前市長が理事に!大阪府下で唯一、社会福祉法人の役員名を開示しなかった高槻市。

社会福祉法人役員名非開示を取り消す決定

昨年、新しい特別養護老人ホームの事業者の選考過程について高槻市に情報公開請求し、その結果開示された公文書を見て、私は疑問を覚えました。社会福祉法人の役員名が、理事長以外黒塗りにされていたのです。

どうして高槻市社会福祉法人の役員名を開示しないのか高槻市の言い分は、法務局で管理されている社会福祉法人の登記簿には理事長しか記載されていないからだ、というものでした。株式会社や有限会社などは代表取締役だけではなく、他の取締役や監査役も記載されているのですが、確かに、社会福祉法人や学校法人は、代表である理事長しか登記されていません。

しかし、極めて公共性の高い事業を行う法人とされる社会福祉法人の役員名が開示されないなんていうのはおかしいことです。そこで、他の地方自治体はどうしているのかを調べてみました。

社会福祉法人を管轄しているのは、中核市以上の地方自治体です。大阪であれば、大阪府政令指定都市大阪市堺市、そして中核市東大阪市高槻市です。これらの自治体に情報公開請求をしたところ、なんと、高槻市以外はすべて役員名を開示したのです。

政令指定都市中核市以外の市町村の社会福祉法人大阪府の管轄ですから、大阪府下で社会福祉法人の役員名を公表しないのは、高槻市だけという結果になりました。

そこで私は、高槻市が所管する社会福祉法人の役員名などを非公開とした高槻市の決定はおかしいので、役員名などを開示せよと、異議申立てを行いました。

平成19年の5月21日に情報公開請求、6月4日に一部非公開の決定、そして前述の異議申立ては6月27日に行ったのですが、それから3ヶ月経った9月28日に、写真の「異議申立てに対する決定について」という通知がなされました。

情報公開の結果に対して異議申立てがあった場合、高槻市情報公開条例第15条によれば、非公開決定を取消・変更等する以外は、「遅滞なく」審査会に諮問しなければならない、とされています。

高槻市情報公開条例
(不服申立ての処置)
第15条 実施機関は、公開決定等について、行政不服審査法(昭和37年法律第160号)による不服申立てがあった場合は、次の各号のいずれかに該当するときを除き、遅滞なく、審査会に当該不服申立てに対する決定又は裁決について諮問しなければならない。
 (1) 不服申立てが不適法であり、却下するとき。
 (2) 決定又は裁決で、不服申立てに係る非公開決定等を取り消し、又は変更し、当該不服申立てに係る公文書の全部を公開することとするとき。ただし、当該非公開決定等について反対意見書が提出されている場合を除く。



高槻市は、私の異議申立てを受けてから、3ヵ月後に、役員名を開示する決定を下しました。しかし、審議会にはかけなかったというのです。つまり、3ヶ月間ずっと私の異議申立てを握ったままにしておいたということです。

審議会にかけないのに、何故3ヶ月もかかったのか、時間がかかり過ぎだと言ったのですが、役所側は「『遅滞なく』であればいい」と答えました。3ヶ月は「遅滞なく」なのでしょうか?

そして、開示された役員名を見ると、新しい特別養護老人ホームの事業者に不正に選定された社会福祉法人の理事に、なんと、前の高槻市長の江村利雄氏が就任していることが分かったのです。この発覚を恐れて役員名を非開示に下のではないでしょうか?3ヶ月は時間稼ぎだったのではないでしょうか?

この社会福祉法人は、特別養護老人ホームの建設費を水増しして元理事長が逮捕され実刑判決まで受けたことは以前書いたとおりです。大阪府は、業務改善命令をこの社会福祉法人に対して発令し、当時の役員全員を辞任させ、仮理事3名を選任しました。

調べてみると、実は、その3名の仮理事のうち、1名は、元高槻市民生部長の方だったのです。そして、経緯は不明ですが、その3名の仮理事たちが、理事会を開いて、新しい理事を選んだ。その理事の中に江村前高槻市長がいた。元市幹部らの決定により理事になったわけですから、いわゆる天下りです。別の元市幹部も同じ頃に天下りしていました。

その後、この社会福祉法人は、高槻市から2億円以上の補助を受けてケアハウスやグループホームを建設して事業を拡大。高槻市内では、高槻市の外郭団体を除いて、最大規模の社会福祉法人にまでなりました。もし、さらに、高槻市から約2億円の補助金を受けて、新しく特別養護老人ホームを建設・運営することになれば、高槻市内では最大の社会福祉法人に成長することになります。

こういうことを許しておいてよいのでしょうか。いくらなんでも露骨ですし、やりすぎです。

先日、この件については住民訴訟を起こしたことは既報のとおり。裁判所の良識を期待したいと思います。