【国際文化交流貢献賞】奥本市長の答弁と住民監査請求の意見陳述

池田大作氏に奥本務高槻市長が「国際文化交流貢献賞」を贈った問題について、私は今年7月6日、住民監査請求を行いました。

請求は受理され、意見陳述の機会が7月22日に設けられましたので、高槻市監査委員事務局で意見陳述をしてきました。以下はその原稿です(実際の陳述では若干アドリブを入れています)。

今回は、今年の3月26日に、高槻市長が、池田大作氏に「国際文化交流貢献賞」を贈ったことは、違法であって、それにかかった費用相当額は、高槻市の損害なので、関係者に賠償をしていただきたいというものです。

なぜ違法なのかと言いますと、まず1点目は、高槻市表彰条例に違反しているということです。この条例に規定されている賞以外は、市長は、勝手に創ってはいけないし、勝手に贈ってはいけないはずです。ですから、「国際文化交流貢献賞」なんてものを、勝手に創って贈ったことは条例違反です。

次に、高槻市は「国際文化交流貢献賞」は感謝状だ、なんて言ってますけど、感謝状なら、感謝状として贈らなければいけなかったはずです。もしこれが感謝状だということにしたとしても、勝手に「ナントカ賞」なんて名前を付けるのは、これは条例の趣旨を踏みにじるものですから、条例を潜脱した行為、もしくは、行政としての裁量を逸脱した、あるいは裁量を濫用した行為だというべきです。

私は、平成16年度から20年度の感謝状関係の資料を情報公開請求して、見てみましたけど、「ナントカ賞」なんてのは一つもありませんでした。今回の「国際文化交流貢献賞」を除いて、すべて「感謝状」という題目でした。つまり、高槻市のこれまでの実績を見ても、「感謝状」を「ナントカ賞」にすり替えるというのは、異例だということです。

仮に感謝状だとしても、果たして高槻市表彰条例第16条の要件を満たしているのか。池田大作氏には、高槻市政の進展に功労や貢献があったのか。これも疑問です。

そして、団体の創立者に賞を贈るというのは、世間の常識から明らかに外れています。私は、この住民監査請求の請求書に、●●●●監査委員は除斥すべきであると書きました。何故かというと、池田大作氏が公明党創立者だからです。でも、監査委員の皆さんは、●●議員を除斥しなかった。ということは、やっぱり創立者というのは、団体との利害関係がないか、あるいは極めて関係が薄いと、そのように監査委員の皆さんが考えられたからではないのでしょうか?そうしたら、やっぱり、創立者に賞を贈るというのはおかしいと、監査委員の皆さんは、この住民監査請求でも、判断されなければおかしいということになります。この私の考えは間違っているでしょうか?

先ほど申し上げたとおり、私は平成16年度から20年度の感謝状を見てみましたが、その宛先は、団体そのものか、あるいは代表者でした。つまり、高槻市のこれまでの実績を見ても、創立者に賞やら感謝状やらを贈るというのは異様だというわけです。

この賞を、奥本務さん個人ではなく、「高槻市長」として贈ったということは、高槻市民の代表として賞を贈ったということです。でも、果たして、この賞の贈呈について、納得する市民の方は、どれだけの割合でおられるでしょうか。一部の人は喜ぶかもしれません。けれども、大半の市民の方は納得されないと思います。これが、賞を贈るにあたっての、条例上の要件を満たしているならば、どんなに市民が反対しようとも、法律上・ルール上、賞を贈ることはできるでしょう。けれども、以上述べてきましたとおり、明らかにこの賞は条例に違反していますし、裁量権を逸脱・濫用しています。高槻市のルールに則っても、こんな賞を贈ることはできないわけです。

こういう好き勝手を、今、許してしまったら、悪しき先例を作ってしまうことになります。市長が「これは感謝状なんです」と言って、どんな賞を創って贈っても、議会も止めないし、監査委員も認めたし、となれば、今後、こういった賞の乱造・乱発を防げなくなってしまいます。何のために表彰条例があるのか。何のために議会はこの条例を議決したのか。はっきり言って、こんな明らかな条例違反を、議会や監査委員がみすみす見逃すのなら、これは地方自治の自殺行為だと思います。だって、自分たちの作ったルールを、平然と犯されているのに、見て見ぬふりをしているんだから。条例を議決したり、行政を監視したり、そんな一番肝心なことが、高槻市では、できていないということですからね。

議会で私はこの件を質問しましたけど、何故この賞を贈ったんですかと尋ねたら、「民主音楽協会の高槻における35年に及ぶ活動実績」を考慮しましたというような答弁でした。じゃあ、なぜ35年なのか。35という数字に何か根拠はあるのかと尋ねると、「プッ」と噴出す声が議場から聞こえてきました。噴き出したのはたぶん●●●●議員だったと思いますけど、それは正直な反応だと思います。誰が考えたって、35周年というのが、中途半端で、何の根拠もない数字だというのは明らかです。

