【市バス】やっぱり「あま~い!」調査委の中間報告

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今日の新聞各紙(地方版)には、高槻市の立ち上げた調査委員会の中間報告の件が載っています。私も昨日、議員控室でこの中間報告書を受け取りましたが、その甘さに愕然としました。

そして、「今年の4月以降は廃止した」と言っていた違法な「代走」が、実は今年度に入ってからも行われていたと書かれていました。今更そんなことに驚きもしませんが、役所や労組が調査委に公開したであろう資料は、本当に正確なのかが疑われます。実はまだ「代走」を隠しているのではないでしょうか?

中間報告では、「代走」および「職場離脱」(労組幹部優遇ダイヤによる空き時間の中で、遠方へ行ったもの)における不当利得の返還請求の検討が行われ、ひとまず平成18年度と19年度に関しての算定がされました。平成17年度以前については、何年間遡るかは今後検討するとのこと。法に基づき、しっかりと時効まで遡ってほしいところです。

不当利得の返還対象者については、「代走を依頼し勤務しなかった者及び勤務時間中において職場を離脱した者」とあります。しかし、何度も書いていますが、「代走」は労組幹部らだけで行ったものではありません。

「代走」を行うにあたっては、まず労組幹部から「代走願い」という文書が交通部当局に出されます。これを交通部当局が受理し、許可をして、「点呼記録表」や「乗務員勤務割出表」に「代走誰々」と鉛筆書きで書き込んだ。そして、「代走」と知りつつ点呼をし、勤怠の台帳を偽造して、給与・賞与を支払っていたのです。

誰が「代走願い」を受け取り保存していたのでしょうか?誰が「代走」を決裁・許可していたのでしょうか?誰が「点呼記録表」や「乗務員勤務割出表」に「代走誰々」と鉛筆書きしたのでしょうか?誰が「代走者」を点呼したのでしょうか?誰が勤怠・給与等の台帳を偽造したのでしょうか?誰が給与・賞与を支払って、市に損害を与えたのでしょうか?そして、証拠隠滅のために、誰が「代走願い」を廃棄したのでしょうか?誰が消しゴムで「代走誰々」の鉛筆書きを消したのでしょうか?それらは誰の指示の下に行われたのでしょうか?・・・これに関わった人は、皆、実行犯であり共犯じゃないですか。どうして労組幹部らだけが、不当利得を返さなければならないのですか?関わった職員全員で連帯して金を返すべきです。

そして、「職場離脱」分を不当利得として算定したとしていますが、まったく認識が間違っています。

中間報告では、「労組幹部優遇ダイヤ」による空き時間について、「他の職員が体調を崩し勤務に就けない事態に備えるため」の「予備勤務に割り当てていた」、つまり待機させていたとし、その時間にどこかへ「職場離脱」した場合だけを問題視しています。

しかし、その空き時間に労組幹部はどこに居たかというと、「組合事務所」なわけです。「組合事務所」は「職場」なのでしょうか?先日交通部総務課に確認したところ、「職場ではない」との答えでした。職場ではない「組合事務所」に入ったら、その時点で「職場離脱」のはずです。

その空き時間、労使幹部以外に待機者がいなかったのかといえば、そうではありません。他に待機者が複数いたのです。その待機者は、どこに居たのか。それは乗務員室です。

待機者は、事故など他の乗務員に何かあった場合のいざというときのために、体を休めておくのが仕事です。しかし、労組幹部は、空き時間の間、組合事務所に居たのです。何のためかといえば、組合活動のためです。おそらく一生懸命組合活動をしていたのでしょう。本当に待機だというなら、乗務員室に居て、いざというときのために、乗客の安全を守るために、体を休めておかなければならなかったはずです。

中間報告書を見ると、労組幹部の自己申告を鵜呑みにして、「職場離脱」とやらの時間を算定しています。自己申告を鵜呑みということは、交通部当局側は、この時間に労組幹部が何をしていたのか把握できていなかったということです。交通部当局は、この空き時間の間、労組幹部が、どこで何をしようが野放しにして、管理をしていなかったのです。これで本当に「待機させていた」といえるのでしょうか?

中間報告書に記された労組幹部の自己申告による平成19年度の「職場離脱」の状況を見ると、「野放し状態」を裏付けることが書かれていました。芝生営業所には3人の労組幹部が勤務しているのですが、その3人が3人とも、同じ日の同じ時間帯に「職場離脱」をしているのです。つまり、当局の言い分であるところの「待機者」が、この時間帯は誰も居なかった、ということです。「幽霊運転手」ならぬ「幽霊待機者」です(笑)。

この空き時間、労組幹部らは待機などしていないのです。世間によく知られた言葉を使うならば、この空き時間、労組幹部らは、実質「ヤミ専従」だったのです。ですので、調査委員会も、「ヤミ専従」の時間として無給扱いにして、算定し直さなければなりません。

しかし、その「闇専従」の時間に、適法な労使交渉をしていたら、その分だけは有給扱いにしてあげるべきです。もし、適法な労使交渉が行われていたならば、その記録があるはずなので、それを労使が堂々と調査委員会に出し合って、算定してもらうべきです。けれどもその時間も「ヤミ専従」の時間全体からすれば微々たるものでしょうが。

この「労組幹部優遇ダイヤ」における「ヤミ専従」時間も、当然市バス当局の便宜供与なしには設定できません。普通の組合専従では、市から給与は受け取れませんが、その時間分も労組幹部は市から給与を受け取っていたわけですから、市バス当局は労組幹部に利益供与をもしていたといえます。「代走」同様、関係した責任者は、連帯して不当利得を返還すべきです。

有給職免については、中間報告では、調査委員会は結論を先延ばしにしています。しかし、決算委員会を来週に控えているのに、18年度分についての結論を出せないような有様でいいのでしょうか?何が理由で判断に躊躇しているのでしょうか?

前にも書きましたが、適法な労使の協議・交渉を行う以外の組合活動に対して、有給での職務免除を認めること自体が、違法です。ですので、労組幹部に対して認めていた組合活動に関するすべての有給職免が違法であり、その給与・賞与分も返還させなければなりません。

有給職免については、これを認めてきた当局にも責任がありますので、この分も関係者が連帯して返還すべきです。

さて、今後も調査委員会は甘い判断をし続けるのでしょうか?それとも修正してくれるのでしょうか?詐欺を見逃すようなことだけはないようにしていただきたいですね。