2学期制推進シンポジウムの感想

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先週土曜日に行われた「2学期制試行実践報告会」、いわゆるシンポジウムについての感想をもう少し書きたいと思います。

私が会場に到着したのは、開演時間から数分経った時でした。受付は「一般」「教職員」「PTA」に分かれており、私は「一般」の受付で資料をもらい、名簿に名前を書いたのですが、その名簿に書かれていた人数は10人に満たないものでした。

会場に入ると一瀬教育長が挨拶を始めるところ。入場者はざっと見たところ200名以上はいたのではないでしょうか。大半は教職員とPTAなのではないかと思われます。
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2学期制試行実践校、いわゆるモデル校からの報告が、第七中学校、柱本小学校、三箇牧小学校、柱本幼稚園の順にあり、各校から報告があった後、コメンテーターとしてPTAの役員3名が質問したりしていました。先日も書いたとおり、会場の一般参加者には質問は求められませんでした。コメンテーターといっても、サクラみたいなもので、鋭い突っ込みも何もありませんでした。

第七中学校の先生は、2学期制と学力充実は切っても切れない、2学期制にして良かったと実感している、教師の意識が変わった、などと言っていましたが、感情的な感想であって、まったく根拠が分かりません。2学期制のどこが良いのか、もっと論理的な説明が欲しかったのですが、これではまるで、2学期制を推進しようとしている教育委員会におべんちゃらを言ってゴマをすっているようにしか見えませんでした。

推進委員会のときと同じく、JASMIN運動を紹介していましたが(JASMIN運動は良い運動だと思いますが)、そういったまるで2学期制と関係のないものを、どうしてこの「2学期制試行実践報告会」と題されたシンポジウムで発表するのか。2学期制と関連するものだけを、客観的な指標をもって、論理的に発表してほしいと思いました。

柱本小学校の発表も、レンゲ畑の話、2年生で習う九九を10月から6月に組み替えたこと、夏休みの懇談やサマースクールなど、どういうふうに2学期制と関係があるのか。それぞれの取り組みは大変すばらしいと思うけれども。

三箇牧小学校の宮内先生は、推進委員会同様、このシンポジウムでもその優秀さが光っていて、子ども達と一緒に淀川沿いをサイクリングして大阪市まで行った話しなど大変良かったのですが、それでも何故2学期制にする必要があるのか、その必然性などまるで感じませんでした。

宮内先生によれば、三箇牧小学校では、3学期制のときもサマースクールをやっていたということです。また、7月20日に全校集会で校長先生が児童に向かって「君たち、夏休み前にあゆみ(通知表)が欲しかったか?」と、大胆にも訊いたところ、なんと90%以上の児童が手を挙げた、とのこと。このシンポジウムで、そんな大胆発言をするなんて、宮内先生も、内心は、別に2学期制にする必要など感じていないんじゃないですか?(笑)

幼稚園も、どうして2学期制にしなきゃならないのか。園児達も、10月のある日に突然「さあ今日から2学期ですよ」と言われても、きょとんとするだけで、実感も、気持ちの切り替えもないのでは?

裏読みすれば、このシンポジウムで発表するということは、それだけこれらの学校・幼稚園が、モデル校の中でも一番優秀だからではないのでしょうか?ということは、他のモデル校は、発表した学校よりも取り組みが劣るのでは?

おそらく、今回発表したモデル校は、「1学期制」でも「4学期制」でも、素晴らしい取り組みをやって、卒のない結果を出して発表できたと思いますよ。これだけ2学期制とは無関係のものを、さも2学期制と関係があるように装って上手に発表できたのだから(笑)。

2学期制を推進する上で、高槻市教育委員会が、モデル校並の取り組みを、他の学校等に関しても保証するかといえば、そうではありません。取り組みとして発表されたものについては、各学校の裁量に任せるとしています。定期考査も、実力テストも、サマースクールも、補充授業も、通知表に代わる補助簿も、秋休みも、すべて学校任せになるのです。

なんだか教育委員会は、「モデル校の素晴らしい取り組み」というニンジンを保護者の前にぶら下げて、2学期制に走らせようとしているような、そんな感じがします。「モデル校の素晴らしい取り組み」すらも、実は2学期制とはほとんど無関係なので、はっきり言ってまやかしです。

授業の時間を確保したいなら、始業式と終業式のある日にも授業をすればいいのでは?2学期制になっても、どうせ休みの前には全校集会をやって、校長先生から諸注意をするわけでしょう。休み明けにも全校集会を開くのでは?その日に授業をやるのなら、始業式・終業式の日に授業するのと、どこがどう違うのか。

3学期制でも、夏休みにサマースクールや授業日は設けられるはず。2学期制じゃなきゃできないもんじゃない。

「夏休み前に通知表がないのが不安」という保護者の声に応える形で懇談をやり、補助簿を作った。じゃあ、保護者がそれと同じ論理・感情で「冬休み前に通知表がないのも不安」と言い出したら、どうしますか?冬休み前にも懇談と補助簿をセットしますか?そうすると、実質的に、年4回通知表を出すのと同じになるのではないでしょうか。先生の負担はむしろ増えたりして(笑)。

2学期制が本当に何らかの効果があるのか。その一つの指標となるのが生徒の成績だと思いますが、学校内での偏差値らしきものはあっても、学校間の偏差値がない。2学期制を試行した学校の全生徒の平均学力が、他の学校と比べてアップしたかダウンしたか、それを知ることが出来る「統一テスト」が必要でしょう。(そもそも高槻市の学校で学んでいる生徒と他市の生徒の学力の差も気になりますが。)

プールの金具問題もありましたが、高槻市教育委員会は、本当に子ども達のことを考えて2学期制を推進しているのか、私には疑問なのです。本当に2学期制を推進すれば、子ども達のためになるのですか?根拠を示し、論理的に答えていただきたい。

近々パブリックコメントが行われるそうですが、結局それで市民のガス抜きをして、大筋では譲る気はないはず。そんなパブリックコメントの実施に、どれだけの意味があるのか。シンポジウムやパブリックコメントではなく、教育を預かる責任者なら、堂々と、市民と公開討論会を催して欲しい。私もコメンテーターとして出ますよ(笑)。そしてその討論会の最後には、会場の市民の皆さんに、どちらが正しいと思うか、挙手で勝敗を決めてもらいましょうよ。

学校の裁量に大きく任せるといいますが、高槻市での悪評高い教育は、誰が行ってきたのか。現場の日教組やなんかの組合の先生方でしょう?学校に裁量権を譲ってしまったら、取り返しのつかない事態になるかもしれないと、私は危機感をもっています。