【市バス残業ヤミ手当】住民監査請求をしました

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6月議会では、交通部で支払われていた「ヤミ手当」についても一般質問で取り上げましたが、本日、これ関する住民監査請求をしました。

この住民監査請求の請求書は、議員インターンシップで私のところに来ている3人の大学生に作成してもらい、私が加筆して仕上げました。

ヤミ手当」とは何なのか。

高槻市の職員の労働時間の算定に当たっては、実労働時間制といって、拘束時間から休憩時間が除かれます。たとえば、9時から17時の8時間拘束されても、12時から13時までの1時間休憩すれば、その日の労働時間7時間となります。労働時間に比例して支払われる種類の給料や手当は、この実労働時間に対して支払われます。

これはもちろん、時間外勤務(残業など)でも同じです。

ところが、高槻市営バスを運営する交通部では、時間外勤務中の休憩時間についても、賃金を支給していたケースがあったというのです。この賃金は、支払ってはいけない違法なものですから、「ヤミ手当」としか言いようがありません。

この「ヤミ手当」が発覚したのは偶然でした。これについて書くとまた長くなりますので、後日にしたいと思います。

以下が本日提出した住民監査請求の請求書です。

高槻市職員措置請求書

第1 高槻市自動車運送事業管理者山本政行氏に関する措置請求の要旨

1 事案の概要

(1)事実

 高槻市自動車運送管理者は、平成21年3月31日まで、高槻市交通部の乗務員職員に対し、時間外勤務中の休憩時間についても、時間外勤務手当、休日勤務手当及び夜間勤務手当(それぞれ「高槻市公営企業職員の給与の種類及び基準に関する条例」第9条、第10条及び第11条に規定されている。以下総称して「時間外勤務手当等」という。)を支払っていた。

(2)事実の違法性

 地方自治法第203条の2第4項(平成20年9月1日の改正地方自治法施行以前は第203条第5項)及び204条第3項においては、報酬、給料及び手当の額並びにその支給方法は条例で定めなければならないと規定され、地方自治法204条の2においては、いかなる給与その他の給付も法律又はこれに基づく条例に基づかなければ職員に支給することが出来ないと定められおり、また、地方公営企業法第38条第4項においては、企業職員の給与の種類及び基準は条例で定めるものとされている(以下「給与条例主義」という。)。

 地方公営企業法第38条第4項の規定に基づき制定された「高槻市公営企業職員の給与の種類及び基準に関する条例」(以下「企業職員給与条例」という。)の第9条では「時間外勤務手当は、正規の勤務時間外に勤務することを命ぜられた職員に対して正規の勤務時間を越えて勤務した全時間について支給する」と定められている(管理者は、平成21年6月4日付高交総第160号において、時間外勤務においても実労働時間制とする根拠として同条例を挙げている。)。「勤務した全時間について支給する」とされているのであるから、すなわち、実労働時間制(拘束時間から休憩時間を除いた時間を実労働時間とし、この実労働時間に対してのみ賃金を支払うもの)がとられている交通部では(交通部だけではなく全庁で実労働時間制となっているが)、勤務した時間とはされない「休憩時間」については、給料及び時間外勤務手当を支給してはならないのであり、支給した場合は給与条例違反となるのである。

 これは、同条例第10条に規定の「休日勤務手当」、同条例第11条に規定の「夜間勤務手当」についても同様である。

 よって、勤務時間外である休憩時間について、交通部が時間外勤務手当等を支給してきたことは、給与条例主義に反するとともに、企業職員給与条例にも反するのである。

(3)交通部の主張

 (1)記載の事実については、平成21年6月24日に行われた、請求人の一般質問に関する打ち合わせにおいて、交通部の■■■■が、交通部の乗務員職員に対し、時間外勤務中の休憩時間を「待機」として扱い、これについても賃金を支払っていた旨説明したことにより、初めて明らかにされたものである。

 山本管理者も、平成21年6月30日に、高槻市議会本会議において、「ただし、21年4月以降における時間外勤務命令につきましては、業務をより精査したうえで、命令をいたしておりますので、休憩時間につきましては、臨時的な対応を除きまして、原則として、時間外勤務手当については、支給はいたしておりません。」と答弁し、平成21年3月31日までは、時間外勤務中の休憩時間に関して、時間外勤務手当の支給を行っていたことを認める答弁をした。

