遠くのことは言いやすく、近くのことは言いにくい有名人

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最近、ホワイトバンドというのが流行っているのをご存知でしょうか?私も稲田友子さんのブログ「ともろぐ」を見るまで知らなかったのですが(笑)。 ★ホワイトバンドプロジェクト http://whiteband.yahoo.co.jp/ 「3秒に1人、子どもが貧困から死んでいます。食べ物がない、水が汚い、そんなことで。この状況を変えるには、お金ではなく、あなたの声が必要です。貧困をなくそう、という声を表すホワイトバンドを身につけてください。」 少し前に流行った「世界がもし100人の村だったら」(http://homepage1.nifty.com/hiroshi127/100people-3.htm )みたいだな、と思いながら、ホワイトバンドについて調べてみると、イギリスのミュージシャンであるU2のボノが、アフリカ支援のために世界中のミュージシャンを巻き込んで始めたライブエイトがホワイトバンドの元のようです。「ホワイトバンドプロジェクト公式ブログ」には

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ホワイトバンドプロジェクト公式ブログ http://ssu.cocolog-nifty.com/whiteband/2005/07/post_6196.html 20年前、アフリカ救済イベントで280億円の寄付を集め、喜んだのもつかの間。 それは、アフリカでは先進国への債務返済に一週間で消える額でした。 寄付だけでは、年々ひどくなる貧困のスピードに追いつけないのです。 みんなの声を集め、政策を引き寄せ、世界の根本的な構造を変えない限りは、貧困が地球からなくなることはないのです。 ホワイトバンドをつけて、その声を集めよう。 ということで2005年7月。 いよいよ、全国で一斉にホワイトバンドプロジェクトが動き始めました。

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「20年前、アフリカ救済イベント」として、何故だかライブエイトの名を直接出しません。「みんなの声を集め、政策を引き寄せ、世界の根本的な構造を変えない限りは」としていますが、これもひどくあいまいな言い回しで、具体的にどんな国のどんな政策を引き寄せ、どんな方向に世界の根本的な構造を改めるのかはっきりしません。 ところが、このホワイトバンド運動の元になったライブエイトを見ると、そのあたりがはっきりします。

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★Meine Sache ~マイネ・ザッヘ~ ライブエイト http://meinesache.seesaa.net/article/4893365.html (前略)弱者救済など大嫌いそうなブッシュ政権は、クリントン時代に比べて大幅に支援額を増やすなど、意外にもアフリカ支援に積極的です。これは人気取りのためでしょうが、債務帳消し運動のリーダーであるU2のボノを批判するどころか讃えてまでいます。 ボノはボノで、そんなブッシュの努力を手放しに賞賛します。 ブッシュ政権は、アフリカのエイズ撲滅にすばらしい仕事をしました。アメリカの薬に救われたアフリカ人はここ1年で25万人に上ります。彼らはアメリカのおかげで生きているのです。・・・アメリカは十分にアフリカ救済に取り組んでいないと非難する人がいますが、とんでもありません。アメリカは、アフリカ支援全体の4分の1を担っています。ブッシュ大統領は支援額を2倍、3倍に増やしました。 <NBC Meet the Press より> ブッシュ政権は、口先だけの欧州などよりずっと熱心にアフリカ支援に取り組んでいるのですから、至極当然な評価です。ライブエイトの提唱者であるボブ・ゲルドフも、出演者たちにブッシュ批判をしないように釘を刺したと言われています。 (中略) ボノの主張は単純すぎると思いますが、彼はいわゆるサヨクではありません。弱者救済運動などしていると、サヨク陣営からの引力は相当なものだと思いますが、全く動じず、アフリカ支援というただその一点だけのために党派も何も乗り越えて活動しているのです。そういう態度を貫ける人間はそうはいません。主張の是非は別にして立派です。 だいたいライブエイトは所詮ショーです。ド派手なショーをするきっかけを与えてくれたアフリカ支援というお題目に、逆に感謝してもいいくらいだと思います。ショーを楽しんで、ついでにアフリカの貧困に対する意識が向上するなら、一挙両得です。 アフリカへの債務帳消しで最も損をするのは日本だと言う人がいますが、自由貿易とセットになったアフリカ支援を最も恐れるのはEUです。人道的な欧州と独善的なアメリカという構図が捻れているこういう時こそ、日本のイメージを向上させる大チャンスでもあります。捻れの間隙を突いてアフリカにおける日本の影響力をアップすることに成功すれば、アフリカ諸国への経済支援を増やし、軍隊まで駐留させている中国への牽制にもなります・・・。 ちなみに、ボブ・ゲルドフとボノの手になるライブエイトを最も激しく非難しているのは、真正の左翼たちです。(後略)

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なるほど、なるほど。だから、「ライブエイト」を「ホワイトバンド」に変換し、「アフリカへの債務帳消し」という目的もあいまいにしたわけですね。そうしないと「アメリカ憎し、ブッシュ憎し」で動いている人は寄ってこないですからね。 気に入りましたよ、ホワイトバンド!生産地がアフリカでなく中国だというのが若干気に入りませんが、私も早速注文しました。以前ルワンダで義足を作っているルダシングワ真美さん(旧姓:吉田真美さん)の話も聞いたし、少しでもアフリカで困っている人の役に立てば。 ★プロジェクトX~挑戦者たち~悲劇のルワンダ 希望の義足 http://www.nhk.or.jp/projectx/139/ 写真はこのホワイトバンド運動に賛同した有名人達ですが、まあしかし、よくこれだけの有名人が協力してくれていますよね。ミスチル櫻井和寿、サッカーの中田英寿、女優の藤原紀香、金メダリストの北島康介MISIA柳楽優弥一青窈(ひととよう)、中村勘三郎SHIHOGLAYのTERU、村上龍・・・きっとみんなノーギャラで出ているんでしょうね。 もしこれだけの有名人の方々が、「投票に行こう!」とメディアで叫んでくれたら、日本の構造改革もあっという間に進むと思うんですが・・・ でも、特定の候補者を推さなくても「投票に行こう!」と言うだけで、投票率の上がって欲しくないいろいろなところから圧力を受けるんでしょうね。 「アフリカ救済」とか、遠くのことについては何の躊躇もなく言えるんでしょうけど、近ければ近いことほど言いにくくなる。これは有名人にだけ当てはまるものじゃないんでしょうけど、でも、もしU2のボノくらい熱心に、日本で「投票に行こう!」と運動してくれる有名人がいたら、私は一生その人を応援しますよ。