【保育園不正選定】矛盾する「5%ルール」

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3月4日の本会議では、保育園事業者の不正選定についての質問もしました。

国から補助金が出ることになったので、高槻市の財源からの補助金も合わせて、計3億円あまりの補助金を交付して、3箇所の保育園を設置することになったのですが、そのうちの一つの保育園の事業者の選定が非常におかしいことに気づきました。

保育園の事業者については、昨年12月14日の「19年度 第3回 保険福祉施設等施設整備審査会」において選考・審査され、事業者が決定されました。

その審査会において、ある保育園については、公募に対して3法人からの応募があったので、選考をして、1法人を選定したわけですが、その選考にあたっては、「施設整備採点表」という表の各審査項目に、審査会で決定した各法人の点数を書き入れていって、その合計得点が一番高かった法人を、事業者として選定するという方法がとられています。

その採点表を、情報公開請求をして、入手して見てみたのですが、いくつかの不審点がありました。

まず一つ目の不審点は、「他に施設整備を図っているか」という審査項目の点数です。

この審査項目は、平成15年度の審査会から存在していたのですが、当初から「-5点」でした。ところが、平成18年度には、なぜかこの審査項目が削除されてしまいます。そして平成19年度の第2回審査会からまた何故か復活しているのですが、その平成19年度第2回審査会においてはやはり「-5点」でした。しかし、その次の、この保育園の事業者を決める平成19年度第3回の審査会においては、何故か「-2点」になっているのです。

これについて高槻市は、「その項目の点数は、全体の点数の5%程度としており、全体の点数の最高得点が約100点から40点になったことから、その分この項目の点数を少なくした」というように答えました。

しかし、18年度の審査会では、この項目は丸ごと削除されていた。つまり0%ですし、平成19年度第2回の審査会では、下の写真のように、合計点が80点にもかかわらず、「-5点」となっています。5%なら、「-4点」とならなければおかしいのに・・・

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2つ目の不審点は、「法人の適格性」という審査項目の採点です。

この審査会における採点の指針として「保育所用地の保育所新設に係る設置運営主体選定基準の考え方」という書類があります。この中で「法人の適格性」については、「社会的信望を損なうような事例の有無」「事業を確実に遂行できるような経営基盤が整っているか」「指導監査の状況」を勘案せよ、というように記載されています。

この審査会において選定された社会福祉法人は、過去に補助金詐欺事件を起こして、理事長が実刑判決を受けるということがありました。まさに、「社会的信望を損なうような事例」があったといえます。

施設長予定者についても、この事件によって、法人の理事を解任させられている可能性がありますが、それが審査会で検討されたのかどうか。

また、経営基盤に関しても、6億円以上の借入金があって、あまり評価が出来る状況ではないと考えられます。

しかし、何故かその法人が、この「法人の適格性」では、3法人の中で一番高い点数をつけられています。

3つ目の不審点は、「資金計画」という審査項目の採点です。

選定された法人は、6億円以上の借入金があるわけです。他の法人を見ると、借入金が0というところもありました。なのに、この選定された法人が、高い点数がつけられているのです。これはちょっと常識では考えられない採点結果です。返済中に借金が返せなくなるようなトラブルが起こらないとは限りませんし、民間企業では、無借金経営というのは非常に評価されています。

他にも若干不審点はあるのですが、以上述べた3点について、考えてみると、「他に施設整備を図っているか」の「-2点」を「-5点」に、「法人の適格性」と「資金計画」について、仮に1点ずつ減点したとすると、合計得点の順位が逆転して、選定法人が変わってしまいます。

選定された法人は、高槻市の認可を受けて、矢継ぎ早に福祉施設を設立し、事業を拡大させています。

この法人のそうした施設の設立あるいは改修については、高槻市あるいは国から補助金が出ていて、平成16年度から累計すると、予定のものも含めて、約6億5千万円くらいになります。一つの社会福祉法人に対して、補助金の交付があまりにも偏りすぎているのではないでしょうか。

国の通知の一つに「社会福祉法人の認可等の適正化並びに社会福祉法人及び社会福祉施設に対する指導監督の徹底について」という平成13年7月23日のものがあるのですが、その中の「施設整備に係る審査等について」という項目では、「協議対象施設の選定が偏っていないか」「行政関係者が関わっている施設が優先されているのではないか等の疑惑を招くことがないよう、適正かつ公平な審査の実施に努められたいこと。」と書かれています。

問題の審査会で選定された法人には、高槻市職員のOBの方がおられたり、あるいは前市長が理事になられていたりしているのですが、こういう天下りの事実と、施設の選定・補助金の交付が偏っていることは、この国の通知に反していると思われます。

こういう妙なやり口で、福祉施設の事業者を決めてよいわけがありません。直ちに選定をやり直さなければならないはずです。