【学校耐震化】耐震化率100%の時期も費用も不明な高槻市

平成21年6月29日市議会へ提出した案件の主要内容

政府から「地域活性化・経済危機対策臨時交付金」として総額1兆円が地方自治体に交付されることになり、高槻市にはその内6億7157万3千円がくるのですが、この交付金や国・府からの別の補助金、さらには市の予備費を財源に、上の表のとおりの補正予算案が組まれ、市議会で可決されました。

私は議会で、832万9千円が計上されている「幼稚園耐震診断」(耐震性の低い幼稚園4園について、幼稚園舎の耐震2次診断を前倒しして実施する)について、以下3点の質問をしました。

1.幼稚園舎の耐震2次診断を前倒しすることによって、今後の学校園の耐震化について、これからのスケジュールにどのような影響・効果があるのか?
2.耐震化率が100%になるのはいつ頃なのか?
3.耐震化の費用は、校舎・園舎1棟あたり、どのくらいか?

高槻市の答弁によると、これによって、耐震補強の早期化につながるということだったのですが、そのスケジュールは不明確で、ましてや100%の耐震化が完了する時期も未定、校舎・園舎の1棟あたりの費用も算出できていない、ということでした。こんなことでいいんでしょうか?

高槻市では、過去に、小中学校の校舎の耐震補強工事を行っていないから、費用の算出ができないという答弁だったのですが、他の市町村の事例を参考にすれば、おおよその費用が算出できるはずです。

例えば、富山県では、6月補正予算案に県立高校の耐震化費用として8億2800万円を計上して、9棟分の耐震化工事を前倒しする、とのことですから1棟あたり約9000万円となります。大阪府高石市では、みのもんたさんのテレビ番組で耐震化率が低いことを批判されたため、阪口伸六市長が奮発して、小中学校の施設51棟を来年度までに予算約40億円をかけて耐震化することに決めました。51棟で40億円ですから、1棟あたり約8000万円となります。

高槻市では耐震化が必要とされる校舎は(正確に言うと、耐震性が確認されていない校舎ですが)、教育委員会の発表によると、小学校で97棟、中学校で57棟、幼稚園では19棟とされています。

小中学校だけで約150棟ということですが、これに8000万円をかけると、ざっと120億円という計算になります。

富山県の高校の校舎や高石市の小中学校の校舎と高槻市の学校の校舎とは構造が違うでしょうけれども、高槻市で耐震化率100%を達成しようとすると、100億円規模の予算が必要になるのではないかと思われます。

やはり関西大学新キャンパスや今城塚古墳のガイダンス施設に多額の費用をかけている場合ではなかったのではないのでしょうか?

また、耐震化率100%を達成できる時期も分からないということですけれども、高石市は2年度で51棟の耐震化を完了させるということですから、やる気になれば6年間で完了できるのではないかとも考えられます(高石市とは事情が異なるかもしれませんが)。

奥本市長は、今年の3月9日の議会で「東南海・南海地震の発生の切迫性が指摘される」と発言をしています。そのような認識があるのであれば、市民の皆さん、学校・幼稚園で学ぶ子供達や保護者の皆さんに安心していただくためにも、100%耐震化達成の時期や費用について、目標を明示すべきです。

小中学校・幼稚園の耐震化工事の必要性については、随分前から言われています。その工事に必要な費用のおおよその額について、高槻市がこれまで把握していなかった、というのも非常に不自然に思えます。耐震化工事に必要な費用が、100億円規模とあまりにも巨額だから、表に出して議論したくなかったというのが本音のところなのではないでしょうか?

高槻市は、早急に、耐震化率100%達成の時期の目標設定と予算の確保をすべきです。