【市職員の副業】処分なし?職員に甘過ぎる高槻市

9月の市議会では、一般質問で、高槻市職員の副業・兼業に関する質問もしました。

地方公務員は、地方公務員法第38条により、任命権者(市長等)の許可を受けなければ、副業・兼業ができないことになっています。

営利企業等の従事制限)
第38条 職員は、任命権者の許可を受けなければ、営利を目的とする私企業を営むことを目的とする会社その他の団体の役員その他人事委員会規則(人事委員会を置かない地方公共団体においては、地方公共団体の規則)で定める地位を兼ね、若しくは自ら営利を目的とする私企業を営み、又は報酬を得ていかなる事業若しくは事務にも従事してはならない。


高槻市では、9月8日付で「営利企業等の従事制限に係る任命権者の許可について」という通知を出しました。

営利企業等の従事制限に係る任命権者の許可について
営利企業等の従事制限に係る任命権者の許可について

これは、今年4月22日に毎日新聞に掲載された、次の堺市の事例がきっかけだとのこと。

【毎日新聞】無許可で不動産賃貸収入、職員20人処分
◇違法建築物を相続、マンション4戸購入--認識不足で済ませられるのか

 堺市が07年度、給与以外に家屋・土地などの賃貸収入があるのに市に報告せず、許可を得ていなかったとして、市長部局と市教委の職員計20人を厳重注意処分にしていたことが分かった。任命権者の許可を受けずに不動産の賃貸収入を得ることは、地方公務員法で禁じられており、市は「職員の認識不足だった」としている。(後略)
【毎日新聞】無許可で不動産賃貸収入、職員20人処分



高槻市では、上記の通知を出した結果、平成20年9月19日現在で、計41件の申請があったとのこと。内訳は次のとおりです。

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堺市の2倍以上の違反事例があったということになります。

議会前の人事課の職員との打ち合わせで、「堺市は、20人の職員に対して、厳重注意の処分を行ったとされているが、高槻市は処分するのか?」と尋ねたのですが、処分は行わないとのことでした。その理由は「公務には支障がないから」と。

公務に支障があるかないかというのは関係がないと思うのですが・・・堺市の事例でも、そのような点については何も書かれていません。高槻市役所は、職員に甘過ぎるのではないでしょうか?

38条違反は明確ですので、少なくとも堺市と同じく厳重注意くらいしないと、高槻市役所の信用が損なわれるのではないでしょうか。

「厳重注意処分」といったって、実際は大した処分ではないですし、多少ボーナスに響くようですが、副業で収入を得ているわけですから、それで職員がすぐに生活費に困るということにはならないでしょう。

ですので、泣いて馬謖を斬るではないけれども、厳重注意処分をすることによって「身内に厳しい規律のしっかりした高槻市」というアピールを市民にすることができるし、高槻市のイメージアップにもつながるのでは、と、人事課の方には献策したのですが、理解してもらえませんでした。


議会でも、職員を処分するか質問をしたのですが、一般論を言って、いつものごとく、まともに答弁しませんでした。まともな答弁もできないのなら、議会って、何のためにやっているのか分からないです。


以下は議会での質問と答弁の要旨です(私の質問は質問原稿を、市側の答弁の趣旨は私のメモなどを参考にしているものであり、正確ではないかもしれませんので、その点はご了承下さい)。


<質問1回目>

(1)高槻市は、すべての部局の職員に対して「営利企業等の従事制限に係る任命権者の許可について」という通知と、「営利企業等の従事許可について」という申請書を配布しましたが、この通知と申請書はどういった内容で、なぜこのようなものを配布したのでしょうか?

(答弁の要旨)
地方公務員法38条に営利企業等の従事を禁止する規定がある。また他市の違反と処分の事例が新聞報道されたのを受け、該当職員に申請させるのを目的とした。


(2)この通知と申請書を配布した後に、職員からどれだけの申請があったのでしょうか?申請の件数と申請内容をお答え下さい。

(答弁の要旨)
平成20年9月19日現在で、計41件の申請。内訳は、不動産収入34件、農業6件、他2件。19日以後も何件か申請があるようだ。


<質問2回目>

(1)職員は、入職時に服務全般について研修を受けているそうですが、今回の通知を受けて申請を出された方は、副業・兼業については、許可を受けなければならないという意識がなかったのでしょうか?研修を受けなくても、公務員ならば、このようなことは常識だと思いますが。この通知を出すより以前に、営利企業等の従事・副業・兼業に関する許可の申請をした職員の方はおられるのでしょうか?

(答弁の要旨)
過去に数件あった。


(2)この許可に関して、高槻市では基準はないのでしょうか?

(答弁の要旨)
許可基準は作成していない。「全体の奉仕者として公共の利益のために勤務し、且つ、職務の遂行に当っては、全力を挙げてこれに専念しなければならない。」という地方公務員法30条の趣旨に則り判断している。


(3)堺市では、不動産賃貸の収入があったのに、報告もせず、許可も得ていなかったという理由で、計20人の職員が厳重注意処分を受けています。高槻市においても、今回申請があったものについては、相続なので仕方がないと考えられるものや、公益性が感じられるものもあると思いますが、事前に任命権者の許可を得ていなかったことは、明らかに地方公務員法第38条に違反しています。申請した職員の処分については、どのようにお考えでしょうか?

(答弁の要旨)
今回の通知は職員の処分を目的としたものではないが、不適切なものについては内部規律の問題として対応する。


(4)職員の中には、高槻市から給与を受けつつ、労働組合からも報酬を受けている人もいますが、労働組合から報酬を受ける場合は、任命権者から許可を受ける必要があるのでしょうか?お考えをお聞かせ下さい。

(答弁の要旨)
許可対象となるべき事務従事なのか、内容を見て判断する。


<質問3回目>

(1)9月19日現在で、計41件の申請件数があったとのことです。果たしてこれですべてなのでしょうか?他の自治体では、裏金問題に関して、申請の締切日を設けて、締切日以後の申請あるいは発覚については厳しく処罰するという方針を打ち出した首長もいました。高槻市でも、この従事許可・副業・兼業の問題については、申請について締切日を設け、締切日以後の申請や発覚については、厳しく処罰するべきではないでしょうか?この点について、奥本市長のお考えをお聞かせ下さい。

(答弁の要旨)
相続でしかたなくというケースが今後も出てくるだろう。今後も地方公務員法30条の趣旨に反しないかどうかで処分が決定されると考える。