、これの裏には国からの補助金の増額が関係しているのではないかと訝しんでいます。

議会では、この施設について、市民の意見などは調査したのか、と質問しました。すると、高槻市の答弁は、行ったというようなものでした。

私はまったくそうした調査の結果を見たことがなかったので、念のために「市民を対象とした①(仮称)今城塚古代歴史館②今城塚古墳に関する項目を含む意識調査」として情報公開請求を行いました。

すると、出てきたのは以下の平成3年度と平成9年度の「高槻市市民意識調査」でした。

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今から10年以上前のものなのですが、果たしてこれが、ガイダンス施設に関する意識調査の結果として適当なものと言えるのでしょうか?

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今城塚の整備・公開に関する平成3年度の市民意識調査の結果は、
・できるだけ古墳を当時の姿に復元する 20.0%
・歴史のロマンが感じられる整備をする 16.2%
自然景観を大切にした憩いの場とする 43.9%
古墳の復元や公園化などはせず、現状のままでよい 15.5%
といったもので、復元・整備を望む声は36.2%でした。

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同じく、平成9年度の調査結果は、
・できるだけ古墳を当時の姿に復元する 20.0%
・歴史のロマンが感じられる整備をする 16.2%
自然景観を大切にした憩いの場とする 43.9%
古墳の復元や公園化などはせず、現状のままでよい 15.5%
その他 1.1%
無回答 3.2%
といったもので、その率は平成3年度のものとまったく同じ!復元・整備を望む声は36.2%でした。

「歴史のロマンが感じられる整備」というのは、かなり主観的なもので、その中にはいろいろな意見があると思いますが、それを含めても、古墳の復元・整備を望んでいるのは36.2%。約6割の市民は、自然を大切に・現状のままでよいと答えていました。

高槻市がまったく市民の声を無視していたことが分かり、唖然としました。

それに、この調査は、ガイダンス施設について、何も触れていません。これでは市民の意見をちゃんと調査したと言えないでしょう。6月議会での答弁は、問題があるのではないでしょうか?

高槻市は、文化庁とはたっぷり協議をしてきたようですが、どうしてちゃんと市民の意見を聞いてくれなかったのでしょうか?こうしたことからも、市民不在のまま、今城塚の工事が進められてきたということができると思います。