口利きや不当要求はあったはず。高槻市職員は今からでもそれを記録せよ。

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6月26日の市議会では、「コンプライアンス条例をつくる前にこれまで口利きや不当要求があったのか明らかにせよ」との題で、段野議員の事件のことにも触れながら質問しました。

新聞で報道されておりますが、高槻市は「口利き防止条例」「口利き記録条例」といったものをつくるとのこと。正式な条例名はまだ決まっていないようですが、最近の報道では「コンプライアンス条例」とされているので、以後そのように表記します。

高槻市は「コンプライアンス条例」を作って、議員の口利きなどを記録するとしていますが、すでに、口利きや不当要求を防止するため、平成18年に、公園墓地当選者名簿流出事件を受けて、当時の寺本助役を委員長として、高槻市個人情報等適性管理検討委員会を設けて、口利きや不当要求への対応を定めた要綱をつくっています。

以前、私が、この要綱に基づいて口利きなどについて記録されているか、情報公開請求をして確認したところ、そのような記録は存在しないとのことでした。しかし、報道によれば、要綱が作られた後も、口利きがあったとされています。

段野議員が、市街化調整区域の開発許可するように、高槻市の職員に働きかけて、その見返りに業者から金品を受け取った疑いがあるとして、警察に事情聴取されたのは今年の3月。この開発許可に関する一連の事件は、平成18~19年にかけてのものでした。

上記のような開発許可は、高槻市開発審査会の承認を得ないと下りないものなんですが、この件のときの審査会の会議録を見ると、高槻市側は「道路管理者たる高槻市長の依頼による今回限りの特例だ」というようなことを言って、過去の経緯を説明したりなんかして、審査会を必死で通そうとした様子が分かります。しかし、「今回限りの特例」なんていうものを行政が認めるというのは非常に不自然ですし、大きな問題があると思います。高槻市は現在のところ否定していますが、やはり口利きがあったのではないかと疑われます。

写真の文書は、3月議会の建環産業委員会の市側の報告の原稿です。ここには、

緑が丘一丁目での市管理地道路については、
業者は上下水道を撤去するかのような言動や、市民への傷害事件暴力的圧力などもあり、更にはガードレールを設置し、民家への出入りを妨げる事態に至りました。



と、本当にひどい状況であったことが記されています。

そして、この問題の根本的な解決を図るために、市街化調整区域にある業者の所有地の住宅2件について、開発許可をしたとしています。

暴力行為や、道路にガードレールを設置されるといった嫌がらせを受けた。だから「今回限りの特例」として、市街化調整区域の開発許可を出した、ということですが、これを傍目から見れば、高槻市は、業者からの不当な要求に屈して、報道のとおりもしここに議員が介在していれば、議員の口利きに応じた。道路を管理する建設部と、開発許可を出す都市産業部と、組織を横断して、役所ぐるみで、不当要求・口利きに応じた、としか考えられません。

また、6月11日の朝日新聞の夕刊には「高槻汚職」というタイトルの記事が掲載され、勤続20年以上の男性職員が「口利きは段野市議だけではない」と告発し、職員の採用で口利きがあって、知り合いから「親類の採用でお世話になった市議にお礼をしたい。相場はいくらか」と尋ねられて驚いたという体験談が掲載されています。最近もこういうことが行われていると書かれていますが、これも事実なら口利きと言えるでしょう。

こういうことが、要綱制定後も行われていたわけです。上記の行為は明らかに不当要求や口利きではないかと考えられますが、要綱に基づいた記録は一切されませんでした。つまり、要綱も、要綱を作った委員会も、形式だけに終わってしまったということです。

高槻市としては、段野議員の起訴を受けて、これから第三者委員会を作って、コンプライアンス条例を制定するとしていますが、このままでは、また形式だけに終わることは目に見えています。

形式だけに終わらせないためには、要綱が作られてから現在までの間に行われた口利きや不当要求について、「職員の皆さん思い出しなさい」と、記憶を喚起するよう職員全員に呼びかけて、それを全部、「要綱に基づいて、今から記録しなさい」と、市長がトップダウンで指示をしてやらせるしかないと、私は思います。

夏休みの宿題を、夏休みの最終日にやるようなものですが、それができないならば、いくら条例を作っても、今後も、議員が怖い、業者が怖いということで、記録などできるはずがありませんから、条例を作るだけ無駄です。

もし今後、過去の口利きや不当要求の事実が出てきたら、「高槻市は口利きなどの事実を隠蔽していた」と批判され、信用を大きく損なうのではないでしょうか。事実を公表するなら今のうちです。

先週の総務消防委員会では、「高槻ブランド」を確立するための戦略などの説明を高槻市から受けました。これに関し「高槻ブランド 低迷脱出!」という記事も読売新聞に掲載されました。

「高槻ブランド」を高めるために、高槻市自身ができること。それは、きれいな行政を実現させることではないでしょうか?不正がない、税金の無駄遣いもない、そんな行政が行われていたら、その都市の魅力は非常に高まるはずです。残念ながら、そういう点から言えば、現時点では、高槻市役所自身が、「高槻ブランド」の足を引っ張っているわけです。

奥本市長が本気で「高槻ブランド」を高めたいのなら、これまでの口利きや不当要求を、要綱に基づいて記録するよう、市職員の記憶を喚起させることが必要だと私は思います。検察に起訴された事件だけしか出てこないようであれば、高槻市には自浄能力がなく、市長も本気で「高槻ブランド」のことなど考えていないと見て間違いありません。