ヤミ専従は農水省だけか?

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今年3月、農林水産省が「ヤミ専従」(勤務中の職員の違法な労働組合活動)を隠蔽し、その調査文書も改ざんし、さらにはマスコミに対して虚偽の説明をしていたことで、幹部らが更迭された事件がありました。
http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/090326/crm0903261239011-n1.htm

これに怒った鳩山邦夫総務大臣(当時)が、4月に全府省の一斉調査を指示。そして今月、ヤミ専従や兼業・副業があったとして、懲戒処分345人を含む1237人の処分と、25億円の返還請求を行うことが発表されました。
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20090717-OYT1T00866.htm

この解散ギリギリの時期ではなく、もっと前からこの問題に手をつけていれば・・・

「全省庁を対象に調査せよ」ということだったんですが、現在ヤミ専従が判明しているのは、報道を見る限り、社会保険庁農林水産省だけ。他の省庁に「ヤミ専従」は存在しなかったのでしょうか?それともまだ調査が完了していないのでしょうか?

ヤミ専従は国だけではないでしょうし、自民党は、自党所属の地方議員に、各地方自治体の状況を調べるように指令を出せばよかったのではないでしょうか?そうすれば、少しは、自民党の株は上がり、公務員労組を支持団体にもつ政党はダメージを受けたのではないかと思います。もうすぐ解散なので、遅きに失しましたが。

高槻市役所では、高槻市営バスの労組の執行委員長・執行副委員長・書記長・書記次長のいわゆる「四役」の労組幹部に対して、他の乗務員よりもバスに乗務する時間が短い、いわゆる「労組幹部優遇ダイヤ」があてがわれており、この「労組幹部優遇ダイヤ」によって、勤務時間の後半に、バスの乗務を行わない約1時間半~2時間の空き時間が生じていて、この間に「ヤミ専従」を行っていたということがありました(現在はこの仕業は労組役員にはあてがわれていません)。
http://kitaoka.seesaa.net/article/80790809.html

まあ他にも様々な問題が高槻市役所にはあるのですが、「ヤミ専従」他の違法な労働組合活動というのは、他の省庁や他の自治体でも似たようなことがある可能性が高いですし、今後、自民党に限らず、心ある政党・政治家にはどんどん追及していただきたいです。

農水省の話に戻ると、全農林労働組合の執行部は、責任をとって総退陣するとのこと。これは潔い態度だと思います。

★【読売新聞】全農林委員長「国民の視点が欠落していた」
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20090716-OYT1T00119.htm

 「国民の視点が欠落していた」。ヤミ専従問題発覚から4か月後の15日、全農林労働組合の執行部が退陣した。

 当初、ヤミ専従の存在を否定していた福田精一・中央執行委員長だが、農林水産省の第三者委員会から「重大な責任がある」と指弾されてようやく、国民の常識と乖離(かいり)していた組合のあり方を認めた形だ。

(中略)

 今後、農水省から返還を迫られることになるヤミ専従期間中の給与について、福田委員長は全農林として支払う考えを表明しているが、組合員の中には「一般の組合員が処分者の返還分を負担するのはおかしい」という声も根強く、新執行部は、給与返還問題に直面することになりそうだ。



しかし、農水省で「ヤミ専従」を行った職員には、返納額全額を全農林労働組合が補てんするというのがどうも・・・結局、記事にあるとおり、労組幹部の違法行為のつけを、他の組合員に負担させるような形になるわけですし、非常に組合幹部の身勝手を感じます。

個々の組合員は、幹部に対して「違法を承知の上でヤミ専従をやってくれ」と頼んだ覚えはないでしょうし、勝手に違法行為をやっていた分については、労組幹部個人が負担すべきではないでしょうか?(高槻市交通部でも、「犠牲者救援金」というもので、「代走」分の給与の返還をしましたが、公務員というのは似たような考えをもっているのでしょうか?)

ヤミ専従」というのは、働いていないのに、働いたふりをして給与を受け取っていたわけですから、給料詐欺ですが、これが金銭的には責任をとらされないのなら、「せめて刑事罰を」というのが、国民の視点・国民感情ではないでしょうか?

しかし今後、民主党政権になって、公務員の労働組合活動に甘い体質にならないか、心配です。

再び「ヤミ専従天国」にならぬよう、第三者委員会が定期的に調査を実施するような仕組みをつくってほしいですね。