【有給職免】労働組合活動・部落解放活動を違法に有給で認めていた高槻市

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先に裁判について。市長部局・教育委員会・水道部における、違法な有給による職務専念義務の免除(有給職免)について住民訴訟を起こしました。第1回口頭弁論は、6月12日(木)10時15分から、大阪地方裁判所806号法廷で開かれることになりました。

有給職免については、高槻市営バス「幽霊運転手事件」で何度か触れてきました。交通部では、適法な労使交渉以外の組合活動についても、違法に有給職免を認めていたのですが、市長部局・教育委員会・水道部も同様に、公務員に課せられた職務専念義務を、違法に有給で免除していました。

地方公務員法は、第30条で「すべて職員は、全体の奉仕者として公共の利益のために勤務し、且つ、職務の遂行に当つては、全力を挙げてこれに専念しなければならない。」とし、また第35条で「職員は、法律又は条例に特別の定がある場合を除く外、その勤務時間及び職務上の注意力のすべてをその職責遂行のために用い、当該地方公共団体がなすべき責を有する職務にのみ従事しなければならない。」と定めており、これは一般に「職務専念義務」と呼ばれています。

ただし「法律又は条例に特別の定がある場合」とありますように、職務専念義務の免除(「職免」あるいは「職専免」と略されますが、高槻市では「職免」と言われていますので「職免」とします)がされる場合があります。

高槻市の場合、「地方公務員法第35条の規定に基き、職務に専念する義務の特例に関し、規定することを目的」として制定されたのが、「職務に専念する義務の特例に関する条例」です(長い名前の条例なので「職免条例」とします)。

この条例が認めているのは、次の3つのものです。
(1) 研修を受ける場合
(2) 厚生に関する計画の実施に参加する場合
(3) 前2号に規定する場合を除く外任命権者が定める場合

「任命権者が定める場合」というのがありますが、これは、地方公務員法第35条に「法律又は条例に特別の定がある場合」とありますから、その趣旨からいえば「特別の定」を定めなければなりませんし、この職免条例自身も第1条で「職務に専念する義務の特例に関し、規定することを目的とする」と謳っていますから、当然、明文化したした規定を定めなければならないところです。

ところが、高槻市の場合、議会での答弁や、住民監査請求における意見陳述によれば、職免申請があるごとに、その都度内容を審査して、その可否を決定してきた、とのことでした。昨年12月1日付で新たな要綱を定めて、免除する場合の基準を明確にしたとのことなのですが、それまでは、明文化された規定はなく、市職員の労働組合活動・職員団体活動などについては、任命権者の裁量で許可していたとのことで、これは地方公務員法と職免条例に反していると考えられます。

また一方、高槻市には、地方公務員法第55条の2第6項に基づき定められた条例として、「職員団体のための職員の行為の制限の特例に関する条例」が存在しています。これは全国的に通称「ながら条例」と呼ばれています。

ちょっと話がそれますが、いくつかの自治体で、労働組合の幹部らが、本来無給となるべき組合活動に従事しながら、勤務を装って給与を得る、いわゆる「ヤミ専従」を生み出したとして問題となったのは、この読売新聞の記事のとおり、「ながら条例」において、「適法な交渉」の他、そのための「準備行為」も盛り込まれていたためだとのことです。「ながら条例」中の「準備行為」の一語が次第に拡大解釈され、「ヤミ専従」につながっていった、と。

組合活動に厳正な枠を ながら条例改正がカギ 「解釈次第」の現状許すな
(中略)
■判断基準

 ながら条例は、旧自治省がひな型を示した1966年以降、全国の自治体で制定された。その多くで、公務時間内に認められる組合活動として、労使の団体交渉に加え、その「準備行為」が盛り込まれたが、次第に拡大解釈されて、ヤミ専従につながっていく。(後略)



しかし、高槻市の「ながら条例」には、「適法な交渉」しか記されておらず、「準備行為」の語は存在しないのです。つまり、高槻市では、他の自治体で問題となった「準備行為」の語の拡大解釈の余地はなく、条例上も、完全に「適法な交渉」以外の組合活動は認められないのです。

高槻市の場合、組合活動に関して、勤務を装っているわけではなく、有給職免の申請と決裁が行われていることから、この点いわゆる「ヤミ専従」とはいえませんが、本来無給とすべき組合活動を、法律と条例に反し、有給職免で認めてきたわけです。

仮に、「職免条例」に基づいて、任命権者の裁量でもって適法な労使交渉以外の組合活動が認めることができるとしても、「ながら条例」には違反することになります。高槻市は、法例違反を長年続けてきたのです。

交通部については、代走や、労組幹部優遇ダイヤによるヤミ専従時間と共に、有給職免についても「幽霊運転手訴訟」で提訴しましたが、市長部局・教育委員会・水道部においても、以上のとおり、労働組合活動や部落解放活動について、違法に有給職免を認めていた問題があり、これについて昨年の9月議会と12月議会で追及したのですが、高槻市は法令違反を認めず、全然反省の色を見せないので、今年1月18日に高槻市監査委員に対して住民監査請求をしました。

監査委員は、3月13日に、理由がないとして私の請求を不当に棄却しました。そこで、4月10日に住民訴訟を提起。訴状の訂正などの手続も完了し、第1回目の口頭弁論が6月12日(木)10時15分から大阪地方裁判所806号法廷で開かれることになりました。

高槻市が反省し、あるいは高槻市監査委員が法令違反を認めてくれれば、やる必要もなかったのですが・・・・よろしければ傍聴にお越し下さい。