実際のところ、「国際文化交流貢献賞」というのは、誰がこんな賞の名称を決めたんでしょうか?賞状の文章も、誰が考えたんでしょうか?賞の名前とか、賞状の文章とか、高槻市が独自で作成したというのは、ちょっと考えられませんよね。やっぱり、外部から、賞の名前や賞状の文章について、注文があったと考えるのが、自然ですよね。そのことについても、ぜひぜひ、しっかり監査をして調べていただきたいと思います。

もし、外部から注文があって、奥本市長はやむなくそれに従った、という事情があるならば、その外部の方に対しても、損害賠償請求をすべきだと思います。

結局、この賞は、どういう使われ方をしたかというと、「またまた池田先生が賞を贈られました!」という感じで、聖教新聞に掲載されたわけです。そうやって、創価学会の人たちの信仰心というか、結束心というか、池田氏に対する求心力みたいなものが、高められたわけです。その他には、高槻市は、ホームページに載せるでもなし、広報たかつきに掲載するでもなし、自発的に公表しなかったわけで、単に聖教新聞に掲載されて、今言ったような形で、創価学会的に利用されたわけです。つまり、宗教活動に使われたということです。これはやはり、憲法第20条や第89条に違反する行為ではないでしょうか?

奥本市長は何のためにこんなことをやったんでしょう。奥本市長は進んでこんなことをやったんでしょうか?だとしたら、もしかすると、奥本市長の個人的な宗教的な欲求を満たすためにやったのかもしれません。宗教的な欲求がなかったのであれば、やっぱり、政治的な目的があったのでしょうか?そのあたりの奥本市長の動機についても、奥本市長を事情聴取して、しっかりと監査をしていただきたいと思います。

いずれにせよ、こういうことをするのは、私は、まさに行政の私物化だと思います。

ちょっと長々と述べましたが、以上のとおり、本件の行為は違法ですので、損害賠償請求を勧告されるとともに、池田大作氏に贈った「国際文化交流貢献賞」というものは、取り消していただきたいと思います。池田大作名誉会長には、誠に申し訳ないですけれども、違法なものを贈ってしまったので、これは奥本市長がお詫びをして、賞状を返却していただかないといけないと思います。ですので、そのことも、併せて、勧告をしていただきたいと思います。

私は、民主音楽協会や池田名誉会長や創価学会のことを、決して批判しているわけではありません。あくまでも、奥本市長や、関係職員の行ったことは、条例違反であり、違法であり、憲法違反のおそれもあると申し上げている次第です。

ぜひ、厳正なる監査をしていただき、高槻市政を正しい方向へ導いて下さいますよう、監査委員の皆様に深くお願いをして、意見陳述を終わります。ありがとうございました。



高槻市側は、この後、私の請求書に対する反論の意見陳述を行いました。

「表彰条例には、感謝状の表記に関する規定はない。本件の感謝状の『国際文化交流貢献賞』という表記は、池田氏の功績を分かりやすく表したものである。」といったことを言っていましたが、表彰条例には、感謝状の表記を変えてもよいとする規定もないわけです。高槻市の言い分は、表彰条例の制定趣旨を踏みにじった拡大解釈としかいえないと思います。

なお、6月議会で、私の質問に対して、奥本市長は自ら次のとおり答弁しました。市長は滅多に答弁に立たないので驚きました。

先ほどから、担当部長が答えておりますように、市民の文化活動に、大変寄与していただいたということで、そうした、いわゆる文化振興事業団からの推薦もあり、私として、心から、市民にとって大変有意義な内容であったと、判断して、贈らせていただいたものでございます。音楽活動を通して、いろいろと活動されることに何を不思議に思っておられるのか、ちょっと私は理解しかねますが、非常に市民にとって、世界各国の音楽を、友好に、今日まで、活動としてやってこられた。その文化・芸術活動、そうしたものに対して、宗教活動とは一線を引いて考えておりますのでよろしくお願いします。

(北岡「ずっと最後まで公演を聴いてから賞を贈ったのか?」)

聴かしていただいたから、そういう気持ちがさらに強くなったということでございます。



実際の賞状の文面を見れば、純粋に音楽活動・文化活動に対して賞を贈ったということはできないはずです。

この賞が贈られた平成21年3月26日、奥本務高槻市長は、秘書室長と共に、専用車と呼ばれる運転手付きの公用車に乗って、高槻現代劇場へ赴き、民主音楽協会主催の公演を終了まで観賞した後、舞台に登壇し、賞状を読み上げ、池田大作氏の代理の方に賞状を手渡しました。このために、運転手の職員は、午後5時15分から午後9時50分までの4時間35分の残業をしました。

奥本市長がこの賞を贈るにあたって、通常の感謝状の贈呈とは違って、不必要に特別な対応をしたのは明らかです。

高槻市監査委員各位には、ぜひ良識ある監査結果を出していただきたいものです。