高槻市長が逆転敗訴!ヤミ退職金訴訟

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今年の10月30日、「ヤミ退職金訴訟」(住民訴訟)の判決言渡しが大阪高等裁判所であり、高槻市長らが敗訴しました。大阪地裁では、高槻市長らの主張が認められたのですが、高裁は地裁の判決を変更し、高槻市長らが逆転敗訴となりました。

市民の方が送ってくださった判決文によると、高裁は、(社)大阪府市町村職員互助会が、会員である高槻市職員に対して支給していた給付金のうち、「退会給付」は実質的に退職手当に当たり、「在会慰労金」は実質的に給与に当たるとして、それぞれ、給与条例主義を潜脱するものであり、違法であると認定しました(「在会慰労金」については、1審の地裁では適法とされていましたが、2審の高裁では違法とされました)。

高槻市長らは、互助会とは補給金について清算済であるとの合意をしたと主張し、1審ではこの主張が認められて、原告である住民の訴えが退けられましたが、高裁は、この合意には効力がないと判断しました。

高槻市は、平成17年11月まで、互助会に対して補給金を支出していましたが、高裁は、このうち72.8%は、退会給付と在会慰労金の支出に充てられたと認定。平成16年8月分から平成17年11月分までの補給金のうち、市長部局分1億7649万7481円、水道部分1110万3988円、交通部分1334万0843円を、互助会に対して返還請求するよう、高槻市長らに命じる判決を下しました。

このように、1年3か月分の違法な給付分の返還しか裁判所は認めなかったのですが、この10年で見ると、市長部局・水道部・交通部併せて33億8千万円あまりが、高槻市から互助会に対して、補給金として支出されていました。この多くが「ヤミ退職金」の原資となっていたわけです。

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上の文書は、互助会から高槻市に送られてきた「退会餞別金等の送付について」という明細書ですが、違法と認定された「退会給付金」については(給付額①の「「退会餞別金・退会給付金」の欄の下段)、6人で約3375万円となっています。1人当たりにすると、平均562万円あまりです。

ヤミ退職金欲しい!駆け込み一挙300人

このヤミ退職金目当てに、制度廃止直前に駆け込み退職をされた方が高槻市役所にもいたようですが、当時の新聞記事によれば、大量退職によって市民サービスに支障が出ないようにと苦慮した自治体もあったようです。「公務員としての良心に委ねるしかない」とあきらめ顔の市担当者の声も紹介されていますが、このような違法な制度に手を貸してきたことが、そもそも良心に反していたのではないのでしょうか。

本来ならば、違法な「ヤミ退職金」を受け取った元公務員個人個人から、「ヤミ退職金」を返還してもらわなければならないはずですが、このように、互助会という第三者的な団体を通じて「ヤミ退職金」が支払われたため、法的に、個々人から返還をさせるのは難しいようです。であれば、元公務員個人個人が、道義的に、返還を申し出るべきだと思うのですが、そのような「良心のある」元職員の話など、まったく伝わってきません。

互助会は、平成17年に、積立金の残額692億円のうち、100億円しか市町村に返還しておらず、いまだに莫大な資金を抱えて存立しています。高槻市等に数億円程度返還しても、その財務はびくともしないでしょう。高槻市長らは、最高裁に上告する予定なのかもしれませんが、高裁判決を受け入れ、直ちに、互助会に返還請求をすべきではないでしょうか。

それにしても、このように裁判で戦われた住民の方のご努力には、本当に頭の下がる思いです。