 なお、交通部では、時間外勤務においても、実労働時間制であることは、本年3月議会及び5月議会において、山本管理者がはっきりと認めているところである(ただし、休憩時間にも時間外勤務等を支給していたのであるから、実質的には実労働時間制はとられていなかったのであり、山本管理者の本年3月議会及び5月議会の当該答弁は虚偽答弁といえ、この虚偽答弁によって、山本管理者は、違法な時間外勤務等支給の実態を隠蔽したのである)。

(4)交通部の主張に対する反論

 そこで、請求人は、平成21年7月1日付で「仕業表上は休憩等として給与の支給対象になっていない時間につき、時間外勤務において、待機等として、有給扱いとなるような勤務命令をしていたことが分かる文書」として情報公開請求したところ、平成21年7月15日付高交総第249号で「公文書不存在による非公開決定通知」を行った。
 すなわち、時間外勤務中の休憩時間について、待機等が命じられた事実は存在しないのである。

(5)結論

 つまり、休憩時間に「待機」を命じたので時間外勤務手当等を支給したとする(3)記載の交通部の主張は、後付けの理由で言い訳を述べただけの虚偽であり、歴代の管理者・決裁権者・専決権者等は、平成21年3月31日まで、時間外勤務時間中の休憩時間について、単に、(2)記載のとおり違法に、時間外手当等の支給を行っていたのである。

 これは、いわゆる「ヤミ手当」としか評価しえないものである。

 時間外勤務等については、2割5分増(通常時間外勤務)、3割5分増(休日勤務)、5割増(深夜時間外勤務)あるいは6割増(深夜休日勤務)といった割増賃金たる時間外手当等が支給されているのであり、このような割増賃金を、休憩時間にまで支給するということについては、給与条例主義に反するばかりで、何らの合理的な理由もなく、当該時間外手当等の支給が、違法不当な公金支出であるということは、明白である。

2 高槻市の損害

 前項のとおり、時間外勤務時間中の休憩時間について違法に時間外手当等の支給が行われていたのであり、高槻市交通部は、この違法不当な公金支出によって、長年にわたり、損害を被ってきたことは明らかである。

第2 監査の請求

 「高槻市自動車運送事業職員就業規則」第15条第2項においては、時間外勤務を命じる場合には、「超過勤務命令簿」により行うとされているが、請求人が、平成21年3月2日付で「平成19~20年度のバス乗務員の超過勤務確認印簿」(「超過勤務確認印簿」は「超過勤務命令簿」の役割を果たす「時間外命令簿」のことである)を情報公開請求したところ、管理者は、該当する公文書を「時間外命令簿」とし、違法不当にも、該当公文書中の、「職員の氏名」、「印影」、「基本欄中の当初の予定」及び「当日勤務欄中の勤務についた路線」を黒塗りにして、どの職員が、どの仕業・路線に就き、時間外勤務命令を何時間受けたのかを確認できないような体裁にしたうえで、同年4月15日付高交総第4号公文書部分公開決定通知書をもって、請求人に部分公開することによって、超過勤務命令の実態を隠蔽した(請求人は、管理者のこの部分公開決定を不服として、平成21年4月21日付で、情報公開審査会に対して審査請求を行い、現在審査がされているところである)。

 高槻市交通部は、第1の1項記載の違法不当な公金支出により、長年にわたって損害を被ってきたことは明らかであるが、上記のとおり、管理者はその証拠となる「時間外命令簿」の大部分を違法不当に非公開にしたほか、時間外勤務については実態として実労働時間制として運用していなかったにもかかわらず、3月議会及び5月議会で、実労働時間制であると虚偽の答弁をして、違法不当に時間外勤務手当等を支給してきた実態を隠蔽した。この実態が初めて明らかとされた経緯は、第1の1(3)記載のとおりである。

 よって、請求人は、この違法不当な公金支出による平成11年度から平成20年度までの10年分の高槻市交通部の損害について、関係人、関係団体、関係職員、歴代の専決権者、歴代の決裁権者及び歴代の管理者らそれぞれに対して、不当利得返還請求又は損害賠償請求することを勧告することを求める。

第3 請求者

 別紙1記載のとおり 

 地方自治法第242条第1項の規定により別紙事実証明書を添え必要な措置を請求します。

平成21年8月17日
高槻市監査委員 殿