関西大学に数十億円の巨額補助?!

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今月26日に、市街地整備促進特別委員会が開かれ、その資料が私のところにも配布されてきました。そこには、関西大学の「高槻新キャンパス」(JR高槻駅北東地区)新設による経済効果の試算等とともに、写真のような高槻市と関大の「基本合意書(素案)」がありました。

この素案に記されているとおり、高槻市は関大に「高槻新キャンパス」の土地を、半永久的に無償で貸与したいとしています。この土地は、まだ高槻市所有のものではなく、これから買収するというのですが、その額は約40億円とも言われています。

私はこれを見て「いよいよ来たか・・・」と感じました。

昨年12月12日、高槻市議会の会議室で、無所属の市議会議員である二木議員、小西議員、そして私の3人で、関西大学の幹部の方から、「高槻新キャンパス」についての説明を受けました。小中高一貫教育を行い、大学として「社会安全学部」を新設。開校は平成22年とのことでした。

一通り説明を受けた後、私は「キャンパスの建設資金は大丈夫なんですか?」と質問しました。

すると、「建設には180億円かかるが、これについてはこれまで積み立ててきたお金があるから大丈夫。土地については・・・高槻市と補助について協議中です」と答えました。

私は「高槻市は補助をすると言っているんですか?」と訊きました。すると「当初から、補助金ありきで話し合いをしてきている」という回答をされました。

関西大学の誘致は、元市長公室長で、今は佐賀県武雄市長の樋渡啓祐氏が推進してきました。そこで、
「樋渡さんが武雄市長選挙に出たときに、関大の学長さんか誰かが選挙応援に行きましたね?」と私。
「理事長です。理事長は、個人的に選挙応援に行ったんです」
「個人的?理事長でしょ?理事長が樋渡さんの選挙の応援に行っておいて、それで補助金出すというのはおかしいのではないですか?」・・・


この関大幹部の方の話から察すると、どうやら、高槻市は関大に対して、最初から補助金有りきで話を進めてきたようです。関大としては、土地について補助してほしいという意向をもっており、高槻市はこれに応えた形。高槻市の職員に訊くと、補助金の話は一切してこなかったと言うのですが、どうやら嘘のようです。市民も議会も知らないところで、そんなふうに話が進められていたとは。

関西大学の理事長から武雄市長選挙の際に応援を受けた樋渡元市長公室長。昨年佐賀県に行って、樋渡元市長公室長の選挙の収支報告や、後援会の収支報告を調べてみたのですが、高槻市随意契約をしている某企業とその関連会社から、150万円の迂回献金を受けている形跡が見られました(武雄市では選挙の収支報告のコピーが認められませんでした。この部分で情報公開が遅れているようです)。これについて即座に違法性があるとはいえませんが、関西大学に対する補助については、こうした経緯・関係も考慮して注意深く見ていかなければならないと考えています。

つまり、関係の深い法人と、裏で、補助金有りきで話を進めてきたわけですから、高槻市は、補助金を捻出するために、「経済効果」の水増しや捏造をしている可能性も考えられるわけです。高槻市がいくら立派な経済効果予測を出してきても、すぐにすべてを信用するわけにはいきません。


高槻市はいろいろと理由を述べて、次のような「経済効果」を試算しています。

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けれども私は、この経済効果の試算には、少なくとも3つの視点が抜け落ちていると思います。

一つは、経済効果を測るなら、平成6年に、高槻市霊仙寺町に開設された「関西大学総合情報学部」によって、実際にどれだけの経済波及効果があったのかをまず公表すべきです。その実績値を使用すれば、予測値ではなく、リアルな経済効果が分かるはずです。昨年担当職員にもそれを提言したのですが、何故それをしないのでしょうか。

二つ目は、高槻市は経済効果しか公表しませんが、デメリットやリスクもあるはずです。特にJR高槻駅のプラットホームの狭さによる混雑。議会でも質問しましたが、大きなランドセルを背負った子どもが転落しないか心配です。そうした児童・生徒に関する安全対策を講じるとするならば、周辺整備などにどれだけの税金が必要なのかを算出・公表すべきでしょう。

3つ目は、関西大学の地域貢献策の必要性や効果についての検証です。高槻市は次のようなものを資料に記しています。

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防災や交流、図書館、コンベンションホール、生涯学習、グラウンドなどの利活用をあげていますが、これが市民にとってどの程度本当に必要なのか。40億円も出さないと関大には協力してもらえないのか。

また、現在高槻市内にある他の既存の大学施設による地域貢献度はどれくらいなのか。そういった事例からも、実際にどれだけ地域として必要とし、効果を上げられるのかが測れると思われます。既存の大学という先例があるわけですから、バーチャルな効果測定を行うより、まずその現実を測定し考慮すべきではないかと考えます。


関大の進出には反対ではありませんし、一定の経済波及効果も当然あるでしょう。しかし、40億円というのは巨額過ぎます。40億円の現金が、土地という不動産に変わるので、資産的には等価交換といえるかもしれませんが、この土地は無償で貸与し続けるわけで、使用料収入が得られるわけでもなく、ずっと「塩漬け」になってしまうわけです。

とりあえず、関西大学には、新キャンパスを造っていただいて、実際に運営が開始され、経済効果や地域貢献などの実績値が示されてから、それに応じて補助を決定しても、遅くはないのではないでしょうか。それが現実的な解決策だと思いますが、いかがでしょうか?